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プロローグ
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一人の男が玉座に腰掛けている。
はっきりとは見えないが、燃えているかの如く赤い髪に整っていると評しても良い綺麗な顔をしている。しかし瞳は暗く昏く冥く闇い、そんな深い色だ。
その瞳は、男の手元にある水晶に注がれている。
「……ほう」
何もない閑散とした空間に男の声が広がる。
水晶には、異形の者に輝く剣を突き立てる美しい女の姿が映し出されている。
「よもや≪憤怒≫を討つとは。流石は本物の聖剣の担い手。そして良い女だ。欲しいな」
そう言って微笑む男は、見る者全てを魅了するかの如き怪しげな色気を放つ。
ザワッ
男しかいなかった筈に空間に、数え切れないほどの気配が生まれ闇の中にその姿を顕わにする。耳の長い者、角の生えた者、翼の生えた者、尻尾の生えた者、腕が二本ある者、それらは全て異形の者達であった。そして、それらは全て美しき女の姿をしていた。
「だが……足りぬ。真の聖剣の輝きはこんなものでは無い。それじゃあ、きゃつらには届かない」
その声はどこか悔しそうだが、実に楽しそうでもある。
「如何なさいますか?」
玉座に最も近き場所に立つ者が声を掛ける。側近だろうか。その声には深い畏敬の念が込められている。
「致し方無し。余が直接動くとしよう」
「それでは例の計画を?」
「ああ、前倒しせよ」
「となりますと、計画にズレや不具合が起きますが」
「ふむ‥‥‥。よい、委細汝に任せる」
「はっ‥‥。皆動きなさい」
四方に気配が散っていく。誰一人として言葉を発する事は無かったが、それぞれが喜色を全身に纏っていた。
そして一分と経たない内に再び、閑散とした空間が戻ってきた。残ったのは男と側近らしき女。
「≪嫉妬≫への連絡もしておけ」
「‥‥はっ」
「くっくっくっ、不服か?」
「……いえ」
女の奥歯に物が挟まったような返事に、男が心底面白そうに笑う。
「おまえは気に入らんかもしれんが、アレは≪嫉妬≫の大罪と深く繋がっていながらその大罪に呑まれていない、正しく大罪の魔王。稀有な存在だ。手綱を握るのは苦労するかもしれんが、敵にするより味方の方が良かろう。それに余はアレを気に入っている」
「……」
「くっくっくっ、そうむくれた顔をするな。綺麗な顔が台無しだぞ?」
「っ!知りません!」
そう言うと側近らしき女は、闇に紛れるように姿を消した。
「……さて、余も動くとしよう。まずは≪憤怒≫の回収か」
―――コツ コツ コツ
誰も居ない空間を、男がゆっくりとした歩みで進む。
「上位者気取りの人形共。心せよ、滅びの時は近いぞ」
その男の瞳はやはり、どこまでも暗く昏く冥く闇かった。
血だまりの中に一人の少女が立っている。
淡い青色の髪を肩まで流し、見る者に冷たい印象を抱かせる瞳も蒼い。身体つきは貧相なものだが、その全てが美しく、男どもは放っておかないだろう。そしてその背では、翼のような形に空間が揺らめいていた。
そんな彼女は、人の形をした亡骸に剣を突き立て、それを支えに立っていた。
肩で息をし、体中に傷を拵え、その様は正に満身創痍。だが、その者の顔は輝き紛れもなく達成感が浮かんでいる。
「はぁ‥はぁ‥‥はぁ‥‥‥はぁ~。これが魔王か……。最弱と言われる≪憤怒≫でさえ、これ程の力を有しているとは‥‥」
そう言って自らの周りに目を配る少女。
己の剣戟に依るものもあるが、多くは魔王の多彩な攻撃によるものであった。
綺麗な切り口の柱、抉られた後や大小様々な大きさのクレーターが出来ている壁や床、あちこちある焦げ跡。それは、苛烈な戦闘を物語る痕跡。
そして、≪憤怒≫の配下であろう異形の者達の死体と、共に戦った仲間であろう人の死体が転がっている。仲間たちの死体をしばし眺め、黙祷を捧げるかの如く目を閉じる。
