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12.私の永住の地
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あのひとりぼっちで寂しかった部屋から、明るい外の世界に出た。
荷物を抱えた私が瞬間移動して立っていた場所は森の出口のようで、木の陰に隠れるように立っていた。
さすが私、人に見付からない場所に着地するなんて、日頃の警戒心の賜物だわ。
木の陰から様子をうかがうと、どうやら小さな村にこの森から出る道が続いている。
「おや?誰だい?」
ねえっ!すぐ見付かってる!私の警戒心どうした!見付かるの早くない!?
後ろから声がして体はビクッ!と縮み上がり、心臓がキュッとなる。
反射のように「助けて!」と呟いた。
すぐさま私の周りにバリアが張られる。
「大丈夫かい?あんた迷子かい?」
振り替えると小さめのふっくらしたお婆さんがいた。片手に草がたくさん入った大きなかごを持って、心配そうな顔をして私を見ている。
あー良かった、親近感の湧く体型のお婆さんだった。
「あ、はい、あの、迷子のようなものです」シーツにくるんだ荷物を抱え、どう見ても迷子と言うより家出少女だろう。
関われば明らかに面倒なことになりそうな様子の私を見捨てることもせずグイグイ話しかけてくる。
「どこに行こうと思ってたんだい?ここはメルトル村だよ」
優しい、お婆さんが優しい。泣きそう。この世界にも親切な人がいるんだ…と感動。
このお婆さんなら聞いても大丈夫かな?でも念のためバリアは解除しない。
「あの、私、安全なところで一人暮らしをしたくて、どこか良いとこが無いか探していて」
するとお婆さんが、
「このメルトル村はこの国で一番安全な村だよ。魔物の森からも遠いし、王都からも遠い。その代わり忘れられた村って言われてるんだ」
お婆さんはフフっと笑った。笑っても可愛い。
私の魔法って信用して良さそう。ちゃんと安全な場所に瞬間移動してくれたんだ。
もうここしかない!1LDKくらいの部屋、いやワンルームでも良い、お婆さんに仲介してもらえないだろうか。
「あのー、突然で申し訳ありませんが、こちらの村で私が住めるような余ってる部屋はないでしょうか?」
お婆さんは、へっ?という顔をして、
「だってあんたその服、貴族の娘さんじゃないのかい?一人暮らしってひとりで全部しないとならないけど、その、大丈夫なのかい?」
いえ、貴族の頂点に会うために用意しただけの服です。私は庶民中の庶民です。
「たまたまこのような服を着てますが、私は貴族ではないんです。家族もいなくて、ひとりで何でも出来るのでどうかお願い出来ませんか?私は村の皆さんのお役に立てると思います、頑張ります」
お婆さんはうんうんと頷いて私の話しを聞いて、
「この村は老人ばっかり多くなって、皆が自分のことで精一杯なところがあるから、あんたのことを殊更助けてやれないけど、それでも良いかい?」
「はい!もちろんです!皆さんにご迷惑は掛けません。ありがとうございます!」
お婆さんはうんうんと頷いて、
「ところであんたの名前はなんて言うんだい?」
あぁ、聖女ではない私、私を知ろうとしてくれてとても嬉しい。
「私は…み…、れい、レイと言います、よろしくお願い致します」
本名の岡本美麗じゃお婆さんにはややこしいだろうし、聞き慣れない名前だといくら私の名前を知らなくてもバレるかも。万が一あの王子様たちにバレたら終わりだから、これから私はレイとして生きて行こう。
「そうかい、レイさん、よろしくね。私はマーゴットだよ。さあさ、そうと決まったら案内しようね」
森から村に続く道をお婆さんとのんびり歩いた。お婆さんの草がたくさん入ったかごを持ちますって言ったけど、大丈夫だと言われたので、こっそりかごが軽くなるようにと、お婆さんの疲れが取れるようにお願いした。
村に着くと、まずはお婆さんの家を紹介してくれた。赤い屋根とオフホワイトの土壁で出来た可愛いらしい2階建ての家だった。
家の前には植え込みと、小さな花壇には季節の花なのか、背の高い薄いピンク色の花が風に揺れていた。
「わぁマーゴットさんのお家、可愛いいですね!素敵!」
