65 / 94
65.兵士たちの新たな仕事
しおりを挟む
街の兵士たちは、60人程いた。
「大聖女様!お久しぶりです!今回は俺たちのためにありがとうございます!」
辺境の城の大広間に集まってもらった。あらかじめ連絡をしておいて、次の仕事についての話しなので、興味があったら来てねと、ご家族ももちろん一緒にと伝えておいた。
連絡した半分くらいの人が来ていた。
すでに実家を継ぐ人や、奥さんの実家で商売を継ぐなど、未来が決まっている人もたくさんいてホッとした。
「皆さん好きなだけお食事をしながら、ゆっくり相談していきましょう」
まずは皆で楽しく食事をした。
小さなお子さんを連れてきている方も多くて、チビッコたちが食べやすい食事も作ってもらって出した。
「おいしゃいねー」
と食べているのは前回キラキラの魔法を見せてと言ったティリーちゃんの妹のニコラちゃんだ。
「大聖女様!この度はお気遣いありがとうございます!それとこの子供用のお食事、普段あまり食べないニコラがすごく美味しいと言って食べているんです!」
子供席を用意したので子供たちはそこにまとまって食べているが、ママたちは食事が出来ていない。
「お母様たち、私がお子さんを見ているのでゆっくり食事をして来てください!」
そう思って子供が手掴みで食べれる物を用意してもらったのだ。
「大聖女様…良いんですか…?嬉しい…ゆっくり食事なんて久しぶりだわ!」
かと言って私ごときがこのチビッコたちをさばき切れる訳が無い。
チビッコたちが良い子にして食べててもらえるように……
「さあ!じょうずにたくさん食べている子は誰かな~」
私は円にして座らせている子供たちの真ん中に、世界的に有名なネズミのキャラクターを小さめにして登場させ、子供たちのお世話を手伝ってもらうことにした。
ネズミッキーと名付け、
「あっ、ニコラちゃん、ネズミッキーが応援してるよー!野菜も食べれるかな~?」
「ネズュミキ、見てて!ニコ野菜たべゆ!」
すかさずネズミッキーが、
「ニコラちゃん、凄い凄い!偉いね!頑張ったね!」
と褒めちぎる。この作戦でどの子もたくさん食べてくれた。
最初、謎の動きをする謎のネズミッキーに怯えていた子も、最後は指を指して笑うまでになった。
広間の一角を広くとって、ミニミニ公園も作った。そこにネズミッキーが子供たちを誘導してくれて、皆でご機嫌に遊んでくれている間に、お仕事の話しを進めた。
その頃には自分の仕事を終わらせてきたハルも来てくれた。そして謎のネズミッキーを見て少し怯えていた。
「今後こういったお仕事をしたいという希望のようなものはありますか?」
お一人お一人とお茶を飲みながお話しする。
「俺は今まで兵士としてしか生きこなかったから、これからどうしたいのかわからないんです」
「体を使うお仕事は抵抗無いですか?」
「はいもちろんです。むしろその方が…家が貧しくて学校にも…字もあまり…得意ではないから…」
やはり学校に行けていないようだった。私の世界では当たり前のことだから、少なからず衝撃を受ける。
「あの、失礼だったらごめんなさい。これからもし学校に行けるとしたら、行きたいと思いますか?」
「え?えぇ、それは、はい。子供が生まれて、父親が学が無いなんて子供には言えないですし…」
「わかりました。あの、働きながらになりますが、無料で学校に通えるとしたら通ってもらえます?体を使う仕事のあとに学校は少し大変かと思いますが、お仕事にも役に立つ内容にしますので」
