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キリウから次々と告げられる予想外の言葉に、ベルーラは驚愕し、返す言葉さえ見つからなかった。
「いきなりそんなこと言われても信じられないよな」
「・・・・・・」
「その前に、なぜこの旧伯爵邸が王妃の療養地として与えられたのか、その話を先にさせてもらうよ。実は、のちにベルの記憶を失った出来事と関係してくる話だから」
ベルーラの様子を察しつつ、キリウは一度言葉を切ると、かつて王家に起きた悲劇を語り始めた。
それは現国王がまだ王太子時代、第一王子殿下が存命していた数十年前。
王太子殿下と王太子妃、そして愛息子を乗せた馬車が事故に巻き込まれ、王子だけが悲しいことに一歳と満たない年齢でこの世を去った。
当時王族関係者の噂では本当に事故だったのか、それとも故意によるものだったのか・・・疑わしい状況がなくはなかったが、決定打が見つからず真相に辿り着くことはなかった。
「そのとき殿下たちも怪我を負われたが、それ以上に王子殿下を失った王太子妃の心身のダメージが大きかった。なかなか子宝に恵まれなかった二人にやっと光が差した宝だったからね」
王太子妃は日に日に部屋から出ることが減り、食事を摂らない日も目立つようになっていた。
その衰弱ぶりに危機感を覚えた殿下は、没落によって王家の所有となっていた旧伯爵邸を妻の療養地として贈ることを決めた。
寂れていた庭園には、妻好みの木々や花々を植え、邸宅の内装も妻が好きな色の壁紙や家具類、装飾物などを揃えた。
さらに彼女の母国から信頼のおける女官を呼び寄せ、そのほかの使用人とともに、世話役として配置させた。
元来土いじりを好む王太子妃は、天気の良い日には自ら花や木々の手入れをし、菜園にも携わるようになって、次第に外へ出る機会が増えていった。
それが功を奏したのか、王太子妃は身籠り、無事に男児を出産。
「その時、王太子妃は産まれたばかりの赤子を抱きながら、殿下にある思いを打ち明けたんだ」
“この子が成人し、王位継承権を得る年齢に達するまで、どうか陛下方以外の王族や貴族、そして国民には、王女が生まれたと偽ることをお許し頂きたいのです。王女であると信じ込ませることができれば、少なくとも命を狙われる危険は半分に抑えられます。もう、第一王子のように、我が子を失いたくはございません”
・
・
・
・
「ちょっ、ちょっと待って!王女って」
その話に困惑するベルーラに、キリウは言葉を挟まず、彼女の胸中の答えを悟ったかのように小さく頷いた。
その要望に、殿下は一瞬躊躇いながらも了承し、その旨を父である国王陛下に伝えた。国王陛下も即断は避けたが、王妃陛下の強い後押しを受け、最終的にその決断を了承するに至った。
「以後、この秘密を知るのは陛下方をはじめ、王太子殿下のごく限られた側近、王太子妃および王子殿下の身の回りを世話する者たちに限られたんだ」
王家に連なる者たち、すなわち王族や王家と縁の深い有力貴族には、生まれつき虚弱な王女は外出が難しいため、しばらく王都から離れた静かな別城で育て、面会もできる限り控えてほしいと申し入れた。幸いにも王都から離れていたおかげで、その意図は十分に果たされることができた。
だが、子が成長するにつれ、いつまでも公の場から遠ざけ続けることは難しくなりつつあった。まだ幼いとはいえ、今後は少しずつでも姿を見せていかなければ、かえって不自然さが目立ち、疑念や噂を招きかねない。こうした状況を踏まえ、打開策として白羽の矢が立ったのが、スクヴェルク侯爵家だった。
「ベルも知っての通り、スクヴェルク家は古くから王家に仕え、ことさら厚い信頼を受けていた。それに殿下と父はアカデミー時代からの旧知で、その縁もあってこの話はごく内々に伝えられていたらしい」
王家の慣習として、王族の子の側には、同年代で家格の釣り合う貴族の子どもが側に置かれていた。
いずれは王女の身辺にもその役目を担う者が必要になると考えられ、協議の末、表向きには将来の護衛役という名目で、同年代のキリウが選ばれた。
「将来、王子殿下が本来の姿で生活することを見据え、幼い頃から側に置くことで信頼関係を築いておく方がよいという結論に至ったらしい」
こうして王子殿下は、王城では“王女”として振る舞い、旧伯爵邸に戻れば“王子殿下”として過ごす・・・。本人の意志とは無関係に、二つの顔を背負うこととなった。
ただ一つ厄介なのは、男児として生まれているため遊び相手に同性が選ばれるのは妥当。しかし、周囲は王女と認識しているため、キリウが選ばれたことに関して違和感が生じてしまう点だった。
「そうした事情から、カモフラージュ役として、私の婚約者であるベルーラを王女の遊び相手にと、スクヴェルク家が推薦したんだ」
