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ジャンの嫉妬1。
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「兄上! セシリアと婚約したと聞きましたが、一体どういうことですか?!」
僕はセシリアからの手紙を手に、学園へと乗り込んだ。
王城に住む僕にとって、王都にある学園などほんの目と鼻の先なのだ。
僕の言葉に兄のエドワードは、にっこりと微笑んだ。
昔はコンプレックスを感じながらも、裏表のない兄は、どこか憎めない人だと思っていた。
だが、ここ最近は、いいや、セシリアが関わる話だけ、どうにも昔の兄はいないように思う。
なんだか、何を考えているのか分からない笑顔をするのだ。
まとわりつくような、溺れてしまうような、そんな笑顔を。
「どういうことも何も、そういうこと。俺とセシリアは、婚約したんだ。つい先日、国王と王妃にも宣言したから、今頃ブラッドレイ家にも文が届いているはずだよ。王子妃教育のために、王城に住むようにって」
「……っ」
何も言い返せない僕は、いつの間にか手紙を握りしめていた。
セシリアの綺麗な文字が綴られたそれは、僕の心みたいにくしゃくしゃになっていた。
婚約なんて冗談じゃない!
そう叫びたかった。
セシリア、君は兄上のことが好きだったのか?
そう問いかけてみたかった。
だから、手紙の返事なんて到底書ける心情ではなかったのだ。
*********
「王妃教育」→「王子妃教育」に変更しました。
ご指摘くださったrikaco様、ありがとうございます。
ただ、エドワードのことを「王太子」としている部分が自力では見つかりませんでした。
申し訳ありません。
2017.08.20.
僕はセシリアからの手紙を手に、学園へと乗り込んだ。
王城に住む僕にとって、王都にある学園などほんの目と鼻の先なのだ。
僕の言葉に兄のエドワードは、にっこりと微笑んだ。
昔はコンプレックスを感じながらも、裏表のない兄は、どこか憎めない人だと思っていた。
だが、ここ最近は、いいや、セシリアが関わる話だけ、どうにも昔の兄はいないように思う。
なんだか、何を考えているのか分からない笑顔をするのだ。
まとわりつくような、溺れてしまうような、そんな笑顔を。
「どういうことも何も、そういうこと。俺とセシリアは、婚約したんだ。つい先日、国王と王妃にも宣言したから、今頃ブラッドレイ家にも文が届いているはずだよ。王子妃教育のために、王城に住むようにって」
「……っ」
何も言い返せない僕は、いつの間にか手紙を握りしめていた。
セシリアの綺麗な文字が綴られたそれは、僕の心みたいにくしゃくしゃになっていた。
婚約なんて冗談じゃない!
そう叫びたかった。
セシリア、君は兄上のことが好きだったのか?
そう問いかけてみたかった。
だから、手紙の返事なんて到底書ける心情ではなかったのだ。
*********
「王妃教育」→「王子妃教育」に変更しました。
ご指摘くださったrikaco様、ありがとうございます。
ただ、エドワードのことを「王太子」としている部分が自力では見つかりませんでした。
申し訳ありません。
2017.08.20.
応援ありがとうございます!
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