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第2章
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革命の前夜、私はオヤジと話をした。
「ねぇ、オヤジはどうして暁の味方をするの?」
「愛する女房が死んじまったからなぁ。下層居住区だとな、上と違って子どもを自由に産めるんだよ。だけど、大気汚染が酷いからよ。大概、子どもは生まれてすぐ死んじまうし、産後の弱った身体で母親も死んじまう。それでも、産みたいって言うから。俺は最善を尽くした。……んで、今は独り。独りになったらな、上で呑気に生きているやつらが恨めしく思うんだよな。あのワンルームの空気さえありゃ、俺の家族は今も生きていたはずなのにってよ」
「それで、人類を裏切っちゃうんだ」
「どうせ、滅びるんなら早い方がいいだろう?」
「オヤジは歪んでるね。まぁ、私もたぶん大概だけど」
「ははっ」
人類同士の私とオヤジは結局、最後まで分かり合えなかった。
だって、私はオヤジ以外の人間のこと、何にも知らなかったし。
そんな人たちのこと、本当はどうでもよかったし。
キキと一緒に永遠を生きられるなら、それで良かったんだもん。
「本当にいいのか? モグラの計画に乗って」
「……うん。だって、やっぱりキキは私だけのアンドロイドだから」
「はっ。人間じゃねぇやつを愛するってわけか。人類を裏切って」
「信じられない? 私はオヤジの方が信じられない。人間を愛しているから、同じ人間を恨んでしまうなんて」
「人間ってのはそういう生き物なんだよ」
眩しそうに目を細めたオヤジの言うことはやっぱり少しも理解出来なかった。
「じゃあ、私は生まれたときから人間じゃなかったのかもね。上層居住区にいる人たち、みぃんなとっくに人間であることをやめたのかもね……」
私の言葉にオヤジは何も返さなかった。ただ、黙って空を見上げていた。
濁った夜空に浮かぶのは、上層居住区の窓から漏れる微かな明かりだけだった。
「ねぇ、オヤジはどうして暁の味方をするの?」
「愛する女房が死んじまったからなぁ。下層居住区だとな、上と違って子どもを自由に産めるんだよ。だけど、大気汚染が酷いからよ。大概、子どもは生まれてすぐ死んじまうし、産後の弱った身体で母親も死んじまう。それでも、産みたいって言うから。俺は最善を尽くした。……んで、今は独り。独りになったらな、上で呑気に生きているやつらが恨めしく思うんだよな。あのワンルームの空気さえありゃ、俺の家族は今も生きていたはずなのにってよ」
「それで、人類を裏切っちゃうんだ」
「どうせ、滅びるんなら早い方がいいだろう?」
「オヤジは歪んでるね。まぁ、私もたぶん大概だけど」
「ははっ」
人類同士の私とオヤジは結局、最後まで分かり合えなかった。
だって、私はオヤジ以外の人間のこと、何にも知らなかったし。
そんな人たちのこと、本当はどうでもよかったし。
キキと一緒に永遠を生きられるなら、それで良かったんだもん。
「本当にいいのか? モグラの計画に乗って」
「……うん。だって、やっぱりキキは私だけのアンドロイドだから」
「はっ。人間じゃねぇやつを愛するってわけか。人類を裏切って」
「信じられない? 私はオヤジの方が信じられない。人間を愛しているから、同じ人間を恨んでしまうなんて」
「人間ってのはそういう生き物なんだよ」
眩しそうに目を細めたオヤジの言うことはやっぱり少しも理解出来なかった。
「じゃあ、私は生まれたときから人間じゃなかったのかもね。上層居住区にいる人たち、みぃんなとっくに人間であることをやめたのかもね……」
私の言葉にオヤジは何も返さなかった。ただ、黙って空を見上げていた。
濁った夜空に浮かぶのは、上層居住区の窓から漏れる微かな明かりだけだった。
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