異世界彼女と冒険者

スマイルグッド

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第一章 旅立ち

第八話 いざ、森へ!

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 ぼくたちは今、冒険者ギルドのギルドマスターの前にいる。
 なんでも、最近緊急救援要請がきたここより北東のバルバク村の事を偵察してほしいとのこと。

 「まずは名前を。私はシンシア・ロイ・クーアンと言います。以後御見知りおきを」

 ぼくたちも慌てて名乗る。

 「存じ上げております」

 なるほどぼくたちを調べたのか。
 仕事の依頼って言ってたけど。
 なんでぼくたちなのかを聞いたところ・・・。

 「あなたたちが、魔物を仲間にしたことは既にこちらでも知らされています。というかもうあなたたちをこの町で知らない人はいないでしょうね。」

 「ああ、魔物って珍しいらしいですもんね」

 「いいえ。それだけではありませんよ?」

 「・・・え?どういう事ですか?」

 「あなたたちはたった二人だけのパーティーであのライガーアームを倒してしまったのですから。それを聞いたときは本当にビックリしましたが・・・。しかし、本当に若いですね。報告書通りですが、こうも若いと少し疑ってしまいますね。」

え、ライガーアームって、そんなにヤバい奴なの?
 でもフィアそんなこと言わなかったし、いや、聞いてないから言わなかっただけかな?
 フィアとアイコンタクトをしてみた。練習したことないけど。
 首を傾げられた。ま、そうだよね。

 それはともかく、あの時は必死で、それも倒せたと言ってもぎりぎりだったし。
 謙遜でもなんでもなくそうなんだから、ちゃんと言っておく。

 「別に余裕でってわけじゃないですよ?しかも思いっきり不意打ちしたのに、やられかけたんで実際普通にやったらやられてたと思ますし」


 どう伝わってるか知らないがぼく達は冒険者としてまだ一週間程しか生きていない。
 だから経験も実力も、誇る程ないし全然足りないと思っている。(戦闘以外の部分はほとんどフィア任せのぼくが言うのもなんだけど)
 少なくとも今は増長したりするべきではないのは明白だ。

 「しかし、あなたたちはあのライガーアームをまぐれでも倒して見せた。まぐれでも倒せるパーティーなんてそうはいません、実際今、。出張に行っている選抜メンバーにはまだ遠く及んでないようですが、それでもあなた方ならいずれは並び立つ時がくるかも知れません」
 
 え、ギルドマスターはこの街の貴族か何かなの?
 この人も相当若いと思うんだけど。

 「だからこそ、この対応です」

 彼女はぼくの思考を遮るように、そしてその反応に答えるが如く話す。
 
 「私はこの地をおさめる領主をしておりまして、元々この街は冒険者の街と呼ばれる程冒険者の数が多く、そのサポートも他と比べ充実していると自負しています。そしてこの街は、結果を出した有能な冒険者には、手厚いサポートを約束しています。」
 やはりこの人は偉いさんのしかもこの街の領主だった。
 この街って意外と冒険者の理想郷だったんだなぁ、本当意外だ。

 彼女は一拍おいて、もう一度話し出す。

 「話は最初に戻りますが、あなた方にはカッコン草原の奥、リューシュラの森に行ってほしいのです。もちろん、相応の対価は支払います。」

 う~ん、でもなぁ。
 お金は欲しい、何をくれるのか知らないけど、マジックアイテムも欲しい。
 欲しい物はたくさんある、でも今ぼくたちしかできない依頼ということはそれ相応の危険が付き纏う。
 話から察するに、ライガーアームとはいかないまでも、危険な任務に違いない。
 欲しい物はあるが、それでも命あってのものだねだ。
 ある一定の強さになれば危険を侵さずともしっかり稼いだりはできるし。ぼくたちはもうその段階へ来ている。ここで無理するよりは、安全にいきたいが・・・多分それだけ切羽詰まってるということなんだろう。
 

