異世界召喚?そんなこと望んでません!元の世界に帰してください!

翡翠と太陽

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66.マーゴットさんの恩返し決行

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 「それじゃあマーゴットさん、気を付けてね!ゆっくりしてきて!息子さんによろしくね!」

 ララさんが手を振っている。

 「マーゴット、わしに王都の土産を忘れるなよ!」

 村の皆さんに見守られ、私とマーゴットさんはメルトル村から王都に瞬間移動する。

 好奇心旺盛な村の皆さんが集まって来る。
 「行ってくるよ!あとは頼んだよ!」
 
 「レイ、マーゴットを頼んだぞ!」

 「わかりました!お任せください!
それじゃあマーゴットさん、行きますよ」

 『あのホテルへ』

 「……ヒィッー……レイ、ここどこだい?」

 「マーゴットさん、息子さんやお孫さんの待ってるホテルに着いたよ!」

 へ?っという顔で周りを見ていたが、周りに家族や親戚がいることに気付き、また驚いた。

 「おやウィル、サリーさんも!」

 その後はお孫さんや曾孫さんと対面し、家族も親戚も皆さん涙が止まらなかった。

 「大聖女様…ありがとうございます。母がこんなに年老いていたなんて、私は大変な親不孝をしていました…。この機会を頂けなかったら、私はもしかして生きた母に会えなかったかも知れない…。
本当に本当に感謝致します…!」

 ウィルさんもサリーさんも目を真っ赤にして、マーゴットさんに会えて良かったと喜んでくれている。良かった。

 「それに私どもにたくさんの服と靴と帽子やアクセサリーまで、この御恩をどうお返ししたら良いのか…」

 物をたくさんプレゼントするのは逆に失礼じゃないかと悩んだけど、私があの城で放置された時、食事が出来ないことが辛くて、それが魔法で解消されたあと、身だしなみが気になった。

 今回、綺麗なホテルで美味しいお食事を提供してもらって、少しおしゃれ出来たら嬉しいかなと思って、マーゴットさんの家族や親戚の皆さんに服などをたくさんプレゼントさせてもらった。お金はたっぷりあるし。

 「娘や息子たち孫たちも素敵な服や靴をそれはそれは喜んでいて、今まで我慢させてたので、その喜んだ顔が本当に嬉しくて…何から何までありがとうございます…」

 喜んでもらえたなら良かった。
 それでは部外者はここで…と去ろうとすると、

 「大聖女様、大変失礼な申し出かもしれませんが、よろしければ娘の結婚式に参加して頂けないでしょうか…。お忙しいのは重々承知しているのですが…」

 いいんですか?逆に関係無い私が?結婚式に?いいの?嬉しい!!
 
 「出ます!」
 
 「…!へ!あの…ダメだと思って聞いてみたのですが…」
 
 「出ます!お願いします!参加させてください!」

 パァーッとウィルさんの顔が変わる。

 「ありがとうございます…大聖女様。我が家の永遠の宝となります!
おーい皆!大聖女様がメイベルの式に参加してくださるぞ!!」

 それからはホテルのロビーで大騒ぎになった。なにせ50人もいる。貸し切りにして良かった、皆さんすごく嬉しそう。

 それから式の場所と日時を聞いて、皆さんにお別れをした。

 私がこのホテルに来たもうひとつの用事。
 支配人のトーマスさんに会いに来たのだ。

 「大聖女様、お出でいただき誠にありがとうございます。大聖女様の仰る通りでございました…。なんと申し上げたら良いか、感謝致します」

 私は前回このホテルにハルと予約しに来た時、このホテル全体に魔法を掛けた。

 それは、従業員の中でマーゴットさんやマーゴットさんのご家族、親戚の皆さんに害を為す者をトーマスさんの前に瞬間移動させる魔法だ。

 カプセルバリアのようにこのホテル全体を覆い、まず悪意のある者は入れないようにした。そうすると外で騒ぐ商人が4人程、騎士団に拘束された。

 私が派手に50人分の買い物したせいで、悪徳業者がそれを嗅ぎ付け、マーゴットさんご家族に悪質な物を高額で売り付けようとしたらしい。

 なぜかホテルのドアにも近づけない。裏口も同じで、変装したり従業員にくっついたりして入ろうとしたが、すべてバリアに拒絶された。
 そうして外で騒いでいた商人を、トーマスさんが騎士団に連絡し拘束されたのだ。

 騎士団も前々から目を付けていた連中だったらしい。

 それを間近で見たトーマスさんは、そのあと自分の前に瞬間移動してくる従業員をその都度クビにした。

 素知らぬ顔して嘘を言う従業員には、大聖女様の魔法ですべてわかっていると言うと、ガタガタと震え謝り倒したが、そのようにお客様なのに平民だからと横柄な態度をとるものはこのホテルには必要無い。

 そのお陰で、さっきウィルさんやサリーさんにそれとなく聞いたら、とても快適に過ごせていると言っていたので安心した。

 「トーマスさん、ありがとうございます。私の大切な人たちが、安心して過ごせていてとても嬉しいです。引き続き、皆さんが帰るまでよろしくお願いします。
 それと、この魔法はマーゴットさん一族の最後の一人がホテルから出たら解けますから」

