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第一章 再会は突然に
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未来で彼が救われると分かっている。
ヒロインがマシューを癒すことは確定している。
だけど、それでも、やっぱり。
たった十二歳の子どもに誰かの人生を失わせてしまうような行動をさせたくはなくて。
ましてや、その行為が肯定されるなんて反吐が出る事態には直面して欲しくなくて。
私は我儘にも、悪役令嬢だから我儘でも許されると傲慢にも、そう思うことにした。
マシューに、悲劇を起こさせない。
そう、決めたのだ。
だから、事件が起きる当日。
私はノエルたちの狩猟に付き添った。
マシューと彼らが鉢合わなければいいのだ。
最悪、鉢合わせになったとしても私が身を挺してノエルを守ればいいのだ。
原作通りならば命までは奪われないことが確定しているし、ただの護衛騎士ではなくノエル殿下の婚約者でありロイド公爵家の令嬢に害をなしたとなれば、マシューが幾ら稀有な天才魔法使いとは言え、きちんと真っ当に怒られるだろう。
ノエル本人に害をなすわけではないから、最悪の事態にはならないと思うし。
あれだったら私が進言しよう。
酷い処遇はやめてって言えばいい。
うんうん、と自らの計画に頷きながら件の森の中を歩いているときだった。
突然、茂みから緑色の頭をした男子高校生が飛び出してきたのだ。
見つめ合うこと、約三秒。
不良っぽい派手な髪色をした目の前の高校生に、私は開いた口が塞がらなかった。
「え? 話にあったっけ、こんな展開。ていうか日本人? というか、どこかで……」
迂闊にも、私の口から飛び出した言葉は日本語だった。
つきん、つきん、と頭の奥に痛みが走る。
困惑する私たちの視線が絡み合って、思いもよらない再会がそこにはあった。
ヒロインがマシューを癒すことは確定している。
だけど、それでも、やっぱり。
たった十二歳の子どもに誰かの人生を失わせてしまうような行動をさせたくはなくて。
ましてや、その行為が肯定されるなんて反吐が出る事態には直面して欲しくなくて。
私は我儘にも、悪役令嬢だから我儘でも許されると傲慢にも、そう思うことにした。
マシューに、悲劇を起こさせない。
そう、決めたのだ。
だから、事件が起きる当日。
私はノエルたちの狩猟に付き添った。
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最悪、鉢合わせになったとしても私が身を挺してノエルを守ればいいのだ。
原作通りならば命までは奪われないことが確定しているし、ただの護衛騎士ではなくノエル殿下の婚約者でありロイド公爵家の令嬢に害をなしたとなれば、マシューが幾ら稀有な天才魔法使いとは言え、きちんと真っ当に怒られるだろう。
ノエル本人に害をなすわけではないから、最悪の事態にはならないと思うし。
あれだったら私が進言しよう。
酷い処遇はやめてって言えばいい。
うんうん、と自らの計画に頷きながら件の森の中を歩いているときだった。
突然、茂みから緑色の頭をした男子高校生が飛び出してきたのだ。
見つめ合うこと、約三秒。
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「え? 話にあったっけ、こんな展開。ていうか日本人? というか、どこかで……」
迂闊にも、私の口から飛び出した言葉は日本語だった。
つきん、つきん、と頭の奥に痛みが走る。
困惑する私たちの視線が絡み合って、思いもよらない再会がそこにはあった。
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