元の世界での職業訓練校みたいなものだ。その兵士さんはポカンとして聞いていたが、
「本当に無料で通えるのですか?」
と縋るように聞いてきた。
やっぱり必要なんだ、学校が。
兵士の皆さんとは短いお付き合いだったけど、討伐の時の拠点にどう見ても子供に知らせるような単語しか書かれていないのを目にしたから。
「もちろんです。学校では朝食も昼食も無料で付けます。その代わり試験をクリアして卒業して頂きますが、大丈夫ですか?」
その兵士さんの目からポロポロと涙がこぼれた。慌てたように袖で涙を拭くと、
「よろしくお願いします!」
と頭を下げた。
この辺境の地は、長年魔物と瘴気のため男手は魔物討伐に取られてしまい、街を守る女性や老人だけでは、古くなった建物や道路などのインフラ工事が滞っていた。
古くなった役場や病院に図書館、馬車に乗ればヒドい振動を起こすガタガタの道路。
これらを希望する兵士さんに土木工事員として直してもらうことにした。
ただ長年放置されてきた街の再建は、大変な長期戦の事業になる。それにはお給料だけでは足りない気がしたので、勉強は建前で食事を提供したい。もちろん勉強も意欲のある方にはしっかり学んでもらうシステムにした。
なにせ私には余るほどのお金があるのだ。
この私の案をハルは大喜びで受け入れてくれた。インフラ工事の提案はハルからだ。
この話しを、今日来たほとんどの兵士さんが受け入れてくれた。
その中で、体を使う仕事は希望しないという方もいた。それは私が幼名を名付けしたリアムくんのお父さんのキースさんだった。
ハルも話しに加わって、お茶を飲みながら話しをした。
「ご当主様、俺は故郷の町で一応平民学校に3年通っていて字も書けるし読めます」
「そうだな、そういえばお前はよく本を読んでいたな?」
「ええ、本を読むのが好きでして。でも金を稼ぐのに討伐に参加していました。幸い剣もまあまあ振れたので」
「それでお前はなにかしたいことがあるのか?」
「俺は事務仕事ができれば有り難いかと……」
そういう方もいると思っていたの!大丈夫だよ、キースさん!
「そうかそれはこちらとしても有り難い。この度立ち上げる職業訓練校の事務をお願い出来ないだろうか、掛かる費用や人件費などの計上や教師たちの采配などを任せたい」
え?という顔のあと、見る見る嬉しそうな顔になっていくキースさん。
「ご当主様、願ってもない仕事です!ぜひ私にやらせてください!」
キースさんはとても喜んでくれた。
そんなところに私の提案なんて受け入れてもらえるだろうか……恐る恐る聞いてみる。
「あの~キースさん?つかぬことをお聞きしますが、小説というか物語というか、本を出す夢などはありませんか?」
キースさんは私の顔を見て固まった。
あら?私ってば的外れな発言の空気読めないヤツだね?やだ、どうしよう。早くなんちゃって~って言わないと―――
「大聖女様はそこまでわかるんですね?私の心まで読めるなんて、さすが神の力を持つお方だ……」
いつの間にかそばに来ていたキースさんの奥さんが、キースさんの肩を掴んで立っていた。
「ねえあなた、ここまで大聖女様に知られているなら、ご相談させて頂いたらどうかしら?」
キースさんの話してくれた内容に驚いた。実はキースさんは作家を目指していて、今も小説を執筆中だと言う。何作かは書き溜めてはいるが、なかなか出版するまでにはいかないそうだ。
そうだったのね、ご自分の夢を叶えるために頑張っているのね、凄い!
