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社の章ー違和感ー
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「え……それは、わたしたちが生まれてすぐに死んじゃったから……」
「他にも手段はあるだろ?」
ちさはランドセルを下ろしながら首を傾げた。訳がわからないといった表情をしている。
アホなコイツには酷だったかもしれない。俺は振り返って答えを言う。
「写真だよ! 普通なら残ってるはずだろ? なんで俺達の両親の写真は無いんだ? 遺影すら無えって、おかしいだろ?」
ちさは気付いたように目を――俺にしか分からない位の変化だが――見開いた。だが、すぐに「写真が嫌いだったんじゃない……?」と的外れな事を言う。「親全員かよ」と俺は呆れた。
「それにホラ、これ見ろ」
「なに……飛行機事故?」
俺は検索したパソコンの画面を指差してちさに見せる。
年代別の航空事故の年表だ。俺は9年前、俺とちさが生まれた年をクリックする。
「ほら、な? 俺達が生まれた年、世界中で飛行機事故は起きてるが日本人の死者はゼロなんだ」
「え……わたしたちのお母さんとお父さん日本人じゃないってこと……?」
「アホか。俺らどう見ても皆日本人顔だろ。カイ兄は色素薄いけどハーフでもねえ」
またも見当違いなちさの言葉を俺はバッサリ切り捨てる。
「他にも手段はあるだろ?」
ちさはランドセルを下ろしながら首を傾げた。訳がわからないといった表情をしている。
アホなコイツには酷だったかもしれない。俺は振り返って答えを言う。
「写真だよ! 普通なら残ってるはずだろ? なんで俺達の両親の写真は無いんだ? 遺影すら無えって、おかしいだろ?」
ちさは気付いたように目を――俺にしか分からない位の変化だが――見開いた。だが、すぐに「写真が嫌いだったんじゃない……?」と的外れな事を言う。「親全員かよ」と俺は呆れた。
「それにホラ、これ見ろ」
「なに……飛行機事故?」
俺は検索したパソコンの画面を指差してちさに見せる。
年代別の航空事故の年表だ。俺は9年前、俺とちさが生まれた年をクリックする。
「ほら、な? 俺達が生まれた年、世界中で飛行機事故は起きてるが日本人の死者はゼロなんだ」
「え……わたしたちのお母さんとお父さん日本人じゃないってこと……?」
「アホか。俺らどう見ても皆日本人顔だろ。カイ兄は色素薄いけどハーフでもねえ」
またも見当違いなちさの言葉を俺はバッサリ切り捨てる。
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