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異世界地球編
10歳 乗船
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「やっと戻ってきたか。間に合わないかと思ったぞ」
そういうアーディンの隣には母ウルラの姿もあった。
「到着したらお父さんにいないって言われて驚いたのよ。あんまり心配させないようにね」
「ごめんなさい、お母さん。でも、友達ができたんです。紹介します。天狗のアウィスです」
イツキが母親に友達を紹介するのは生まれて初めてだった。
「はじめまして、イツキのお母さん。アウィス=ソルフィリアです。よろしくお願いします」
「まぁ、ご丁寧に。イツキの母親のウルラです。仲良くしてあげてね」
「はい、もちろん」
2人はがっちりと握手をした。
「ところで、羽団扇はどうしたんだ?」
「ドゥクスさんの杖を改造させていただきました。おじいちゃんにまた世界樹の枝を取ってきてほしいそうです」
「また面倒な」
そこで、イツキは窓の外を見る。
穏やかなうち海に、船の準備に忙しい人々、巨大な船、船尾にはためく巨大な旗、来たときとはまったく違う風景となっていた。
「あの旗はどこの国のものです?」
イツキが指さしたのは船尾にはためく旗だった。
紫色に山羊の骨が刻まれている。
「あれは魔王国の旗だ。これから世話になるからよく見ることになるだろう」
「船はいつ出港するんでしょうか?」
「明日の朝だそうだ」
「そうですか」
そうなると祖父ともお別れとなる。
「そう湿っぽい顔をするな。お前の力があれば必ず生きて帰ってこれる。俺が保障しよう」
「ありがとうございます。……魔王国本土は遠いのでしょうか?」
「俺も行ったことがないからわからん。ただ、飽きることは少なそうだぞ。通りを見ろ!ハーピー以外にもいろいろな種族が入るだろう?」
イツキが通りを見ると、ハーピーのように鳥の翼を持つものや蝙蝠のような翼を持つもの、虫の羽を持つもの、翼を持たないが飛行するもの、飛べる生物の世話をするものと様々であった。
顔も人間の顔も入ればトカゲの顔をしたもの、鳥の顔をしたもの、ヤギの角を生やしたもの、額の真ん中から大きな角が出ているもの、額の左右から小さな角が生えているもの、八重歯の長いものと様々だった。
「確かにいろいろですね。でもよくこれだけの人種がいましたね」
「魔王は多様性を尊重しているからな。こんなにもなるさ。ウルラも新種族だしな」
「鳥人とエルフを掛け合わせるなんて誰も思いませんよ、でもこれ統制が取れるんですかね?」
「大丈夫だろう。現にここまで来てるしな」
アーディンと話していたらアウィスから誘いを受ける。
「ねぇ、あそこで歌ってる人達がいるよ。聴きに行かない?」
ウルラとアーディンに視線を向けると肯いてくれた。
「じゃあ行ってみましょうか」
「夕食までには帰ってこいよ」
そんなアーディンの言葉に押され、夕暮れ時の町に飛び出した。
道端で4人の女性が歌を歌っていた。
種族はセイレーンとシルフだった。
『神は~我等を~見放した~♪しかし~魔王を~遣わした~♪我らの魔王~我らの魔王~我らの魔王はここに立てり~♪』
イツキはこういったことに疎かった。
「ねぇ、この曲って有名なの?」
「魔王賛美歌の第1章じゃない。知らないの?」
「エルフの村ではこういうの聞いたことがなくって。どんな歌なの?」
「昔奴隷だったご先祖様の亜人を魔王様が救っていくって話よ」
「そうなんだ」
「……魔法陣の勉強より歴史の勉強が必要じゃない?」
「必要があれば覚えます」
「一般常識レベルは覚えなさい」
「……はい」
それからも歌は続く。
『人として~生きる~ただ~それだけが~望み~であった~望み~であった~♪』
『いざ立て、男達よ!魔王に続け!人間に奪われし富を取り返せ!』
『決して~かなわぬ~恋を~することを~許し~賜え~許し~賜え~♪』
『あの人間が~あの売女が~我らから~魔王を~奪っていった~♪』