 私がこの国でヒドい目に遭ったことはトラウマになっていると思う。この国での家族、メルトル村のみんなと辺境の城の人たち以外、誰も信用出来ないと思っているから。
 
 だからトーマスさんに相談して、このようなことをさせてもらった。
 その代わりトーマスさんからのお願いも引き受けた。

 『このホテルの品質は私が保証します。大聖女』
と紙に書き、ホテルの受付の一番目立つところに貼らせて欲しいと言うので了承した。
 ただ書いただけなら私とはわからないかも知れないと言うので、その用紙を後光が指すように輝かせた。
 そして、この紙を見たら少し疲れが回復する魔法も掛けておいた。トーマスさんは凄く喜んでくれた。

 でもいつかトーマスさんが悪人になってしまうかもか知れない。それは誰にもわからない。

 「もし、もしトーマスさんが悪い人になってしまったら、あの紙は燃えて消えてしまいます。悪い人を保証するとは言えないので…」

 ビクッとなったトーマスさんは、
 
 「わかりました…。私もこのホテルを私財を投じて始めたのです。命を賭けても辞めるわけにはいきませんから、大聖女様との約束だと思って、誠実に生きていきます」
 
 その数日後、マーゴットさんと一緒にお孫さんのメイベルさんの結婚式に参加させてもらった。
 俺も行きたい!とグズったハルも連れ、ウィルさんに急な参加でと謝罪したら物凄く恐縮された。

 ハルはお詫びにとどっさりとお祝い金を渡していた。サリーさんがまた倒れそうになったので、慌てて皆で抱えた。

 本当に素敵な式だった。
 メイベルさんのご主人になる方は、眼鏡をかけた誠実そうな方で、私とハルを紹介されると、こちらも倒れそうになったので皆で抱えた。そしてメイベルさんに怒られていた…。

 天気もよく風は柔らかで、家族だけの穏やかな幸せに満ちた結婚式。
 私とハルはその式を少し離れた場所から見ていた。

 「皆さん凄く幸せそう」
 
 「そうだね、皆んな凄く良い表情をしてるね。こんな式もいいね」

 「うん、私も結婚式をするならこんな式が良いなー」
 
 「じゃあこういう式にしようか。美麗の好きな場所で、好きな人たちに囲まれて、どう?」

 「うん!すごく素敵!嬉しい、そうしたい!…………へ?」

 ハルが優しい顔で私の手を取り、
 
 「美麗、言質は取ったよ?」
 
 と笑うと、私の前に跪いた。

 「美麗、俺と結婚して下さい。俺は生涯美麗ただ一人を愛して、大切にします。どうか俺と一緒に生きていって欲しい」

 そう言って私の薬指に唇を付けた。 
 そして穏やかな顔で私を見ている。

 今なんだ。
 私は今この人と結婚すると決めるんだ。
 今日は本当に素敵な日になった。私は生涯この日のこの人の瞳を忘れない。

 「はい、私もハルを幸せにします。よろしくお願いします」

 ハルは泣きそうになりながら、立ち上がり私を抱き締めて持ち上げるとクルクルと回った。

 「やった!美麗、ありがとう!愛してる。好きだよ!やったー!最高だ!」

 「ハル!きゃあー!」

 お父さんお母さん、ちゃんと報告出来ないけど、私結婚出来るみたい!凄く優しくて素敵な人だよ!私、幸せだよ!裕太、裕太のお兄さんになる人、めちゃくちゃイケメンだよ!

 私を降ろした時にウィルさんとサリーさんとマーゴットさんが来た。
 
 「ご当主様、その様子だと上手くいったのですね?おめでとうございます!」

 「レイ、あんたも結婚するなんておめでたいこと続きで、私はまだまだ長生きしないとならないね」
 
 へ?聞いてたの?…え?知ってたの皆さん。

 「美麗、美麗がいない間に、マーゴットさんやウィルさんサリーさんに了承を得て、この場でプロポーズするお許しをもらったんだ。もちろんララさんにもカイルさんにも了解は得てるよ」

 ありがとう、皆さん。私本当に嬉しい。

 「さあ、ガーデンパーティが始まりますよ!大聖女様、ご当主様もこちらへどうぞ」

 皆さんはすでにワイワイと立食で楽しそうに食べたり飲んだりしている。

 素敵な皆さんがいつまでも幸せでありますように。
 私は色とりどりの花を空から祝福の意味を込めてフワフワと降らせた。

 「うわ~!花が!花が舞ってる!」

 そして教会の上に大きな虹もかけた。

 そして持ってきたカメラで次々に写真を撮った。集合写真も。

 撮った写真をどんどん皆んなに配ったら驚きと喜びでまた賑やかになった。

 私にとっても記念の日。
 隣を見るといつも優しく微笑んでくれているハルがいる。こんな日常が続くことを願った。
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