stray Crow

慧サト

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社の章ー秘密の欠片ー

16

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 その黒い光から金属音を立てて黒い鎖が現れた。
 蛇にも見えるそれは勢いよくジャラリと慶弥の右足首からふくらはぎにかけて巻き付く。慶弥が軽く足を上げると、同時に引っ張り上げられた物々しい三日月の鎌が姿を見せた。


 俺は―――開いた目と口が塞がらなかった。あんま言いたかねーけど、なんなら正直腰も抜かしそうだった。驚いても無表情のちさが羨ましい。
 だってそりゃそうだろ!? いきなり地面から何か物騒なモンが出てきたんだぞ!? 話には聞いてたけど……実際目にしても信じられねぇ。白昼夢でも見てんのか俺。侑兄の話も突飛すぎて意味分かんねーし……盛大なドッキリだと思いたい。

 けど、残念ながらドッキリでも手品でも無いことは兄貴達のクソ真面目な態度で理解した。
 「社……深呼吸しよう」とちさが提案してくる。やっぱりこいつも動揺はしてるらしいが、初めて見た訳じゃないからか俺よりずっと落ち着いてる。
 くそ。何かムカつく。言われた通り深呼吸してる俺にもムカつく。

「触ってみるか社? ホンモノだぞ~」

 鎌の柄を握った慶弥がニヤけて鎖部分を差し出してくる。「いらねーよアホ」と俺は辛うじて奴を罵倒した。
 うん、ちょっと調子が戻ってきたな。侑兄に視線を転じる。

「……で? なんで境木の人間がこんなん出来るわけ」
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