 だけど、ぼく自身、なんだか放ってはおけないんだ。ここには何かある気がする、大切な何かが。
 勘違いかも、気のせいかも知れないけど行かなければと思う自分がいる。
 フィアに向かって視線で問い掛ける。アイコンタクトは理解してくれなかった彼女も今度はちゃんと頷いてくれた。
 依頼は偵察であって、戦闘じゃない。いざとなれば逃げていいし、逃げ足ならとびっきり優秀なのがぼくにはいる。

 「まずは内容を聞いてみて、話はそれからでも言いですか?」

そう問い掛けた。



 ***




 先日バルバク村から緊急援軍要請があった。
 こんな事は勇者に『』が討伐されてここ数百年一度もなかったためすぐには対応できなかった。
 尚且つ今はここの精鋭部隊、選抜者達は遠征にいっていてここにはいない。
 軍を再編するにも時間がかかる。その間偵察に行かせて周囲の近況を報告させたいところだが、生憎と草原を横断できる十分に強い兵はいなかった。
 仕方なく冒険者を雇い偵察だけでもと思うがそれも先と同じ理由で断念、軍が再編されるまで情報は諦めるしかないと思っていた所に、ぼくたちが現れた。
 ライガーアームを討伐、更には滅多にいない眷属化を使うものが現れた、ご丁寧にクリンクアという逃げ足スピード特化の魔物を引き連れている。
 草原の王者グリフィンの標的をかい潜り、素早く森に行けるのはぼくたちしかいない、そういう事だそうだ。
 依頼は、偵察に加え、危険のない程度での周辺モンスターの駆除。
 村人がいた場合、子供優先で街に送り届けて欲しいとのこと。
 子供の件は寧ろ言われなくてもそうしようと思っていた。

 「では、依頼を受けてくれると言うことでよろしいですね?」

 二人揃って頷く。

 「ありがとうございます。では次にライガーアーム討伐の報酬ですが、危険な緊急クエストを引き受けてもらう分、前金としていろいろ上乗せしておきましたので、後でご確認下さい。それでは他に仕事が残っていますのでこれで私は失礼させていただきますね。」

 そういって、彼女は奥の部屋へとこ消えて行った。
 残されたぼくたちはメイドさんに案内され、地下の倉庫へと連れていってもらった。
 そこでは・・・。
 三人のメイドがそれぞれ一個ずつ持っていた。豪華な装飾が施された剣、それにシンプルながら綺麗で華美なアクセサリーのついた杖、それからしっかりとした革製の鞍をそれぞれ一人ずつ渡していく。
 剣の名前は『荒神の剣』、フィアの杖は『白魔導の蠍杖』というマジックアイテムらしい。
 効果は紙に書いてあるのでとそれを渡された。

 荒神の剣は、理性を一時的に封印することで、あげたい能力を一時的に二割増しにする『限界突破リミッター解除』、白魔導の蠍杖は回復魔法の回復量を上昇させる、が回復速度が下がるという効果だ。
 デメリットもあるがぼくのリミッター解除以外はそんなに気にしなくていい初心者ようの扱いやすいマジックアイテムと書いてあった。

 まあ、ステータス制限がある分、初心者では装備できない人が殆どであるため、使える人が出るまでお蔵入りしたので、ちょうどいい機会出し、あげるという文が添え書きしてあった。
 ステータス制限に適ってないと、剣なら振り回すのにすごく重くなるし、杖なら持っている間、精神力が足りないと精神が壊れていくらしい。なんでもずっと変な人の声が頭の中に響くそう。


 杖めっちゃ怖いやん・・・。
 
 
 
 
 ***




 冒険者ギルドから出た。
 ぼくたちが奥から出てくると、みんながみんなこっちを見てくる。
 尊敬の眼差しを向けるものもいれば、妬ましそうにこちらを見てくる奴もいる。
 やっぱり、どの世界でも新参者は疎まれたりするんだなぁ。

 今は昼過ぎ程度だ。
 今日はこれから食糧を買い込んで、それから街の外にクリアを連れて、貰った武器の使い心地を確認する。

 早速フィアと共に買い物へと行く、その途中。
 
 「サイ、その・・・、今日は何かお店で食べていこう?」

 フィアから食事のお誘いがきた。
 え、いいの?素直に喜んじゃうよ?

 「そ、そうだね。・・・どこいきたい?」
 「それなら私いいとこ知ってる」

 胸を張って後ろに手を組みながら答えるフィア。
 かわいいなぁ、ぼくは素直にそう思う。
 そしてぼくの視線は一点、いや、二点に釘ずけになる。

 フィアが、ぼくの視線に気づいて慌てて隠し、ムッと睨んできた。

 「じろじろ見ないで・・・」

 そう赤面した顔で言われた。
 Oh~,fantastic!
 それはご褒美です。すごくかわいい。なんという破壊力だ。危うくキュン死させられる所だった。
 でもちょっと怒ってるかも知れないのでちゃんと謝っておく。
 まだちょっと納得してくれてないみたいだけど。

 「それじゃ、いこう?」
 
 
 そうしてぼくたちは買い物を始める。
 今日の夜食は楽しみだ!


 ***


 日がすこしづつ傾き始める頃、ぼく達は買い物が終わった。結論から言うと、すごく楽しかった。
 ぼくの交渉術が開花して、殆ど全てを値切って見せたからだ。
 フィアも褒めてくれて、凄いと言ってくれた。
 そんなフィアにぼくは黒のスレンダードレスをプレゼントする。もちろん、値切りは無しで。
 プレゼントを値切るのはちょっとね。
 露出が結構あるので、着てくれないかもと思ったが、フィアは喜んで感動してくれた見たいで、奥の部屋で着替えて来て・・・。

 「似合う?」

 そう聞かれた。一も二もなくもちろん、と答えておいた。
 実際似合ってると思うから買ってきたわけだし。
 意外とある胸がその存在感を強調している。
 いい。実に。
 今日着ていく服にピッタリだろう。服屋よ、ナイスチョイスだ。
 心の中でサムズアップしておく。

 汚れてはいけないので、もう一度奥の部屋で着替えきてもらった。


 そうしてぼくたちは宿に戻り、軽装鎧に着替えると、クリアを連れて街の外へ繰り出した。
 鞍をつけて乗りながらちゃんと攻撃できるかとか、乗り心地を確認する。
 よし、問題ない。
 フィアもステータス制限は大丈夫みたいだった。
 

 街に戻り、大浴場に向かう。汗を落として、さっぱりしたら宿に戻ってクリアを寝かしつける。

 「それじゃいこう?」

 こうして、ぼくたちは貴族御用達のレストラン『ラジエイト』でドレスコードを通過し中に入る。ぼくの制服(この世界の礼服)が余りにも安いから渋々といった感じだったけど。
 
 食事はコースなので!ゆっくり自分達のペースで食べ進める。
 今日の買い物で楽しかった話とか、面白い話とかたくさんした。
 
 料理の味も良く、さすがに高いだけはあった。

 フィアは笑っている。普段、結構無口で無表情な分よりいっそう魅力的だった。
 こんな時間がもっと続けばいいのに。
 すごくそう思う。


 食事も食べ終わりそろそろ帰ろうかとなり、宿屋の道中で明日の話をする。

 明日は、あの草原を超えなければならない。クリアの足の速さにも因るが、なるべく早く行って帰ってきたい。

 ちらっと彼女の横顔を見る。
 楽しそうにぼくに話していて、フィアの笑顔がかわいい。

 フィアはぼくの・・・大切な仲間だ。
 彼女を危険な目に合わせたくない。そんなぼくがいる。
 彼女が愛おしい。
 失いたくないし、そんなことにはさせない。

 もう一度じっくりとフィアの横顔を見る。フィアが視線に気づいて、「どうかした?」と聞いてきた。
 「なんでもないよ」と答えるとまた花のような笑顔で楽しそうに話だす。密かにぼくは覚悟を決める。

 

 なにがあっても、君はぼくが守るから。



 心の中でそう呟いた。
 
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