「だから体力を使う仕事じゃなく事務仕事を望まれたんですね」
「はい、事務仕事で文字に触れていたいのもありますし。それで大聖女様は私に本を?」
そうそう、その話し。受けてくれるかなー
「あのですね、今回のこの何千年も続いた魔物と瘴気には理由があったのです。それを物語にしてもらえたら、面白いかなーと思ってまして。
私は文才がゼロなので、どなたか面白く書いてもらえる人がいたら、歴史的にも良いかなーと。本の収益は半々、いや8:2でいかがでしょう?あー!もちろんキースさんが8ですよ!」
キースさんは奥さんと目を合わせると、
「あなた、あなたの夢が叶う時がきたわ…」
という奥さんに頷き、
「大聖女様、願ってもないお申し出です。もちろん私にその仕事をください、お願いします!」
と目を輝かせた。
その他にも数人、事務仕事を希望する方も職業訓練校での仕事を受けてくれることになった。
「大聖女様!お久しぶりです!今回は俺たちのためにありがとうございます!」
辺境の城の大広間に集まってもらった。あらかじめ連絡をしておいて、次の仕事についての話しなので、興味があったら来てねと、ご家族ももちろん一緒にと伝えておいた。
連絡した半分くらいの人が来ていた。
すでに実家を継ぐ人や、奥さんの実家で商売を継ぐなど、未来が決まっている人もたくさんいてホッとした。
「皆さん好きなだけお食事をしながら、ゆっくり相談していきましょう」
まずは皆で楽しく食事をした。
小さなお子さんを連れてきている方も多くて、チビッコたちが食べやすい食事も作ってもらって出した。
「おいしゃいねー」
と食べているのは前回キラキラの魔法を見せてと言ったティリーちゃんの妹のニコラちゃんだ。
「大聖女様!この度はお気遣いありがとうございます!それとこの子供用のお食事、普段あまり食べないニコラがすごく美味しいと言って食べているんです!」
子供席を用意したので子供たちはそこにまとまって食べているが、ママたちは食事が出来ていない。
「お母様たち、私がお子さんを見ているのでゆっくり食事をして来てください!」
そう思って子供が手掴みで食べれる物を用意してもらったのだ。
「大聖女様…良いんですか…?嬉しい…ゆっくり食事なんて久しぶりだわ!」
かと言って私ごときがこのチビッコたちをさばき切れる訳が無い。
チビッコたちが良い子にして食べててもらえるように……
「さあ!じょうずにたくさん食べている子は誰かな~」
私は円にして座らせている子供たちの真ん中に、世界的に有名なネズミのキャラクターを小さめにして登場させ、子供たちのお世話を手伝ってもらうことにした。
ネズミッキーと名付け、
「あっ、ニコラちゃん、ネズミッキーが応援してるよー!野菜も食べれるかな~?」
「ネズュミキ、見てて!ニコ野菜たべゆ!」
すかさずネズミッキーが、
「ニコラちゃん、凄い凄い!偉いね!頑張ったね!」
と褒めちぎる。この作戦でどの子もたくさん食べてくれた。
最初、謎の動きをする謎のネズミッキーに怯えていた子も、最後は指を指して笑うまでになった。
広間の一角を広くとって、ミニミニ公園も作った。そこにネズミッキーが子供たちを誘導してくれて、皆でご機嫌に遊んでくれている間に、お仕事の話しを進めた。
その頃には自分の仕事を終わらせてきたハルも来てくれた。そして謎のネズミッキーを見て少し怯えていた。
「今後こういったお仕事をしたいという希望のようなものはありますか?」
お一人お一人とお茶を飲みながお話しする。
「俺は今まで兵士としてしか生きこなかったから、これからどうしたいのかわからないんです」
「体を使うお仕事は抵抗無いですか?」
「はいもちろんです。むしろその方が…家が貧しくて学校にも…字もあまり…得意ではないから…」
やはり学校に行けていないようだった。私の世界では当たり前のことだから、少なからず衝撃を受ける。
「あの、失礼だったらごめんなさい。これからもし学校に行けるとしたら、行きたいと思いますか?」
「え?えぇ、それは、はい。子供が生まれて、父親が学が無いなんて子供には言えないですし…」
「わかりました。あの、働きながらになりますが、無料で学校に通えるとしたら通ってもらえます?体を使う仕事のあとに学校は少し大変かと思いますが、お仕事にも役に立つ内容にしますので」
元の世界での職業訓練校みたいなものだ。その兵士さんはポカンとして聞いていたが、
