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第5章
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がくりと力の抜けた大吾から、ゆっくりと手を離す。
すると、大吾の身体は支えを失い、そのまま床にどさりと倒れた。
唯一雪と繋がれていた結合部も、くちゃりと卑猥な水音を鳴らして離れていく。
「……あ……あ……」
雪は狂いそうになる頭を抱え、声にならない叫びをあげた。
大吾の隣に座り込み、雪は大吾の喉についた自分の手形にそっと触れた。
大吾の首筋はドクドクと脈打ち、血液が急速に全身に巡ろうとしているのが分かる。
死ねばいいとまで思っていたのにも関わらず、大吾の生命があることに雪はほっと安堵の息をついた。
だが、それも束の間のことであった。
雪は大吾を恨めしそうに睨むと、
「大吾が、大吾が悪いんだ。僕を、僕だけを見てくれないから」
意識の失った大吾の口に萎えた股間を含ませる。
しかし、どれだけ腰を振っても、どれだけ喉の奥に突っ込ませても、一向に雪のものは大きくならない。
「どうして、どうして、」
ねぇ、大吾くん。
どうして、僕以外の名前を呼ぶの?
雪は泣きながら、大吾の口に、尻にと、一晩中腰を振り続けた。
だが、あとに残ったのは、浅い呼吸を繰り返す大吾と、死んだ目をした雪の姿だけだった。
どれだけ清々しい朝日が振り注ごうとも、二人の心は冷えきったままだ。
なぜなら、そこには幸せの欠片一つさえ落ちてはいないのだから。
また、再び彼らに夜が訪れた。
いつものように、意気揚々と乗り込んできた谷崎はそこに流れる空気に息を呑んだ。
部屋にはいくつものアルコールの空き缶が転がっており、部屋のあちこちに吐瀉物があるせいで匂いも酷かったのだ。
そして、その汚れた部屋の中央で雪と大吾は互いのものを口に含んでいた。
ぴちゃぴちゃという音は鳴っているが、二人の股間は何一つ反応していない。
何もかもが異様だった。
谷崎が呆然と二人の様子を見守っていると、
「ごぼっ!」
大吾が胃の中のものを吐いた。
そのほとんどが胃液であったことで、谷崎は目を逸らし、眉を顰めた。
「吐くなって言ってるだろう!!」
今まで聞いたこともないような雪の怒号が飛んだかと思うと、大吾の身体に蹴りが入った。
「うっ……」
苦しむ大吾に思わず駆け寄り、谷崎はその身体を支えた。
「お、おい。一体、昨日何があったんだよ」
困惑する谷崎の髪の毛を雪は引っ張る。
「それに触るんじゃない!」
血走った瞳に谷崎の怯えた姿が映るも、雪には谷崎が見えていないようだった。
そんな雪の姿にも、大吾は顔色一つ変えない。
「ゆ、雪、」
谷崎の言葉など雪には届かない。
雪は谷崎の髪を離し、放り投げると、今度は大吾の髪を掴んだ。
「お前も、何触らせてるんだよ」
そう言って、雪は荒々しく大吾の唇に噛みついた。
これまで何度もそうされていたのか、大吾の唇にはいくつもの噛み傷がついていた。
谷崎は床に打ち付けた額に手を当て、ただただ困惑するばかりであった。
すると、大吾の身体は支えを失い、そのまま床にどさりと倒れた。
唯一雪と繋がれていた結合部も、くちゃりと卑猥な水音を鳴らして離れていく。
「……あ……あ……」
雪は狂いそうになる頭を抱え、声にならない叫びをあげた。
大吾の隣に座り込み、雪は大吾の喉についた自分の手形にそっと触れた。
大吾の首筋はドクドクと脈打ち、血液が急速に全身に巡ろうとしているのが分かる。
死ねばいいとまで思っていたのにも関わらず、大吾の生命があることに雪はほっと安堵の息をついた。
だが、それも束の間のことであった。
雪は大吾を恨めしそうに睨むと、
「大吾が、大吾が悪いんだ。僕を、僕だけを見てくれないから」
意識の失った大吾の口に萎えた股間を含ませる。
しかし、どれだけ腰を振っても、どれだけ喉の奥に突っ込ませても、一向に雪のものは大きくならない。
「どうして、どうして、」
ねぇ、大吾くん。
どうして、僕以外の名前を呼ぶの?
雪は泣きながら、大吾の口に、尻にと、一晩中腰を振り続けた。
だが、あとに残ったのは、浅い呼吸を繰り返す大吾と、死んだ目をした雪の姿だけだった。
どれだけ清々しい朝日が振り注ごうとも、二人の心は冷えきったままだ。
なぜなら、そこには幸せの欠片一つさえ落ちてはいないのだから。
また、再び彼らに夜が訪れた。
いつものように、意気揚々と乗り込んできた谷崎はそこに流れる空気に息を呑んだ。
部屋にはいくつものアルコールの空き缶が転がっており、部屋のあちこちに吐瀉物があるせいで匂いも酷かったのだ。
そして、その汚れた部屋の中央で雪と大吾は互いのものを口に含んでいた。
ぴちゃぴちゃという音は鳴っているが、二人の股間は何一つ反応していない。
何もかもが異様だった。
谷崎が呆然と二人の様子を見守っていると、
「ごぼっ!」
大吾が胃の中のものを吐いた。
そのほとんどが胃液であったことで、谷崎は目を逸らし、眉を顰めた。
「吐くなって言ってるだろう!!」
今まで聞いたこともないような雪の怒号が飛んだかと思うと、大吾の身体に蹴りが入った。
「うっ……」
苦しむ大吾に思わず駆け寄り、谷崎はその身体を支えた。
「お、おい。一体、昨日何があったんだよ」
困惑する谷崎の髪の毛を雪は引っ張る。
「それに触るんじゃない!」
血走った瞳に谷崎の怯えた姿が映るも、雪には谷崎が見えていないようだった。
そんな雪の姿にも、大吾は顔色一つ変えない。
「ゆ、雪、」
谷崎の言葉など雪には届かない。
雪は谷崎の髪を離し、放り投げると、今度は大吾の髪を掴んだ。
「お前も、何触らせてるんだよ」
そう言って、雪は荒々しく大吾の唇に噛みついた。
これまで何度もそうされていたのか、大吾の唇にはいくつもの噛み傷がついていた。
谷崎は床に打ち付けた額に手を当て、ただただ困惑するばかりであった。
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