『英雄達を~守り賜え~我らを~逃すため~残る彼らを~守り賜え~♪』
『何も残してはならぬ!何も残してはならぬ!麦の一粒が~我らの血の一滴!』
『戻り~しや、戻り~しや、戻り~し魔王はここに立てり~♪』
『知恵の~泉は~不毛な~砂漠を~緑~豊かな土地へと~変えた~♪』
『魔車魔車ごとごとごとごとごっとごと!いっぱい乗せてごとごとごっとごと!』
段々と歌が進むにつれて歌う人も聴く人も増え、最後は大合唱だった。
「どう、なんとなくわかった?」
「ちょっと確認させて。まず、過去に亜人は人間の奴隷だった。そこに魔王が現れた。魔王は亜人を糾合して人間と戦った。魔王はモテモテだった。ここまではいい?」
「そうそう」
「その次が問題なんだけど、人間の女性が魔王を奪ったってどういうこと?」
「聖女と呼ばれる人間の女性が魔王を封印したのよ。」
「なるほど。それで、士気が維持できなくなって戦線が後退した。その後退の際にはしんがりを置きつつ、焦土作戦で何も残さないようにしていった。それから魔王は復活したって感じかな?」
「戦線とか後退とかしんがりとか焦土作戦とか難しい言葉を使っているけどおおむねその通りよ」
「わかって言ってます?」
「と、当然じゃない!」
「まあいいや。それで、魔王が復活した後の歌なんだけど、どういうことです?」
「魔王様は大半が不毛な砂漠だった魔王国本土を緑豊かな土地にしたって聞いたことがあるわ。それから、輸送力向上のために何か作ったんだって。」
「ふーん、で、復活した魔王様は空軍を整備しようとしてわたし達が呼ばれているってわけだね」
「そう!新たな魔王の尖兵になるの!素敵でしょう?」
「素敵かどうかは別として、すっかり日も暮れて夕食が残ってるかどうかなんだけど……」
「忘れてた!」
宿に戻ると、コックさんが火を落とすところだった。
何とか温かい夕食にありつくとそれぞれの部屋に帰った。
部屋に戻ると祖父アーディンと母ウルラに心配されていたので素直に謝った。
翌日に備えて寝ようとするが、ベットは二つしかなかった。
そのためウルラと一緒に寝ようかと考えたのだが、戦いに赴く者に何かあっては困るとアーディンがソファで寝ることになった。
翌朝、アウィスも含めて4人で朝食を摂る。
なんとなく雰囲気が重かった。
イツキは空気を変えようと口を開く。
「帰ってきたら、また買い食いしましょう。そのときはお母さんもアウィスさんも一緒に」
「そうだな。季節によって採れるものも違うしな。蒸し物と煮物、刺身の食べ歩きはまだ未体験だろう?帰ってきたら連れて行ってやる」
「そうね、アウィスちゃんも一緒にね」
「いいんですか?」
アウィスは驚くがイツキは気にしない。
「帰ってくる頃にはもっと親しくなってるでしょう。それともいや?」
そうイツキが訊くとアウィスは首を振る。
「ありがとう」
イツキは感謝の言葉をもらった。
朝食を終えると荷物の最終確認だ。
トランクを開けて推薦書を確認する。
封蝋の確認をし、明りに透かして中に文書が入っていることを確認した。
次に作ってもらった服、パッキングに問題はない。
最後に杖、魔力を流し本物であることを確認した。
準備は完了した。
荷物は船の中に置いて来ているウルラは手ぶらだ。
アーディンも見送りのため手ぶらで出て行く。
アウィスは衣服を入れた麻袋と羽団扇を手に宿を出発する。
港は人で溢れかえっており、はぐれない様に遠くから様子見をした。
「混んでますね」
「それはそうだろう。この規模の船だ。町が一つ越して来たようなものだ。町中の人が集まればこんな騒ぎにもなる」
「でも、歩みが遅いわねぇ。どうしたんでしょう?」
ウルラは人混みを見ながら心配そうにしていた。
「今のうちに何か買ってきてやろう。少し待ってろ」
アーディンはそう言うと食い倒れ通りに行ってしまった。
「あなたのおじいさんって変わってるわね」
そんなことを言われたイツキは穴があったら入りたかった。
しばらくしてアーディンがイカフライを買ってきた。
