Be The Ace! ~転生チートで世界征服!?~ アルファポリス用

荒波

文字の大きさ
61 / 76
異世界地球編

12歳 離間工作

しおりを挟む
 ガンジス川の流れは長く、そして永く人々の繁栄に貢献してきた。
 人々はその水を使い、生活し、田畑を潤し、繁栄してきた。
 なぜこんなことを言っているのかといえば、捕獲した奴隷が多すぎたのだ。

「いっぱいいたわね。捕まえ甲斐があったわ」
「そうですね。陸軍の人もびっくりしてましたもんね」

 アウィスとウェスはそう言う。
 ダッカの周辺だけでも1万人の奴隷を集めた。
 そのうち1500名ほどは、エーヤワディー川付近の農作業に使ってもらおうとチャイティーヨー山に送り出した。
 これで陸軍は1人当たり8~9人の奴隷を監視しなければならなくなった。
 第1戦闘攻撃団も監視に参加しているのだが、このまま奴隷を増やしても監視しきれないというのが実情だった。

(このままでは領土拡張など夢でしかない)

 ということで盛りに盛って陸軍に10万人規模の兵力増強を依頼した。
 また、ガンジス川の上流にも拠点を作ることをお願いした。
 陸路で来るのは大変だろうとダッカに港を建設し、海軍の船が直接入ってこられるようにした。

(陸路はきつかったから、船で来られるならその方がいいだろう)

 それから、情報収集にも努めていった。
 奴隷からこの地の統治状況を訊くのだ。

「アモルさん、よろしくお願いします」
「うん、任された」

 アモルの誘惑、暗示といった魔法を使って奴隷から訊き出した。
 この辺りはハイデラバード王国なる国が支配している地域だったらしい。
 そして税は7公3民、兵役もある。
 反逆者を出したらその村を滅ぼしただの、かなり厳しく支配しているらしい。

(民は生かさず殺さずとは誰の言葉だっただろうか?国王と民衆の間に楔は打てそうだな)

 侵略者が近くにいるのに厳しい統治はおざなりな対応だ。
 そこで離間工作として5公5民、兵役なしの条件で魔王国に従属しないかということを各地の村で大声で言って回った。
 担当したのは翼などの生えていない人間にも親しみが持てる外見のイツキとウェス。

「魔王国と友達になりませんかー?」
「今なら税が5公5民、兵役なしの好条件ですよー!」

 さらに、米や小麦、パンといった食料品を配って回り、魔王国は怖くないですよというアピールをした。

「はい、おばあちゃん。生活は苦しいかもしれないけど頑張ってね」
「ありがとうよ」

 そんな工作を続けているとハイデラバード王国は激怒し、配った食料品をすべて没収。
 更に悪魔のいうことに耳を貸すなという声明まで発表した。
 それでも挫けず、離間工作をやっていると、魔王国と友好的になる人々も出てきた。
 表向きはハイデラバード王国に従っているものの、魔王国とも友好的な関係を結びたいという人が出てきたのだ。
 そうした人がハイデラバード王国に害されるかもしれない。
 そんな危機感を持ったイツキはナベリウスに状況報告を書いて空中輸送師団のメンバーに書簡を渡し、警戒管制隊の小隊を送ってもらうように依頼した。
 空軍の反応は早かった。
 その2日後には警戒管制隊の小隊が到着したのだ。

「イツキちゃん、久しぶり!」

 母ウルラの小隊だった。

「今はこんないい所に住んでるのね」
「今使われていない部屋も多いですので、使っている人がいなければ自由にしてもらっていいですよ」
「ありがとう、イツキちゃん」

 ということで母との面会だった。
 小隊は6名、2名の分隊を3交代で監視任務にあたってもらった。
 年が明けてから海路で陸軍の兵士が送られてきた。
 最初に来たのは戦艦レヴィアタン。
 懐かしい姿にイツキは涙しそうになった。
 運んできてくれたのは陸軍600名ほど。
 ヴェパル提督がやっぱり船を指揮していたので話を聞くと、陸軍は増員要求には賛成したようで、これからピストン輸送だそうだ。ジャカルタに兵を集結させているそうで、往復40日かかるそうだ。
 もちろん他の船も使ってくれているので、8日ごとに600名が運ばれてくるのだとか。
 ということで、兵士を下ろしたらすぐに出港してしまった。
 補給は空中輸送師団に任せて海上で補給するんだとか。
 大変だなあと思っていたらもっと大変なことが起こった。
 それは3月の終わり、冬蒔き米が収穫できて食料庫もいっぱいになった時だ。
 イツキはウルラからの通信を受けた。

