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社の章ー違和感ー
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約10分後。俺とちさは田舎町でも目立つ建物の前に立っていた。
図書館だ。
「何の本借りるの……」と、ちさはどこか嬉しそうに言う。コイツ本好きだからな。だが、残念ながら俺は本を借りに来たわけじゃない。
無言で館内に入ると、真っ直ぐレファレンスコーナーに向かう。ちさは児童書が気になるようだったが、大人しく俺の後を付いてきた。
そこに備え付けられている数台のパソコンのうち1台を起動する。フィルタリングは掛かっているが、インターネットが出来るので重宝している。俺達はまだ携帯は持ってない。
パソコンが立ち上がっている間に昔の事件が収録されたファイルを持ってくる。
これは新聞の切り抜きなどが綴じられているものだ。俺は椅子に座るとパラパラめくる。
「ねぇ……いったい何してるの?」
「……ちさ」
手元を覗いてくるちさに、俺は目線を下に向けたまま訊いた。レファレンスコーナーには俺達の他には誰もいない。
「お前……俺達の家、なんかおかしいと思わねぇか?」
「? どういう意味……?」
俺は起動したパソコンを操作するため、ちさに背を向ける。キーボードを叩きながら言った。
「そのままの意味だ。まず、どうして俺達は親の顔を知らない?」
図書館だ。
「何の本借りるの……」と、ちさはどこか嬉しそうに言う。コイツ本好きだからな。だが、残念ながら俺は本を借りに来たわけじゃない。
無言で館内に入ると、真っ直ぐレファレンスコーナーに向かう。ちさは児童書が気になるようだったが、大人しく俺の後を付いてきた。
そこに備え付けられている数台のパソコンのうち1台を起動する。フィルタリングは掛かっているが、インターネットが出来るので重宝している。俺達はまだ携帯は持ってない。
パソコンが立ち上がっている間に昔の事件が収録されたファイルを持ってくる。
これは新聞の切り抜きなどが綴じられているものだ。俺は椅子に座るとパラパラめくる。
「ねぇ……いったい何してるの?」
「……ちさ」
手元を覗いてくるちさに、俺は目線を下に向けたまま訊いた。レファレンスコーナーには俺達の他には誰もいない。
「お前……俺達の家、なんかおかしいと思わねぇか?」
「? どういう意味……?」
俺は起動したパソコンを操作するため、ちさに背を向ける。キーボードを叩きながら言った。
「そのままの意味だ。まず、どうして俺達は親の顔を知らない?」
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