それを食べ終えてもまだ混雑が続いていたため、アーディンが今度はタコフライを買ってきた。
それを食べ終えるとやっと混雑も解消されてきた。
「じゃあ行きましょう」
そう言ったウルラを先頭に船の方に歩いていく。
埠頭の前に着くと、混雑の原因がわかった。
どうやったかは知らないが名簿ができており、1人1人照会していたのだ。
濃紺の制服に身を包んだ兵士たちは3人体制でチェックを行っていた。
名簿を持った兵士、不測の事態に備える兵士、そしてサトリ=ウォルンタース13世がそこにいた。
その辺りで乗船する者と見送りの者が分かれることになっていた。
「ではな。食べ歩きの件、忘れないようにな」
「はい。行って参ります」
「おじいちゃん、またね」
アーディンの言葉にウルラとイツキが返す。
アウィスは、軽く礼をした。
「ウルラ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス。乗船の許可を求めます」
(なんかお母さんがかっこいい)
「確認しました!」
名簿を持った兵士がそう言うとサトリが言う。
「乗船を許可する」
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス。乗船の許可を求めます」
真似をしてみた。
「確認できません!」
「なに!」
それまで少しぼやっとしていたサトリがハッとする。
そして、イツキを見るとホッと胸をなでおろした。
「イツキさんでしたか。スンムス将軍との話はどうなりましたか?」
「義勇兵として参加するようにと……。推薦書もお見せしましょうか?」
「いや、ロンガ将軍への書簡、勝手に開けてはこちらが怒られてしまう。乗船を許可する」
そう言われて前の方に進むよう促された。
先に入ったウルラと合流すると、ほどなくしてアウィスがやってきた。
3人で甲板から下ろされたタラップを上る。
甲板の上には人が大勢いた。
「食堂に集合してください!食堂は一つ下の階です!前と後ろの船楼から下りてください!」
そう叫んでいる兵士さんがいる。
「では、食堂に行きましょうか」
やっぱりウルラを先頭に食堂へ向かうのだった。
そういうアーディンの隣には母ウルラの姿もあった。
「到着したらお父さんにいないって言われて驚いたのよ。あんまり心配させないようにね」
「ごめんなさい、お母さん。でも、友達ができたんです。紹介します。天狗のアウィスです」
イツキが母親に友達を紹介するのは生まれて初めてだった。
「はじめまして、イツキのお母さん。アウィス=ソルフィリアです。よろしくお願いします」
「まぁ、ご丁寧に。イツキの母親のウルラです。仲良くしてあげてね」
「はい、もちろん」
2人はがっちりと握手をした。
「ところで、羽団扇はどうしたんだ?」
「ドゥクスさんの杖を改造させていただきました。おじいちゃんにまた世界樹の枝を取ってきてほしいそうです」
「また面倒な」
そこで、イツキは窓の外を見る。
穏やかなうち海に、船の準備に忙しい人々、巨大な船、船尾にはためく巨大な旗、来たときとはまったく違う風景となっていた。
「あの旗はどこの国のものです?」
イツキが指さしたのは船尾にはためく旗だった。
紫色に山羊の骨が刻まれている。
「あれは魔王国の旗だ。これから世話になるからよく見ることになるだろう」
「船はいつ出港するんでしょうか?」
「明日の朝だそうだ」
「そうですか」
そうなると祖父ともお別れとなる。
「そう湿っぽい顔をするな。お前の力があれば必ず生きて帰ってこれる。俺が保障しよう」
「ありがとうございます。……魔王国本土は遠いのでしょうか?」
「俺も行ったことがないからわからん。ただ、飽きることは少なそうだぞ。通りを見ろ!ハーピー以外にもいろいろな種族が入るだろう?」
イツキが通りを見ると、ハーピーのように鳥の翼を持つものや蝙蝠のような翼を持つもの、虫の羽を持つもの、翼を持たないが飛行するもの、飛べる生物の世話をするものと様々であった。
