紳士と黒猫

高殿アカリ

文字の大きさ
3 / 10
序章みたいな短編

3

しおりを挟む
3人が応接室に入ると、執事の男は2人をソファに座らせ、紅茶を出す。

「主人を呼んでまいります。少々お待ちくださいませ」

そう言って執事が応接室を出ると、真鍋がしょんぼりと肩を落として、小田に話しかけた。

「小田さん、私たち遅かったんですかね……」

小田は出された紅茶を一口啜る。
そして、この洋館の主人とやらのことを思い返して、笑みを浮かべた。

「いや、たぶん大丈夫だろうよ」

小田の自信満々な様子に真鍋は顔を上げる。

「それってどういう……」

彼女の言葉が最後まで告げられる前に、応接室の扉が開いた。
執事の後に続いて部屋に入ってきたのは、灰色の髪とちょび髭を生やした紳士な雰囲気を持つ男性だった。

彼は2人の客人を見て、右手を挙げた。

「やぁ、久しぶりじゃないか、泰造!」

その挨拶に小田もまた片手を挙げて応える。

「おう、久しぶりだな。ところで、煙草吸ってもいいか?」
「ははは、結局禁煙は出来なかったみたいだね」

朗らかに笑い、当主らしき男性は、小田と真鍋の向かいに座る。
それを了承の合図だと受け取った小田は、徐に煙草に火をつけた。

フランクな2人の様子に真鍋幸子だけが取り残されている。

「あの~、2人はどういったご関係で……」

恐る恐る切り出した真鍋に、2人が同時に答えた。

「大切な友人ですよ」
「ただの腐れ縁だ」

灰色の男性が真鍋に微笑む一方、小田は彼女を睨んだ。
2人のちぐはぐな様子から逃げるように真鍋は慌てて紅茶を飲む始末。

その様子に、再び灰色の男性は笑い声を上げ、

「失礼しました。ご挨拶がまだでしたね。僕はこの西園寺家の現当主、西園寺レオンと言います。今日はわざわざお越しください、ありがとうございます」

途端、小田は睨むのをやめ、真面目な顔になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...