それは、ベルーラが五歳になったばかりの頃のことだった。もちろんモーリス子爵家には細かな事情は伏せられ、ベルーラ自身も王女の遊び相手として迎えられていたにすぎなかった。
(私が遊び相手?いくら幼いとはいえ、全く記憶がないなんてことがあるんだろうか・・・ということは、その頃の記憶は・・・)
ベルーラは、自身の記憶が結びつかないことに、戸惑いを隠せずにいた。
「・・・王子殿下はね、自分とは違う性別の子どもと遊ぶのは初めてだったんだ。初めは戸惑っているようだったけれど、ベルの持ち前の性格もあって、次第に心を許すようになっていったよ」
王城では王女としてベルーラと向き合い、この地へ戻れば王子として息をつく。その切り替えを強いられるその生活は、仕方のないこととはいえ、幼い彼に確かな重荷として積み重なっていった。
「王子殿下はね、王太子殿下たちが公務で不在の隙を見計らって、ベルを旧伯爵邸に呼んだんだ。もちろん・・・王子殿下として」
ベルーラの到着を待っていたのはキリウと共に、彼と同じ年頃のもう一人の少年だった。
「幼いベルがどこまで理解できたかは分からないけど、殿下は女の子として接してきたことを、正直に打ち明けたんだ。もちろん、そこに行き着くまでに“気持ち悪がられるかもしれない”、“もう会ってくれないかもしれない”・・・その覚悟を決めるまで、ひどく葛藤していたよ」
王子殿下は視線を落とし、今にも泣き出しそうな表情で言葉を続けられずにいた。ベルーラはそんな様子を不思議そうに少しだけ首を傾げると、ふと王子の震えるその手を見つめ、ぎゅっと握り返した。
“あなたが王子さまでもお姫さまでもわたしたちがお友だちなのには変わりないでしょ?”
「この件は侍従長を通じて、父君である王太子の耳にも入ることとなったんだ。まあ、軽率な行動をした王子には軽い処罰は与えられたが、慎重な協議の末、モーリス子爵家当主にも内情が明かされることになったんだ。その結果、ベルーラは王城だけでなく、この地へも招かれることになった」
キリウは一瞬空を見上げ、物憂げな表情を浮かべたのち、意を決したように再びベルーラへ視線を戻した。
「心がずいぶん軽くなったのか、それまで以上にベルとの仲が一気に縮まったようだった。ベルがここへ来るたびに、新しいドレスや装飾品をプレゼントしていたよ。まあ、ベルのご両親は困っていたけどね。あと、たまに同じようなドレスを着て、使用人を騙して遊んだりもしていたっけ」
自身の知らない頃の話を微笑ましく聞きながらもベルーラは、なぜかキリウの歯切れの悪い話しぶりに違和感を覚えていた。
「その日もいつもと同じ時間に、私はベルを迎えにモーリス邸へ向かったんだ。そしたら、ベルがすごく嬉しそうに、こっちへ走ってきてね」
キリウが驚いて見ていると、ベルーラは着ているドレスを見せびらかすように、裾をひらひらと揺らしていた。
「その時、少し遅れた誕生日プレゼントだって・・・王子殿下から贈られたことを嬉しそうに話していたよ」
それは、殿下が好む色合いで作られた特注のドレスだった。王家御用達の専属デザイナーによるデザインも、まさに素晴らしい一着に仕上がっていた。
「一刻も早く本人に見せたいと言われ、旧伯爵邸に向かったんだが、どうやら急な公務が入ったらしくて、王子殿下は王都にいて戻るのは午後になる話だった」
本来なら出直して別日に、という話になるところだが、その日ベルーラはどうしても直接お礼を言いたいと懇願し、しばらく待つことを許してもらえた。
「待っている間、ベルは王子に渡す花冠を作ろうと庭に出て、一生懸命編んでたよ。初めは私も手伝っていたが、だんだん飽きてきて傍を離れたんだ。・・・今思えば面白くなかったんだろうね。自分の婚約者が別の男のために何かしている姿を見ているのが」
キリウは、当時の心情を想い出したのか、不意に悲しげな表情で微笑んだ。
「その時、少し言い合いみたいになってね。まあ、庭園の端にある林道に入らなければ安全だったし、ベルもそこは怖がって行かなかったから、私が離れても大丈夫だと思ったんだ。でも・・・今でもその時の行動を後悔している。あの時、私がベルから離れなければ・・・」
この場所の詳しい状況を知るのは王家の一部だけで、王妃たちが滞在していることもほとんど知られていなかった。
危険といえば、駆除しきれなかったごくわずかな害獣くらい。だが、これまで遭遇したこともなく、命に関わる出来事は一度もなかった。そのため、王妃たちが不在で周辺の警護が普段より手薄になっていたとしても、この場にいた誰一人として身の危険を感じることはなかった。
だから誰も気が付かなかった。
影に潜むように、ベルーラの後ろ姿をじっと見つめる鋭い目に・・・・・・。
「いきなりそんなこと言われても信じられないよな」
「・・・・・・」