顔も人間の顔も入ればトカゲの顔をしたもの、鳥の顔をしたもの、ヤギの角を生やしたもの、額の真ん中から大きな角が出ているもの、額の左右から小さな角が生えているもの、八重歯の長いものと様々だった。
「確かにいろいろですね。でもよくこれだけの人種がいましたね」
「魔王は多様性を尊重しているからな。こんなにもなるさ。ウルラも新種族だしな」
「鳥人とエルフを掛け合わせるなんて誰も思いませんよ、でもこれ統制が取れるんですかね?」
「大丈夫だろう。現にここまで来てるしな」
アーディンと話していたらアウィスから誘いを受ける。
「ねぇ、あそこで歌ってる人達がいるよ。聴きに行かない?」
ウルラとアーディンに視線を向けると肯いてくれた。
「じゃあ行ってみましょうか」
「夕食までには帰ってこいよ」
そんなアーディンの言葉に押され、夕暮れ時の町に飛び出した。
道端で4人の女性が歌を歌っていた。
種族はセイレーンとシルフだった。
『神は~我等を~見放した~♪しかし~魔王を~遣わした~♪我らの魔王~我らの魔王~我らの魔王はここに立てり~♪』
イツキはこういったことに疎かった。
「ねぇ、この曲って有名なの?」
「魔王賛美歌の第1章じゃない。知らないの?」
「エルフの村ではこういうの聞いたことがなくって。どんな歌なの?」
「昔奴隷だったご先祖様の亜人を魔王様が救っていくって話よ」
「そうなんだ」
「……魔法陣の勉強より歴史の勉強が必要じゃない?」
「必要があれば覚えます」
「一般常識レベルは覚えなさい」
「……はい」
それからも歌は続く。
『人として~生きる~ただ~それだけが~望み~であった~望み~であった~♪』
『いざ立て、男達よ!魔王に続け!人間に奪われし富を取り返せ!』
『決して~かなわぬ~恋を~することを~許し~賜え~許し~賜え~♪』
『あの人間が~あの売女が~我らから~魔王を~奪っていった~♪』
『英雄達を~守り賜え~我らを~逃すため~残る彼らを~守り賜え~♪』
『何も残してはならぬ!何も残してはならぬ!麦の一粒が~我らの血の一滴!』
『戻り~しや、戻り~しや、戻り~し魔王はここに立てり~♪』
『知恵の~泉は~不毛な~砂漠を~緑~豊かな土地へと~変えた~♪』
『魔車魔車ごとごとごとごとごっとごと!いっぱい乗せてごとごとごっとごと!』
段々と歌が進むにつれて歌う人も聴く人も増え、最後は大合唱だった。
「どう、なんとなくわかった?」
「ちょっと確認させて。まず、過去に亜人は人間の奴隷だった。そこに魔王が現れた。魔王は亜人を糾合して人間と戦った。魔王はモテモテだった。ここまではいい?」
「そうそう」
「その次が問題なんだけど、人間の女性が魔王を奪ったってどういうこと?」
「聖女と呼ばれる人間の女性が魔王を封印したのよ。」
「なるほど。それで、士気が維持できなくなって戦線が後退した。その後退の際にはしんがりを置きつつ、焦土作戦で何も残さないようにしていった。それから魔王は復活したって感じかな?」
「戦線とか後退とかしんがりとか焦土作戦とか難しい言葉を使っているけどおおむねその通りよ」
「わかって言ってます?」
「と、当然じゃない!」
「まあいいや。それで、魔王が復活した後の歌なんだけど、どういうことです?」
「魔王様は大半が不毛な砂漠だった魔王国本土を緑豊かな土地にしたって聞いたことがあるわ。それから、輸送力向上のために何か作ったんだって。」
「ふーん、で、復活した魔王様は空軍を整備しようとしてわたし達が呼ばれているってわけだね」
「そう!新たな魔王の尖兵になるの!素敵でしょう?」
「素敵かどうかは別として、すっかり日も暮れて夕食が残ってるかどうかなんだけど……」
「忘れてた!」
宿に戻ると、コックさんが火を落とすところだった。
何とか温かい夕食にありつくとそれぞれの部屋に帰った。
部屋に戻ると祖父アーディンと母ウルラに心配されていたので素直に謝った。
翌日に備えて寝ようとするが、ベットは二つしかなかった。
そのためウルラと一緒に寝ようかと考えたのだが、戦いに赴く者に何かあっては困るとアーディンがソファで寝ることになった。