再び開かれた目にあるのは、感謝と決意か。
「最弱の魔王に対し最強の勇者、序列一位の私がこの有様。十人の仲間も死んだ。残る六人の魔王には、とてもじゃないが叶わないな‥‥‥。絶望的だ。やはり――――が必要か」
それでも少女の瞳は希望を宿し、未来を視ていた。
台座に刺さる、黄金の剣。その前で一人の少女が膝を折り、祈りを捧げている。
床に垂れる長い髪は、剣と同様黄金に輝き、その身に纏う鎧も同じく黄金だった。悪趣味、そう言われてもおかしくないその姿はしかし、この少女に恐ろしく似合っていた。いや、寧ろ少女の美しさを引き立ててさえいる。
「殿下」
そんな声と共に、おさげの少女が現れる。脇には大きめの本を抱えている。
「……終わりましたか?」
「はい、今し方報告が・・・≪憤怒≫は打ち取った、と」
「っ!……続けてください」
殿下と呼ばれた黄金の少女。王女、なのだろうか。
彼女は湧き出す歓喜の感情を抑え込み、努めて平静を装う。報告はまだ終わっていない。
「はい、≪憤怒≫を討つ事には成功したものの、一人を残して他の勇者は討ち死に。立派な最期だった、と」
「‥‥‥‥そう」
王女が目を瞑り、黙祷を捧げる。暫く、静かな空間が出来上がる。
「……生き残ったのは、あの子ですね?」
「はい。満身創痍ですが支障は無い、との事です」
先程からおさげの少女は、話す度にその大きな眼鏡をクイッと上げる。見るからに、サイズが合っていない。
「やっぱり、今のままでは……」
「はい、彼女もそう言っていました。見舞いに来るよりも先に、事を為してください、と」
その見舞いに行こうとしていたのだろうか、立ち上がりかけていた王女の動きが止まる。
「そうなのですか?全く、あの子はいつも自分の事を後回しにして……。心配する私の身にもなって欲しいものです」
苦笑しながら再び体を動かし、今度こそ立ち上がる。
「既に準備は整っております」
「ふふふ、相変わらず準備が早いですね」
シャラァァァァン、と音を立てながら、王女によって黄金の剣が引き抜かれる。
「恐れ入ります」
「……私はこれから父親殺しの業を背負う事になります。それでも付いて来てくれますか?」
王女の瞳に、僅かに恐れ・怯えといった色が映る。
「その誓いなら、とうの昔に。いつまでも、どこまでも付いて行きましょう」
「ありがとう‥‥。さぁ!行きましょうか!」
「はい!」
二人は決意をその瞳に宿し、歩き出す。
王女の背中からは、白い翼が生えていた。
~~~♪~~~~♪~~~~~♪
そこは城の一画、豪華絢爛なパーティー会場。
煌びやかな衣装を着た男が女が、談笑し、酒で喉を潤し、豪勢な料理に舌鼓を打つ。ゆったりとした音楽が流れ、会場の中央ではその音楽に合わせ数組の男女が踊る。
それを眺めるのは立派な玉座に座る、でっぷりと太った男。その顔には下卑た笑みが浮かび、瞳は欲に染まっている。
「デュフフフフフ。まさか、儂の代で魔王を討つ者が現れようとは。何たる幸運か。やはり儂は神に愛されておる」
この男がそう思うのも無理はない。事実勇者が魔王を討ったのは二度目であり、前回は400年も前の事である。そしてこの男は、運だけで王の座へと上り詰めたのだから。
「やはり勇者の力は強大だな。野放しにするのは危険。なれば今後はさらに、国での管理を徹底しなくてはならぬな。そしてゆくゆくは儂の護衛として傍に‥‥‥デュフフフフフフフフフ」
ただでさえ欲に染まっていた瞳が、さらなる欲で濁る。
王は自らの計画が上手くいくと、信じて疑わない。これまでも、そしてこれからも、己の強運に穴は無いと。
「そして見目麗しき勇者たちと……デュフ、デュフフフフ」
己の信じる未来に思いを馳せ笑みを浮かべていると、会場の外が俄然騒がしくなる。
「騒々しいぞ!!一体何事だ!!」
