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第1章 白と黒が交わり、
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しおりを挟む全てを語り終えた後、李麗はふっと冷たい瞳をして、こう言った。
「そして、最後には戦場で自分の命を終えてやるんだ。俺のことを誰も知らない、戦場でな……」
そして、私の目を見て続けた。
「矛盾してると思うか? 愚かだと思うか?」
彼の問いに私はゆうるりと笑ってやった。
上品に、嫋やかに、女の全てをそこに詰め込んで。
「いいえ、そんなことは思わないわ」
……ちっとも、ね。
次の瞬間、私の白い髪は彼の手の中にあった。
震えるその手は、私の髪を握り締めたかと思うと、そのまま上へと吊し上げる。
予期せぬ痛みに頭皮が叫びを上げ、私は思わず眉を顰めた。
「はっ、ご立派だな」
頭上から李麗の蔑むような声が降り注ぐ。
「この色素の薄さ……この髪や肌の白さ……」
彼は髪を掴んでいない方の手で私の顔や首をゆっくりと撫ぜる。
その手つきは、妖艶で繊細で、そしてどこか暴力性を秘めていた。
「どうせ、お前は異国の女なのだろう? 一体、この奇妙な身体でどれほどの男たちを誑かしてきたことか、なぁ?」
耳に彼の吐息がかかる。
「捕虜にされ、身体を売って生きてきたんだろう? なぁ、一つ聞きたい。そこまでして、生に縋り付いて一体何になると言うのだ? ……お前からしたら、異国であるこの土地には生きていったところで、未来もないというのに」
その言葉は、私ではなく彼自身に向けられているような気がした。
「……そんなことを言うのは、貴方に未来がないからかしら?」
私の挑発に、李麗は片方の眉を上げた。
「どういうことだ」
私と彼の目が合う。
私は髪を掴んでいた彼の手を振り払い、
「貴方だって、とっくの昔に気が付いていたはずよ。ただそれを見て見ぬ振りをしていただけ」
李麗の表情が動揺に染まる。
「どうしてただの愛人の子であった貴方が李家の名前を持ち、今日まで生かされることになったのかしら?」
「……黙れ」
彼の唇がわなわなと震え始める。
「母親が殺されたときに、貴方も一緒に殺されなかったのはどうして?」
「黙れと言っているっ!!」
李麗の綺麗な顔が憎悪に歪む。
泣きそうにも、怒っているようにも聞こえる、震えた彼の声を無視して、私は真実を突きつけた。
「それは貴方にお兄さんの代用品として価値があったからでしょうね。名家である李家にとって、男児が1人だけであることにはリスクがあった。もしも、その1人が死んでしまったら? あるいは、その1人が跡継ぎに相応しくなかったら? ……そのためだけに貴方は生かされたのよ」
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