翌朝、アウィスも含めて4人で朝食を摂る。
なんとなく雰囲気が重かった。
イツキは空気を変えようと口を開く。
「帰ってきたら、また買い食いしましょう。そのときはお母さんもアウィスさんも一緒に」
「そうだな。季節によって採れるものも違うしな。蒸し物と煮物、刺身の食べ歩きはまだ未体験だろう?帰ってきたら連れて行ってやる」
「そうね、アウィスちゃんも一緒にね」
「いいんですか?」
アウィスは驚くがイツキは気にしない。
「帰ってくる頃にはもっと親しくなってるでしょう。それともいや?」
そうイツキが訊くとアウィスは首を振る。
「ありがとう」
イツキは感謝の言葉をもらった。
朝食を終えると荷物の最終確認だ。
トランクを開けて推薦書を確認する。
封蝋の確認をし、明りに透かして中に文書が入っていることを確認した。
次に作ってもらった服、パッキングに問題はない。
最後に杖、魔力を流し本物であることを確認した。
準備は完了した。
荷物は船の中に置いて来ているウルラは手ぶらだ。
アーディンも見送りのため手ぶらで出て行く。
アウィスは衣服を入れた麻袋と羽団扇を手に宿を出発する。
港は人で溢れかえっており、はぐれない様に遠くから様子見をした。
「混んでますね」
「それはそうだろう。この規模の船だ。町が一つ越して来たようなものだ。町中の人が集まればこんな騒ぎにもなる」
「でも、歩みが遅いわねぇ。どうしたんでしょう?」
ウルラは人混みを見ながら心配そうにしていた。
「今のうちに何か買ってきてやろう。少し待ってろ」
アーディンはそう言うと食い倒れ通りに行ってしまった。
「あなたのおじいさんって変わってるわね」
そんなことを言われたイツキは穴があったら入りたかった。
しばらくしてアーディンがイカフライを買ってきた。
それを食べ終えてもまだ混雑が続いていたため、アーディンが今度はタコフライを買ってきた。
それを食べ終えるとやっと混雑も解消されてきた。
「じゃあ行きましょう」
そう言ったウルラを先頭に船の方に歩いていく。
埠頭の前に着くと、混雑の原因がわかった。
どうやったかは知らないが名簿ができており、1人1人照会していたのだ。
濃紺の制服に身を包んだ兵士たちは3人体制でチェックを行っていた。
名簿を持った兵士、不測の事態に備える兵士、そしてサトリ=ウォルンタース13世がそこにいた。
その辺りで乗船する者と見送りの者が分かれることになっていた。
「ではな。食べ歩きの件、忘れないようにな」
「はい。行って参ります」
「おじいちゃん、またね」
アーディンの言葉にウルラとイツキが返す。
アウィスは、軽く礼をした。
「ウルラ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス。乗船の許可を求めます」
(なんかお母さんがかっこいい)
「確認しました!」
名簿を持った兵士がそう言うとサトリが言う。
「乗船を許可する」
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス。乗船の許可を求めます」
真似をしてみた。
「確認できません!」
「なに!」
それまで少しぼやっとしていたサトリがハッとする。
そして、イツキを見るとホッと胸をなでおろした。
「イツキさんでしたか。スンムス将軍との話はどうなりましたか?」
「義勇兵として参加するようにと……。推薦書もお見せしましょうか?」
「いや、ロンガ将軍への書簡、勝手に開けてはこちらが怒られてしまう。乗船を許可する」
そう言われて前の方に進むよう促された。
先に入ったウルラと合流すると、ほどなくしてアウィスがやってきた。
3人で甲板から下ろされたタラップを上る。
甲板の上には人が大勢いた。
「食堂に集合してください!食堂は一つ下の階です!前と後ろの船楼から下りてください!」
そう叫んでいる兵士さんがいる。
「では、食堂に行きましょうか」
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