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第1章

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「大吾、口開けて」

雪の甘い声色に大吾は素直に口を開ける。
丸くて苦いものが口に放り込まれたと思った途端、再び水と一緒に雪の舌が口内を蹂躙する。

それが何かの薬だと大吾が気づいたのは、雪に薬を飲まされたあとだった。
薬を飲んだあとも、雪からのキスは止まらず、いつの間にか彼の手は大吾の洋服の下に入っていた。

腹の周りを雪の細くて白い指先が艶めかしく動く。
ひんやりとした雪の手に、火照った身体はさらに熱を発する。

次第に、胸の辺りをゆったりと動き始めたその手つきは完全に大吾を焦らすものだった。

薬が効いてきたのか、朦朧とする意識が大吾のタガを外す。

「雪、もっと……」

雪は大吾をベッドへと誘う。
ふらふらと手を引かれるまま、大吾はぽすんとベッドに身体を預けた。

「はやく……」

求める手に手錠がかけられているのは、なんとも卑猥だ。
だが、その言葉を最後に大吾の意識は途切れた。

すぅすぅと寝息をたてる大吾の頬を雪は、優しい手つきでひと撫でする。

「あらら、眠ちゃって。かーわいっ」

大吾の着ていたTシャツを上に捲りあげながら、雪は言う。

「はい、ばんざーい。あ、もう万歳してる状態か」

手首のところまでTシャツを持ち上げ、雪は大吾の身体つきに見惚れた。
高校時代、ラグビー部をしていた大吾は筋肉のついた引き締まった身体をしていた。

また、もともと色白というわけでもなく、適度に日に焼けた褐色の肌は、そこに咲く桃色の二つの花をより卑猥に色づかせていた。

「ここも、ピーンって立たせちゃって」

雪は、大吾の乳首を甘噛みし、舌で転がした。

「ぅんっ」

眠りながらもしっかりと反応を示す大吾。
雪はくすくすと笑って、そのままズボンに手をかけた。

カチャカチャとベルトの外す音。
は、と息をついて腰を動かす大吾。
瞳を異様に光らせて大吾を見つめる雪。

この狭いベッドルームに満ちるのは、愛かそれとも執着か。

素っ裸にされた大吾は、手足を再び拘束される。
今度は、どこにも逃げないように。
今度は、だれにも会わないように。

大吾の手と足はベッドの四隅に繋がれた。
大事な陰部は丸出しで、雪はそこに顔をうずめた。

「大吾くん、僕は君のことがずっとずっと好きだったんだよ」

赤黒く立ち上がっている大吾のそれに、雪は小さなキスを落とす。

僕だけを見つめて。
僕だけを頼って。
僕だけのものになって。

この顔も。
この髪も。
この手足も。
何もかも。

そうしたら、どろっどろに甘やかしてあげる。
死ぬまで面倒を見てあげる。
どこにも出さないで僕だけを求めるように。

狂わせて、あげるから。

そんな願いを込めながら。
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