「本当に無料で通えるのですか?」
と縋るように聞いてきた。
やっぱり必要なんだ、学校が。
兵士の皆さんとは短いお付き合いだったけど、討伐の時の拠点にどう見ても子供に知らせるような単語しか書かれていないのを目にしたから。
「もちろんです。学校では朝食も昼食も無料で付けます。その代わり試験をクリアして卒業して頂きますが、大丈夫ですか?」
その兵士さんの目からポロポロと涙がこぼれた。慌てたように袖で涙を拭くと、
「よろしくお願いします!」
と頭を下げた。
この辺境の地は、長年魔物と瘴気のため男手は魔物討伐に取られてしまい、街を守る女性や老人だけでは、古くなった建物や道路などのインフラ工事が滞っていた。
古くなった役場や病院に図書館、馬車に乗ればヒドい振動を起こすガタガタの道路。
これらを希望する兵士さんに土木工事員として直してもらうことにした。
ただ長年放置されてきた街の再建は、大変な長期戦の事業になる。それにはお給料だけでは足りない気がしたので、勉強は建前で食事を提供したい。もちろん勉強も意欲のある方にはしっかり学んでもらうシステムにした。
なにせ私には余るほどのお金があるのだ。
この私の案をハルは大喜びで受け入れてくれた。インフラ工事の提案はハルからだ。
この話しを、今日来たほとんどの兵士さんが受け入れてくれた。
その中で、体を使う仕事は希望しないという方もいた。それは私が幼名を名付けしたリアムくんのお父さんのキースさんだった。
ハルも話しに加わって、お茶を飲みながら話しをした。
「ご当主様、俺は故郷の町で一応平民学校に3年通っていて字も書けるし読めます」
「そうだな、そういえばお前はよく本を読んでいたな?」
「ええ、本を読むのが好きでして。でも金を稼ぐのに討伐に参加していました。幸い剣もまあまあ振れたので」
「それでお前はなにかしたいことがあるのか?」
「俺は事務仕事ができれば有り難いかと……」
そういう方もいると思っていたの!大丈夫だよ、キースさん!
「そうかそれはこちらとしても有り難い。この度立ち上げる職業訓練校の事務をお願い出来ないだろうか、掛かる費用や人件費などの計上や教師たちの采配などを任せたい」
え?という顔のあと、見る見る嬉しそうな顔になっていくキースさん。
「ご当主様、願ってもない仕事です!ぜひ私にやらせてください!」
キースさんはとても喜んでくれた。
そんなところに私の提案なんて受け入れてもらえるだろうか……恐る恐る聞いてみる。
「あの~キースさん?つかぬことをお聞きしますが、小説というか物語というか、本を出す夢などはありませんか?」
キースさんは私の顔を見て固まった。
あら?私ってば的外れな発言の空気読めないヤツだね?やだ、どうしよう。早くなんちゃって~って言わないと―――
「大聖女様はそこまでわかるんですね?私の心まで読めるなんて、さすが神の力を持つお方だ……」
いつの間にかそばに来ていたキースさんの奥さんが、キースさんの肩を掴んで立っていた。
「ねえあなた、ここまで大聖女様に知られているなら、ご相談させて頂いたらどうかしら?」
キースさんの話してくれた内容に驚いた。実はキースさんは作家を目指していて、今も小説を執筆中だと言う。何作かは書き溜めてはいるが、なかなか出版するまでにはいかないそうだ。
そうだったのね、ご自分の夢を叶えるために頑張っているのね、凄い!
「だから体力を使う仕事じゃなく事務仕事を望まれたんですね」
「はい、事務仕事で文字に触れていたいのもありますし。それで大聖女様は私に本を?」
そうそう、その話し。受けてくれるかなー
「あのですね、今回のこの何千年も続いた魔物と瘴気には理由があったのです。それを物語にしてもらえたら、面白いかなーと思ってまして。
私は文才がゼロなので、どなたか面白く書いてもらえる人がいたら、歴史的にも良いかなーと。本の収益は半々、いや8:2でいかがでしょう?あー!もちろんキースさんが8ですよ!」
キースさんは奥さんと目を合わせると、
「あなた、あなたの夢が叶う時がきたわ…」
という奥さんに頷き、
「大聖女様、願ってもないお申し出です。もちろん私にその仕事をください、お願いします!」
と目を輝かせた。
その他にも数人、事務仕事を希望する方も職業訓練校での仕事を受けてくれることになった。
411
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる