身体から始まる契約結婚

高殿アカリ

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甘い吐息

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二人でいることについて初めて他者からの視線を受けて、分かったことがある。

当初の航を惚れさせるという計画がいつの間にか消えてしまっていたことだ。

今、絆されているのはどう考えても私の方だ。
そもそも、私はこんな風に素直に誰かに甘えられるような性格をしていなかったはずだ。

ーーーーいや、航が甘やかし上手なのがいけないんじゃないか。

私のことを上手に甘やかしてしまうから、ほら。

彼の唇が私の顔中に降り注いでも、何一つ抵抗できないのよ。

抱き合いながら、しばらくの間じっとしていると、いつの間にやら彼のものが主張していることに気づいた。

航の顔を見上げると、彼は恥ずかしのか顔をぷいっと横に逸らした。

だからこそ、私には彼の耳の裏が赤く染まっていることがはっきりと見えている。

思いもしなかった可愛い反応に、私は何だか楽しくなってきて、わざと身体を強く押し付けてみた。

そう言えば、航は私より二歳年下だったっけ。
たまには私から迫るのもいいかも。

「好きにして、いいよ」

吐息まじりにそう言うと、彼の銀の瞳が私を捉えた。

「言ったのはお前の方だからな。後悔しても知らねぇよ」
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