「どうかしましたか、おかあさん」
「今、ハイデラバードの兵隊さんが徴税に回ってるんだけど、どうにもおかしな動きをしてね」
「おかしな動きですか?」
「1つの村に留まってるの。おかしいと思わない?」

 確かに徴税に回っていて1か所に留まるということは考えにくい。

「どこの村ですか?」
「カルカッタ村よ」

 そこは離間工作で魔王国に友好的だった村だった。
 イツキは第1攻撃戦闘団を結集、カルカッタ村へ急行した。

 村では、無理やり徴税が行われていた。
 米の入った袋を奪う金属鎧の兵士と蹴り飛ばされる村人。
 どう考えても普通の事態ではなかった。
 そこでイツキは倒れている村長さんを見つけた。

「村長さん!大丈夫ですか?一体どうしてこんなことに?」
「わしらは魔王国とともに生きる。ハイデラバードへくれてやる米は一粒たりともないと言ったらこのざまじゃ。村人を助けてやってくれ」

 そう言うと村長さんは気を失った。
 呼吸をしていることから、幸い命に別条はなさそうだ。
 イツキは無理やり米袋を奪っている兵士の元に行く。

「指揮官は誰だ?」
「ああ、ガキが!邪魔するんじゃねえよ!」

 そう言って蹴ってきたので、足首を掴む。

「もう一度聞く、指揮官は誰だ?」

 その言葉と同時に足首をねじると兵士は空中で1回転して地面にたたきつけられた。

「げふぉあ!」

 兵士は倒れ込んでうめき声を上げる。
 答えてくれないので、うつ伏せにして腕を後ろで折りたたむ。
 ハンマーロックという関節技だ。

「がああああああああ」

 その悲鳴を聞き、兵士が集まってくる。

「何の騒ぎだ!」

 そう問われたので、関節技を止めて立ち正対する。

「指揮官は誰だ?」
「俺だ」

 何と2人目で当たりだ。

「この村から徴税を指示したのはお前か?」
「当然だ。俺は国王から徴税権を貰っているからな」
「それにしては無理やりすぎないかな?」
「おとなしく税を渡さないからだ。当然のこと」
「おとなしく帰るという選択肢は?」
「笑止千万!徴税するために来て空荷で帰る奴がいるものか!」

 イツキは穏便に済ますのを止めた。
 どうあっても兵士たちは徴税するのだろう。

「覚えておくといい。魔族は仲間を見捨てない。魔族の友となった者たちも同じです!死んであの世で悔い改めなさい!」

 その言葉と同時に杖を振るうと、指揮官が炎の渦に包まれる。
 渦が消えると溶けた金属と骨しか残っていなかった。

「こうなりたい人間は反抗するといい。同じく、骨しか残らない様にしてあげましょう」

 そう言って前に1歩出ると兵士たちは1歩下がる。
 もう1歩出ると今度は2歩下がった。
 更に前に出ると兵士たちは逃げだした。

 その後は第1戦闘攻撃団で怪我人の手当てを行った。
 この村の行く末を皆案じているようだった。
 村長さんもそのうち気が付いた。

「いったいどうなりました?」
「指揮官を倒したらみんな逃げて行きましたよ」
「そうですか。これで王国に弓を引くものになってしまいましたな」
「その替わりに魔王国の庇護があります。兵を置かせていただきたいのですが、何人ぐらいおけるでしょうか?」
「命の恩人の頼みじゃ。1,000人でも2,000人でも受け入れさせていただきます」

 ということだったので、当面は戦闘攻撃隊をローテーションで駐屯させ、ダッカ城から2,000人の兵員移動とカルカッタに築城することを陸軍に進言した。
 すると暇だったのかハルファス将軍がすぐにきて築城してくれた。
 四角い城で4方に門があり、2,000名を収容できる。
 1週間後にはカルカッタに2,000名が到着。
 戦争の足音は着実に近づいていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...