そう叫ぶ王の元に、会場に飛び込んできた兵士らしき男が近寄り耳打ちする。伝令だろう。
「なにぃ!?そんなもの貴様らで対処せんかぁっ!」
「ぐっ……!か、畏まりました‥‥っ」
腹立たしい内容だったのだろう。話を聞くや否や、持っていたグラスを伝令の兵士へと叩きつける。気持ちを落ち着ける為、配膳係から受け取った酒を煽るように飲む王へ、さらなる知らせが飛び込む。
大きな音を立てながら入ってきた豪華な兵装の男が、会場に入るなり声高に告げる。
「勇者反乱!勇者反乱!100を超える勇者が城を包囲しております!!」
「なっ!?」「は……?」「え?」
誰もが理解出来ない顔を浮かべている。そんな中、さらに報告は続く。
「反乱の首魁は‥‥‥っ!首魁は……王女オリアナレイナ様です‥‥っ!!」
既に王の未来には絶望しかない。
ブレイブ王国。
400年程前に初代勇者によって建国された国。国土こそ小さいが勇者を育てる勇者学院がある為、大陸中から勇者候補生が集まり、国力・活気は大陸で一、二位を争う。
数ヶ月前に政変が起きたばかりだが、無能から有能に変わったのでごたごたは少なく、むしろ安定している。新しく王となったのは、政変で排した先王の娘の一人。王女オリアナレイナ。いや、女王オリアナレイナ。その美貌により元々高かった人気と高いカリスマ性で、絶大な支持を得ながら民を率いている。
おかげで混乱も少なく、周辺諸国の一つが政変に合わせて行った侵攻でさえ、容易く国境で撃退した。勿論、迎撃したのは勇者である。個人差はあるが、彼らは一人で一個大隊に匹敵する程の力を有す。
しかし、彼ら勇者の力が他国に向く事は殆んど無い。勇者とは、『魔』に連なる者と戦う者達の事なのだから。例外があるとすれば、今回のようにブレイブ王国を守る場合。この場合、容赦無く侵略者へとその力は向けられる。
そして、女王オリアナレイナも勇者である。最強の勇者とは言えないが、その一角には名を連ねる。美貌とカリスマ性、そして勇者としての力。それらを存分に発揮し、ブレイブ王国で新体制での統治が始まった。
はっきりとは見えないが、燃えているかの如く赤い髪に整っていると評しても良い綺麗な顔をしている。しかし瞳は暗く昏く冥く闇い、そんな深い色だ。
その瞳は、男の手元にある水晶に注がれている。
「……ほう」
何もない閑散とした空間に男の声が広がる。
水晶には、異形の者に輝く剣を突き立てる美しい女の姿が映し出されている。
「よもや≪憤怒≫を討つとは。流石は本物の聖剣の担い手。そして良い女だ。欲しいな」
そう言って微笑む男は、見る者全てを魅了するかの如き怪しげな色気を放つ。
ザワッ
男しかいなかった筈に空間に、数え切れないほどの気配が生まれ闇の中にその姿を顕わにする。耳の長い者、角の生えた者、翼の生えた者、尻尾の生えた者、腕が二本ある者、それらは全て異形の者達であった。そして、それらは全て美しき女の姿をしていた。
「だが……足りぬ。真の聖剣の輝きはこんなものでは無い。それじゃあ、きゃつらには届かない」
その声はどこか悔しそうだが、実に楽しそうでもある。
「如何なさいますか?」
玉座に最も近き場所に立つ者が声を掛ける。側近だろうか。その声には深い畏敬の念が込められている。
「致し方無し。余が直接動くとしよう」
「それでは例の計画を?」
「ああ、前倒しせよ」
「となりますと、計画にズレや不具合が起きますが」
「ふむ‥‥‥。よい、委細汝に任せる」
「はっ‥‥。皆動きなさい」
四方に気配が散っていく。誰一人として言葉を発する事は無かったが、それぞれが喜色を全身に纏っていた。
そして一分と経たない内に再び、閑散とした空間が戻ってきた。残ったのは男と側近らしき女。
「≪嫉妬≫への連絡もしておけ」
「‥‥はっ」
「くっくっくっ、不服か?」
「……いえ」
女の奥歯に物が挟まったような返事に、男が心底面白そうに笑う。
