stray Crow

慧サト

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社の章ー秘密の欠片ー

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 侑兄は俺の問いに、少し困ったように眉尻を下げると空を仰いだ。
 表情は見えないが相当悩んでいる、そんな気配がした。実際「俺達にも真偽は分かりかねる事だが」と歯切れ悪く侑兄は口を開く。顔を戻し俺とちさを順に見た。

「昔、水と土を司る神様がいてな。この神様のお陰で緑溢れる世界になったんだと」

 ――ん?

 何の話だ。俺は突っ込みたくなるが一先ず我慢した。侑兄は続ける。

「美しくなった世界に感動して、水と土の神様は特別な木を作った。そしてその神様の行為に感動した創造主が、特別な木を護る守人たちを遣わした。水と土の神様は守護の褒美として守人たちに宝具を与えたんだ」

 ――んんん?

 俺は自分の顔が歪むのを自覚する。体がウズウズした。侑兄は真顔で言ってのける。

「で、その宝具の一つが慶弥が今持ってる鎌で、守人の子孫が俺達だ」
「なんっっだそりゃ!!!!!」

 ストレスが爆発した。俺は我慢できず腹の底から叫んだ。
 いや我慢してたまるかこんな話。俺は侑兄に食って掛かる。

「只のおとぎ話じゃねーかよ!! 信じてんのか侑兄達そんなもん!! メルヘンかよ!!」
「だから真偽は分かりかねると言っただろう」

 俺の正論に侑兄は肩をすくめた。本気で困っているようで、俺は言葉につまる。「メルヘンの何が悪いの……メルヘンは正義……」と、ワケわからん擁護をするちさに脱力した。嘆息して俺は自分の頭を乱暴に掻く。
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