Be The Ace! ~転生チートで世界征服!?~ アルファポリス用

荒波

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異世界地球編

10歳 祖父と孫娘の港町紀行

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 イツキとアーディンはドゥクス邸を後にして2時間後にはネブラの港の入り口に下り立っていた。
 ここでは住民の名簿が管理されておらず、アーディンの戦友を頼りにすることができなかったため、宿に宿泊するしかなかった。

「ところで、何を貰ったんだ?」

 その問いに、イツキは胸のポケットから巾着袋を取り出して中を見た。

「えっと、金色の硬貨が1、2、3、4、5、6、7枚入ってたよ」
「金色の硬貨……ちょっと見せてみろ」

 そう言うとアーディンはイツキから巾着袋を取り上げ中身を確認する。

「これはまた思い切ったことをする」
「え、どうしたの?」
「これは1万サタナス金貨。この港の1番いい宿に泊っても100サタナスもしないだろうからその価値がすごいのはわかるだろう?」

 この世界の金銭感覚はずぶの素人のイツキだった。

(高級なホテルなら1泊10万円とかするよねぇ。そう考えると1サタナス1,000円くらいなのかな?ただの子供に7,000万も上げられないな)

「うん。なんとなくだけどわかった」
「それを7枚もくれたって事は、相当お前に期待しているんだろうな」
「推薦状もあるしそれは間違いないかも」
「とりあえず両替をしなきゃならん。金貨なんかあっても釣りに困るだけだからな」

 そう言うとアーディンは港の方へ歩いて行った。
 船から荷を下ろして保管する倉庫街の脇に両替商はあった。
 金貨、銀貨、銅貨が三角形に配置されており、それぞれを両矢印で指している看板だ。
 なかなかわかりやすいとイツキは感心した。
 両替商の店の中はカウンターと仕切りがあり、店員からも客からも誰が相手であるかわからないようにされていた。
 アーディンは店に入るとカウンターに金貨を1枚置いた。
 すると奥からするすると手が伸びてきて金貨を持っていった。
 少し待つと、まず四角い銀貨が9枚出てきた。
 次に丸い銀貨が8枚出てきた。
 その次は四角い銅貨が9枚、その次は丸い銅貨が10枚出てきた。
 アーディンはそれを巾着袋に入れる前にイツキに教える。

「まず四角い銀貨が1,000サタナス、次の丸い銀貨が100サタナス、四角い銅貨が10サタナス、丸い銅貨が1サタナス。では、今受け取った硬貨の合計は?」
「9,900サタナスだよ。簡単簡単」
「上出来だ。次は宿屋へ行くぞ」

 そう言うとアーディンは一番高い建物(と言っても4階建てくらい)に向かっていった。

「一番いい部屋をとりあえず5泊頼む」

 アーディンが宿屋に入るとすぐにこれだから仲居さんは狼狽するものの、すぐにペースを取り戻す。

「はい。1等室は1泊75サタナスですので、」
「いや、この子に計算させよう。いくらになる?」
「375サタナスです」
「はい。その通りです。全額前払いとなっておりますので支払いの方よろしくお願いいたします」

 と言われたので、丸い銀貨3枚と四角い銅貨7枚、丸い銅貨5枚を支払う。

「お部屋は最上階になります。お食事は朝夕の2回、あらかじめお伝えいただければお部屋までお持ちいたします」

 そう言って仲居さんは鍵をくれた。

「上まで飛んで行けますか?」
「窓は嵌め殺しになっておりますので外からは入れませんよ」

 そう言われたので、イツキはしぶしぶ階段で上がっていった。
 最上階である4階まで上がると周りが一望できた。
 部屋に入ると正面は海が見えており、その先にはモクモクと煙を上げる火山を目にすることができた。
 アーディンはイツキのトランクを置くと、港町を満喫する気満々だった。

「さぁ行くぞイツキ!こういったところでは魚介類がうまいんだ」

 イツキも杖を置くと、アーディンに連れられて魚市場の辺りをうろつくことになった。
 お昼時ということもあり、串焼きや炭火網焼きのお店が建ち並ぶ通り(通称は食い倒れ通りらしい)は人が多かった。
 しかし、アーディンは気にせず突き進む。

「満腹になると重いものは入らなくなるから揚げ物から行くぞ!」

 という言葉通り、イカフライ、タコフライ、エビフライ、ヒラメフライ、カレイフライと制覇していく。
 計算の練習がてらその支払いを任されたイツキはたまったものではなかった。
 なにしろアーディンに手を引かれながらぴったりの金額を支払っていたのだから、一歩間違えれば食い逃げである。
 イツキがアーディンを止めたのはそのスピードもあるが、何より銅貨がなくなってしまったからである。
 だが、港の両替商のお店は魚市場から近かった。
 アーディンはイツキを両替商の所に連れていくと100サタナス銀貨をすべて10サタナス銅貨に変えさせた。
 そして、食い倒れの旅は続くのだった。
 アーディンが食べイツキが支払う。
 そんなことを何度か続けた。

「なんだ、お前は食わねえのか?」
「今日はおじいちゃんに合わせますよ。ところでいつ帰るんですか?」

 イツキはアーディンに引っ張り回されるのが懲り懲りになっていた。

「これに飽きたらだな」
「じゃあそれまでおじいちゃん優先で」

 そりあえず、ここでもおべっかを使っておく。

「うれしいこと言ってくれるじゃねえか。ん、もしかして早く帰れって言ってるか?」
「いえいえ。今別れたらいつまた会えるかわからないでしょう?だから別にいいんですよ」
「……ありがとうよ。それじゃあ宿に戻るか」
「はい」

 そんなやり取りをしていたイツキだが、気になるものはあった。
 時折、味噌や醤油を焦がした香ばしい香りがあったからだ。
 転生して10年、これほど日本食が恋しいと思うことはなかっただろう。
 後ろ髪を引かれながらも宿に戻る。
 まずするのは杖の確認。
 ちゃんとベッドの上に置いてあり魔力の流れ方からしても本物だ。
 次にトランクの中の推薦書の確認だ。
 封蝋の確認をし、明りに透かして中に文書が入っていることを確認する。
 確認が終わったらトランクにしまい保管する。
 お昼と夕食の中間くらい、丁度中途半端な時間だ。

「おじいちゃん、なにか暇つぶしはない?」
「それなら1階の大浴場で汗を流してくるといい。温泉だから何か効能があったぞ」
「それじゃあちょっと行ってくるかな。浴衣はあるのかな?」
「机の引き出しの中だ」

(浴衣あるんだ!)

「ありがとう。それじゃ入ってくるね」

 ということで浴衣も持って温泉体験だ。
 1階に下りると大浴場と書かれた矢印を見つける。
 その先にどんどん進んでいくと、のれんがかかった入口が3つあった。
 1つは♂のマーク、1つは♀のマーク、もう一つは♂と♀のマークを掛け合わせたものだった。
 転生してから10年経つが心は男である。
 ただし、体は女であることは自覚しているため女湯ののれんをすんなりとくぐる。
 中は木製の棚と蔦で編んだかごが50はあるだろうか。
 大量生産ができない時代にこれだけの物を用意したことに宿のすごさを感じた。
 棚とかごは2段使わせてもらうことにして、上に浴衣、下に着ていたものを入れる。
 温泉の入口前にはタオルとバスタオルが山のように積んであったので、体を洗うようにタオルを持っていくことにした。
 中に入ると檜の香りがした。
 右手には名に恥じない檜の大きなお風呂、左はシャワーが設置されており鏡張りで、石鹸やシャンプー、コンディショナー、ボディソープが用意されていた。
 イツキはまずかけ湯を浴びると鏡に映る自分の姿を見つめていた。
 碧眼にエルフ耳、金髪は腰よりもさらに伸びていた。


(こんな子が戦争に行くんだから世も末なのかな?この子が成長して魔王なり皇帝なりになるのが私の目標なんだよな。想像つかないや)

 イツキはそんなセンチメンタルな感じになっていた。
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