「そうかい?この村の家は皆同じ造りなんだよ。違うのは屋根の色だけ。手紙も[メルトル村の赤 マーゴット]で、私の家にちゃんと届くんだよ。おや、どこの村もそうだと思ってたけど、この村だけなのかねぇ?」
フフフと笑って庭先に持っていたかごを置くと、
「さあ、行こうか。この村に役場は無いけど、持ち回りで村の管理を担当するんだ。今はノアという男だよ」
お婆さんに村の中を案内してもらいながら、ノアさんという方のところに向かった。
途中、村人が次から次へと声を掛けてくれる。この村に人が来るのが珍しいらしい。
その都度紹介され名前を聞かれご挨拶をする。私の心がだんだんと私に戻ってくるような感覚がした。
名前はレイになったけど、美麗として生きていた頃の穏やかな感情が沸き上がり、顔が自然と笑顔になっていく。
「…ちょっとレイさん。あんた美人だとは思ったけど、その笑顔は振り撒きすぎるんじゃないよ?ここの男どもにはもったいない」
マーゴットさんの言うもったいないがちょっとよくわからないけど、この世界に来て初めて嫌悪されなかったことが嬉しかった。
皆さんが一緒に話しながら付いて来てくれて、かなりの大人数でノアさんの家に着いた。
「ノア、いるかい?お客さんなんだよ」
マーゴットさんがドアをドンドンと叩きながら声をかけると、おー、と家の中から男の人の声が聞こえた。すぐにドアが開き、細マッチョの大きな男の人が出てきた。
濃い紺色の髪に驚いたが、眼の色が金色にはもっと驚いた。元いた世界では見たこと無い。もちろんその驚きは顔には出さない。一応社会人だし。
「マーゴット婆さんか、どうした?」
すぐに、ん?と私の方に目線を寄越し、驚いたように私を見ると目を見開いた。
本当に誰も来ない村なんだなー。
私ひとり来たくらいで驚かれ、この騒ぎだ。
「あの突然すみません。私はレイと言います。許していただけるなら、この村に住ませて欲しいんです。絶対にご迷惑は掛けません。皆さんのお役に立ちますので、どうかお願いします」
ノアさんはさらに驚いた顔をした。
「ノアよ、まずはその驚きとその感情は置いといて、空いてる家を紹介しておくれ」
なぜか固まっているノアさんを、村人の皆さんがニヤついた顔で見つめていた。
荷物を抱えた私が瞬間移動して立っていた場所は森の出口のようで、木の陰に隠れるように立っていた。
さすが私、人に見付からない場所に着地するなんて、日頃の警戒心の賜物だわ。
木の陰から様子をうかがうと、どうやら小さな村にこの森から出る道が続いている。
「おや?誰だい?」
ねえっ!すぐ見付かってる!私の警戒心どうした!見付かるの早くない!?
後ろから声がして体はビクッ!と縮み上がり、心臓がキュッとなる。
反射のように「助けて!」と呟いた。
すぐさま私の周りにバリアが張られる。
「大丈夫かい?あんた迷子かい?」
振り替えると小さめのふっくらしたお婆さんがいた。片手に草がたくさん入った大きなかごを持って、心配そうな顔をして私を見ている。
あー良かった、親近感の湧く体型のお婆さんだった。
「あ、はい、あの、迷子のようなものです」シーツにくるんだ荷物を抱え、どう見ても迷子と言うより家出少女だろう。
関われば明らかに面倒なことになりそうな様子の私を見捨てることもせずグイグイ話しかけてくる。
「どこに行こうと思ってたんだい?ここはメルトル村だよ」
優しい、お婆さんが優しい。泣きそう。この世界にも親切な人がいるんだ…と感動。
このお婆さんなら聞いても大丈夫かな?でも念のためバリアは解除しない。
「あの、私、安全なところで一人暮らしをしたくて、どこか良いとこが無いか探していて」
するとお婆さんが、
「このメルトル村はこの国で一番安全な村だよ。魔物の森からも遠いし、王都からも遠い。その代わり忘れられた村って言われてるんだ」
お婆さんはフフっと笑った。笑っても可愛い。
私の魔法って信用して良さそう。ちゃんと安全な場所に瞬間移動してくれたんだ。
もうここしかない!1LDKくらいの部屋、いやワンルームでも良い、お婆さんに仲介してもらえないだろうか。
「あのー、突然で申し訳ありませんが、こちらの村で私が住めるような余ってる部屋はないでしょうか?」
お婆さんは、へっ?という顔をして、
