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一方その頃、麗は王城内の図書館へと足を運んでいた。この世界で採取可能な素材について調べるためだ。
一刻を争う事態に彼女で出来うる限り、抗おうとしていた。それこそが春野麗がこの世界に存在する唯一の理由であるのだから。
真剣に古書を読み耽る麗の前に、一人の人物が座り込む。黒い影が視界に映り込み、麗は顔を上げた。
目の前に立っていたのは魔術師のローブを着た人物だった。魔術師は布の奥からじっと麗を見て、口を開いた。
「大丈夫?」
魔術師のことをよく知っている麗は彼からそんな台詞が飛び出してくるなど思いもよらず、数回の瞬きをした。
魔術師は麗を心配していた。そのことがどうにもおかしくて、くすぐったくて、彼女は笑った。
「えぇ、平気よ。心配してくれてありがとう」
魔術師は麗の言うことを丸きり信じていないようではあったが、それ以上何かを言うこともなく、そっとその場を離れたのだった。
相も変わらず自由なその背中を一瞥し、麗は再び書物へと視線を戻した。
一刻を争う事態に彼女で出来うる限り、抗おうとしていた。それこそが春野麗がこの世界に存在する唯一の理由であるのだから。
真剣に古書を読み耽る麗の前に、一人の人物が座り込む。黒い影が視界に映り込み、麗は顔を上げた。
目の前に立っていたのは魔術師のローブを着た人物だった。魔術師は布の奥からじっと麗を見て、口を開いた。
「大丈夫?」
魔術師のことをよく知っている麗は彼からそんな台詞が飛び出してくるなど思いもよらず、数回の瞬きをした。
魔術師は麗を心配していた。そのことがどうにもおかしくて、くすぐったくて、彼女は笑った。
「えぇ、平気よ。心配してくれてありがとう」
魔術師は麗の言うことを丸きり信じていないようではあったが、それ以上何かを言うこともなく、そっとその場を離れたのだった。
相も変わらず自由なその背中を一瞥し、麗は再び書物へと視線を戻した。
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