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カイの章ー生きる意味ー
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「いつ来ても綺麗にしてるねぇ。我が実家とは思えんよ」
家内に通すと客間に竹淵さんを案内する。
不躾に室内をジロジロ見回す竹淵さんの前に、そっと僕は最中と緑茶を出した。「おお、こりゃ悪いね」と、悪いとは全く思っていない口調で客人は茶を啜り最中を二口で食べてしまう。ああ、1個350円もする最中なのに……出さなきゃ良かった。
「住み心地はどうかな。丈夫が取り柄だけの古い家だが、何か困った事は無いかい?」
「はい……大丈夫です。ありがとうございます」
5年前に定年したとはいえ、こうして元刑事と向き合っていると取り調べを受けている気分だ。受け答えも自然と固くなる。「真面目だねぇ」と竹淵さんは苦笑する。
「まぁ、きっちりしていないと花もあんなに綺麗に咲き誇らないしね。カイくんはA型かな?」
「……B型です。あの、すみません。庭も好き勝手してしまって」
「いやいや構わないよ、ここは今は君たちの家だ。しかし、あんなに沢山の花を管理するのは骨が折れるだろう」
竹淵さんの言葉に僕は目を伏せる。
彼は恩人ではあるけれど、利害が一致しただけとも言える。だから正直、竹淵さんは僕にとって割とどうでもいい存在だ。
だからだろうか。僕の本音が、ぽろりと零れ出た。
家内に通すと客間に竹淵さんを案内する。
不躾に室内をジロジロ見回す竹淵さんの前に、そっと僕は最中と緑茶を出した。「おお、こりゃ悪いね」と、悪いとは全く思っていない口調で客人は茶を啜り最中を二口で食べてしまう。ああ、1個350円もする最中なのに……出さなきゃ良かった。
「住み心地はどうかな。丈夫が取り柄だけの古い家だが、何か困った事は無いかい?」
「はい……大丈夫です。ありがとうございます」
5年前に定年したとはいえ、こうして元刑事と向き合っていると取り調べを受けている気分だ。受け答えも自然と固くなる。「真面目だねぇ」と竹淵さんは苦笑する。
「まぁ、きっちりしていないと花もあんなに綺麗に咲き誇らないしね。カイくんはA型かな?」
「……B型です。あの、すみません。庭も好き勝手してしまって」
「いやいや構わないよ、ここは今は君たちの家だ。しかし、あんなに沢山の花を管理するのは骨が折れるだろう」
竹淵さんの言葉に僕は目を伏せる。
彼は恩人ではあるけれど、利害が一致しただけとも言える。だから正直、竹淵さんは僕にとって割とどうでもいい存在だ。
だからだろうか。僕の本音が、ぽろりと零れ出た。
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