「おまえは気に入らんかもしれんが、アレは≪嫉妬≫の大罪と深く繋がっていながらその大罪に呑まれていない、正しく大罪の魔王。稀有な存在だ。手綱を握るのは苦労するかもしれんが、敵にするより味方の方が良かろう。それに余はアレを気に入っている」
「……」
「くっくっくっ、そうむくれた顔をするな。綺麗な顔が台無しだぞ?」
「っ!知りません!」
そう言うと側近らしき女は、闇に紛れるように姿を消した。
「……さて、余も動くとしよう。まずは≪憤怒≫の回収か」
―――コツ コツ コツ
誰も居ない空間を、男がゆっくりとした歩みで進む。
「上位者気取りの人形共。心せよ、滅びの時は近いぞ」
その男の瞳はやはり、どこまでも暗く昏く冥く闇かった。
血だまりの中に一人の少女が立っている。
淡い青色の髪を肩まで流し、見る者に冷たい印象を抱かせる瞳も蒼い。身体つきは貧相なものだが、その全てが美しく、男どもは放っておかないだろう。そしてその背では、翼のような形に空間が揺らめいていた。
そんな彼女は、人の形をした亡骸に剣を突き立て、それを支えに立っていた。
肩で息をし、体中に傷を拵え、その様は正に満身創痍。だが、その者の顔は輝き紛れもなく達成感が浮かんでいる。
「はぁ‥はぁ‥‥はぁ‥‥‥はぁ~。これが魔王か……。最弱と言われる≪憤怒≫でさえ、これ程の力を有しているとは‥‥」
そう言って自らの周りに目を配る少女。
己の剣戟に依るものもあるが、多くは魔王の多彩な攻撃によるものであった。
綺麗な切り口の柱、抉られた後や大小様々な大きさのクレーターが出来ている壁や床、あちこちある焦げ跡。それは、苛烈な戦闘を物語る痕跡。
そして、≪憤怒≫の配下であろう異形の者達の死体と、共に戦った仲間であろう人の死体が転がっている。仲間たちの死体をしばし眺め、黙祷を捧げるかの如く目を閉じる。
再び開かれた目にあるのは、感謝と決意か。
「最弱の魔王に対し最強の勇者、序列一位の私がこの有様。十人の仲間も死んだ。残る六人の魔王には、とてもじゃないが叶わないな‥‥‥。絶望的だ。やはり――――が必要か」
それでも少女の瞳は希望を宿し、未来を視ていた。
台座に刺さる、黄金の剣。その前で一人の少女が膝を折り、祈りを捧げている。
床に垂れる長い髪は、剣と同様黄金に輝き、その身に纏う鎧も同じく黄金だった。悪趣味、そう言われてもおかしくないその姿はしかし、この少女に恐ろしく似合っていた。いや、寧ろ少女の美しさを引き立ててさえいる。
「殿下」
そんな声と共に、おさげの少女が現れる。脇には大きめの本を抱えている。
「……終わりましたか?」
「はい、今し方報告が・・・≪憤怒≫は打ち取った、と」
「っ!……続けてください」
殿下と呼ばれた黄金の少女。王女、なのだろうか。
彼女は湧き出す歓喜の感情を抑え込み、努めて平静を装う。報告はまだ終わっていない。
「はい、≪憤怒≫を討つ事には成功したものの、一人を残して他の勇者は討ち死に。立派な最期だった、と」
「‥‥‥‥そう」
王女が目を瞑り、黙祷を捧げる。暫く、静かな空間が出来上がる。
「……生き残ったのは、あの子ですね?」
「はい。満身創痍ですが支障は無い、との事です」
先程からおさげの少女は、話す度にその大きな眼鏡をクイッと上げる。見るからに、サイズが合っていない。
「やっぱり、今のままでは……」
「はい、彼女もそう言っていました。見舞いに来るよりも先に、事を為してください、と」
その見舞いに行こうとしていたのだろうか、立ち上がりかけていた王女の動きが止まる。
「そうなのですか?全く、あの子はいつも自分の事を後回しにして……。心配する私の身にもなって欲しいものです」
苦笑しながら再び体を動かし、今度こそ立ち上がる。
「既に準備は整っております」
「ふふふ、相変わらず準備が早いですね」
シャラァァァァン、と音を立てながら、王女によって黄金の剣が引き抜かれる。
「恐れ入ります」
