stray Crow

慧サト

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カイの章ー生きる意味ー

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 買い物や掃除を済ませてから、大好きな庭の手入れをする。僕の日課だ。
 花の状態を見つつ、根元に水を丁寧にかけていく。元気がない子には栄養剤も。そして「元気を出して下さい」と声も掛ける事も忘れない。

 ハタから見たら危ない人だけど、植物にも感情があるらしいから別に構わないだろう。一説に過ぎないけれど。


 植物を育てるのは、いい。心が安らぐ。




「やあ、いたいた。こんにちはカイくん」

 道場と家を隔てる門扉が開き、老齢に近い男性が入ってくる。
 ほぼ白髪のボサボサ頭に無精髭、シワの入った褪せた色のスーツ。清潔感は皆無だ。しかし、年齢の割に筋肉質で眼光が鋭い。それは刑事だった時の名残だろうか。

「竹淵さん……!」

 僕はちょっと吃驚して立ち上がる。一応恩人である彼の来訪はいつも突然だ。アポなど一切ない。

「相変わらず美人だねぇ」

 竹淵さんは頭を掻きながら僕の方へやってくる。久々会ったが軽口も相変わらずだ。僕は微笑みながら、もてなしのお菓子を何にしようか考えた。
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