「だってあんたその服、貴族の娘さんじゃないのかい?一人暮らしってひとりで全部しないとならないけど、その、大丈夫なのかい?」
いえ、貴族の頂点に会うために用意しただけの服です。私は庶民中の庶民です。
「たまたまこのような服を着てますが、私は貴族ではないんです。家族もいなくて、ひとりで何でも出来るのでどうかお願い出来ませんか?私は村の皆さんのお役に立てると思います、頑張ります」
お婆さんはうんうんと頷いて私の話しを聞いて、
「この村は老人ばっかり多くなって、皆が自分のことで精一杯なところがあるから、あんたのことを殊更助けてやれないけど、それでも良いかい?」
「はい!もちろんです!皆さんにご迷惑は掛けません。ありがとうございます!」
お婆さんはうんうんと頷いて、
「ところであんたの名前はなんて言うんだい?」
あぁ、聖女ではない私、私を知ろうとしてくれてとても嬉しい。
「私は…み…、れい、レイと言います、よろしくお願い致します」
本名の岡本美麗じゃお婆さんにはややこしいだろうし、聞き慣れない名前だといくら私の名前を知らなくてもバレるかも。万が一あの王子様たちにバレたら終わりだから、これから私はレイとして生きて行こう。
「そうかい、レイさん、よろしくね。私はマーゴットだよ。さあさ、そうと決まったら案内しようね」
森から村に続く道をお婆さんとのんびり歩いた。お婆さんの草がたくさん入ったかごを持ちますって言ったけど、大丈夫だと言われたので、こっそりかごが軽くなるようにと、お婆さんの疲れが取れるようにお願いした。
村に着くと、まずはお婆さんの家を紹介してくれた。赤い屋根とオフホワイトの土壁で出来た可愛いらしい2階建ての家だった。
家の前には植え込みと、小さな花壇には季節の花なのか、背の高い薄いピンク色の花が風に揺れていた。
「わぁマーゴットさんのお家、可愛いいですね!素敵!」
「そうかい?この村の家は皆同じ造りなんだよ。違うのは屋根の色だけ。手紙も[メルトル村の赤 マーゴット]で、私の家にちゃんと届くんだよ。おや、どこの村もそうだと思ってたけど、この村だけなのかねぇ?」
フフフと笑って庭先に持っていたかごを置くと、
「さあ、行こうか。この村に役場は無いけど、持ち回りで村の管理を担当するんだ。今はノアという男だよ」
お婆さんに村の中を案内してもらいながら、ノアさんという方のところに向かった。
途中、村人が次から次へと声を掛けてくれる。この村に人が来るのが珍しいらしい。
その都度紹介され名前を聞かれご挨拶をする。私の心がだんだんと私に戻ってくるような感覚がした。
名前はレイになったけど、美麗として生きていた頃の穏やかな感情が沸き上がり、顔が自然と笑顔になっていく。
「…ちょっとレイさん。あんた美人だとは思ったけど、その笑顔は振り撒きすぎるんじゃないよ?ここの男どもにはもったいない」
マーゴットさんの言うもったいないがちょっとよくわからないけど、この世界に来て初めて嫌悪されなかったことが嬉しかった。
皆さんが一緒に話しながら付いて来てくれて、かなりの大人数でノアさんの家に着いた。
「ノア、いるかい?お客さんなんだよ」
マーゴットさんがドアをドンドンと叩きながら声をかけると、おー、と家の中から男の人の声が聞こえた。すぐにドアが開き、細マッチョの大きな男の人が出てきた。
濃い紺色の髪に驚いたが、眼の色が金色にはもっと驚いた。元いた世界では見たこと無い。もちろんその驚きは顔には出さない。一応社会人だし。
「マーゴット婆さんか、どうした?」
すぐに、ん?と私の方に目線を寄越し、驚いたように私を見ると目を見開いた。
本当に誰も来ない村なんだなー。
私ひとり来たくらいで驚かれ、この騒ぎだ。
「あの突然すみません。私はレイと言います。許していただけるなら、この村に住ませて欲しいんです。絶対にご迷惑は掛けません。皆さんのお役に立ちますので、どうかお願いします」
ノアさんはさらに驚いた顔をした。
「ノアよ、まずはその驚きとその感情は置いといて、空いてる家を紹介しておくれ」
なぜか固まっているノアさんを、村人の皆さんがニヤついた顔で見つめていた。
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