「……私はこれから父親殺しの業を背負う事になります。それでも付いて来てくれますか?」
王女の瞳に、僅かに恐れ・怯えといった色が映る。
「その誓いなら、とうの昔に。いつまでも、どこまでも付いて行きましょう」
「ありがとう‥‥。さぁ!行きましょうか!」
「はい!」
二人は決意をその瞳に宿し、歩き出す。
王女の背中からは、白い翼が生えていた。
~~~♪~~~~♪~~~~~♪
そこは城の一画、豪華絢爛なパーティー会場。
煌びやかな衣装を着た男が女が、談笑し、酒で喉を潤し、豪勢な料理に舌鼓を打つ。ゆったりとした音楽が流れ、会場の中央ではその音楽に合わせ数組の男女が踊る。
それを眺めるのは立派な玉座に座る、でっぷりと太った男。その顔には下卑た笑みが浮かび、瞳は欲に染まっている。
「デュフフフフフ。まさか、儂の代で魔王を討つ者が現れようとは。何たる幸運か。やはり儂は神に愛されておる」
この男がそう思うのも無理はない。事実勇者が魔王を討ったのは二度目であり、前回は400年も前の事である。そしてこの男は、運だけで王の座へと上り詰めたのだから。
「やはり勇者の力は強大だな。野放しにするのは危険。なれば今後はさらに、国での管理を徹底しなくてはならぬな。そしてゆくゆくは儂の護衛として傍に‥‥‥デュフフフフフフフフフ」
ただでさえ欲に染まっていた瞳が、さらなる欲で濁る。
王は自らの計画が上手くいくと、信じて疑わない。これまでも、そしてこれからも、己の強運に穴は無いと。
「そして見目麗しき勇者たちと……デュフ、デュフフフフ」
己の信じる未来に思いを馳せ笑みを浮かべていると、会場の外が俄然騒がしくなる。
「騒々しいぞ!!一体何事だ!!」
そう叫ぶ王の元に、会場に飛び込んできた兵士らしき男が近寄り耳打ちする。伝令だろう。
「なにぃ!?そんなもの貴様らで対処せんかぁっ!」
「ぐっ……!か、畏まりました‥‥っ」
腹立たしい内容だったのだろう。話を聞くや否や、持っていたグラスを伝令の兵士へと叩きつける。気持ちを落ち着ける為、配膳係から受け取った酒を煽るように飲む王へ、さらなる知らせが飛び込む。
大きな音を立てながら入ってきた豪華な兵装の男が、会場に入るなり声高に告げる。
「勇者反乱!勇者反乱!100を超える勇者が城を包囲しております!!」
「なっ!?」「は……?」「え?」
誰もが理解出来ない顔を浮かべている。そんな中、さらに報告は続く。
「反乱の首魁は‥‥‥っ!首魁は……王女オリアナレイナ様です‥‥っ!!」
既に王の未来には絶望しかない。
ブレイブ王国。
400年程前に初代勇者によって建国された国。国土こそ小さいが勇者を育てる勇者学院がある為、大陸中から勇者候補生が集まり、国力・活気は大陸で一、二位を争う。
数ヶ月前に政変が起きたばかりだが、無能から有能に変わったのでごたごたは少なく、むしろ安定している。新しく王となったのは、政変で排した先王の娘の一人。王女オリアナレイナ。いや、女王オリアナレイナ。その美貌により元々高かった人気と高いカリスマ性で、絶大な支持を得ながら民を率いている。
おかげで混乱も少なく、周辺諸国の一つが政変に合わせて行った侵攻でさえ、容易く国境で撃退した。勿論、迎撃したのは勇者である。個人差はあるが、彼らは一人で一個大隊に匹敵する程の力を有す。
しかし、彼ら勇者の力が他国に向く事は殆んど無い。勇者とは、『魔』に連なる者と戦う者達の事なのだから。例外があるとすれば、今回のようにブレイブ王国を守る場合。この場合、容赦無く侵略者へとその力は向けられる。
そして、女王オリアナレイナも勇者である。最強の勇者とは言えないが、その一角には名を連ねる。美貌とカリスマ性、そして勇者としての力。それらを存分に発揮し、ブレイブ王国で新体制での統治が始まった。
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