「その前に、なぜこの旧伯爵邸が王妃の療養地として与えられたのか、その話を先にさせてもらうよ。実は、のちにベルの記憶を失った出来事と関係してくる話だから」
ベルーラの様子を察しつつ、キリウは一度言葉を切ると、かつて王家に起きた悲劇を語り始めた。
それは現国王がまだ王太子時代、第一王子殿下が存命していた数十年前。
王太子殿下と王太子妃、そして愛息子を乗せた馬車が事故に巻き込まれ、王子だけが悲しいことに一歳と満たない年齢でこの世を去った。
当時王族関係者の噂では本当に事故だったのか、それとも故意によるものだったのか・・・疑わしい状況がなくはなかったが、決定打が見つからず真相に辿り着くことはなかった。
「そのとき殿下たちも怪我を負われたが、それ以上に王子殿下を失った王太子妃の心身のダメージが大きかった。なかなか子宝に恵まれなかった二人にやっと光が差した宝だったからね」
王太子妃は日に日に部屋から出ることが減り、食事を摂らない日も目立つようになっていた。
その衰弱ぶりに危機感を覚えた殿下は、没落によって王家の所有となっていた旧伯爵邸を妻の療養地として贈ることを決めた。
寂れていた庭園には、妻好みの木々や花々を植え、邸宅の内装も妻が好きな色の壁紙や家具類、装飾物などを揃えた。
さらに彼女の母国から信頼のおける女官を呼び寄せ、そのほかの使用人とともに、世話役として配置させた。
元来土いじりを好む王太子妃は、天気の良い日には自ら花や木々の手入れをし、菜園にも携わるようになって、次第に外へ出る機会が増えていった。
それが功を奏したのか、王太子妃は身籠り、無事に男児を出産。
「その時、王太子妃は産まれたばかりの赤子を抱きながら、殿下にある思いを打ち明けたんだ」
“この子が成人し、王位継承権を得る年齢に達するまで、どうか陛下方以外の王族や貴族、そして国民には、王女が生まれたと偽ることをお許し頂きたいのです。王女であると信じ込ませることができれば、少なくとも命を狙われる危険は半分に抑えられます。もう、第一王子のように、我が子を失いたくはございません”
・
・
・
・
「ちょっ、ちょっと待って!王女って」
その話に困惑するベルーラに、キリウは言葉を挟まず、彼女の胸中の答えを悟ったかのように小さく頷いた。
その要望に、殿下は一瞬躊躇いながらも了承し、その旨を父である国王陛下に伝えた。国王陛下も即断は避けたが、王妃陛下の強い後押しを受け、最終的にその決断を了承するに至った。
「以後、この秘密を知るのは陛下方をはじめ、王太子殿下のごく限られた側近、王太子妃および王子殿下の身の回りを世話する者たちに限られたんだ」
王家に連なる者たち、すなわち王族や王家と縁の深い有力貴族には、生まれつき虚弱な王女は外出が難しいため、しばらく王都から離れた静かな別城で育て、面会もできる限り控えてほしいと申し入れた。幸いにも王都から離れていたおかげで、その意図は十分に果たされることができた。
だが、子が成長するにつれ、いつまでも公の場から遠ざけ続けることは難しくなりつつあった。まだ幼いとはいえ、今後は少しずつでも姿を見せていかなければ、かえって不自然さが目立ち、疑念や噂を招きかねない。こうした状況を踏まえ、打開策として白羽の矢が立ったのが、スクヴェルク侯爵家だった。
「ベルも知っての通り、スクヴェルク家は古くから王家に仕え、ことさら厚い信頼を受けていた。それに殿下と父はアカデミー時代からの旧知で、その縁もあってこの話はごく内々に伝えられていたらしい」
王家の慣習として、王族の子の側には、同年代で家格の釣り合う貴族の子どもが側に置かれていた。
いずれは王女の身辺にもその役目を担う者が必要になると考えられ、協議の末、表向きには将来の護衛役という名目で、同年代のキリウが選ばれた。
「将来、王子殿下が本来の姿で生活することを見据え、幼い頃から側に置くことで信頼関係を築いておく方がよいという結論に至ったらしい」
こうして王子殿下は、王城では“王女”として振る舞い、旧伯爵邸に戻れば“王子殿下”として過ごす・・・。本人の意志とは無関係に、二つの顔を背負うこととなった。
ただ一つ厄介なのは、男児として生まれているため遊び相手に同性が選ばれるのは妥当。しかし、周囲は王女と認識しているため、キリウが選ばれたことに関して違和感が生じてしまう点だった。
「そうした事情から、カモフラージュ役として、私の婚約者であるベルーラを王女の遊び相手にと、スクヴェルク家が推薦したんだ」
それは、ベルーラが五歳になったばかりの頃のことだった。もちろんモーリス子爵家には細かな事情は伏せられ、ベルーラ自身も王女の遊び相手として迎えられていたにすぎなかった。
(私が遊び相手?いくら幼いとはいえ、全く記憶がないなんてことがあるんだろうか・・・ということは、その頃の記憶は・・・)
ベルーラは、自身の記憶が結びつかないことに、戸惑いを隠せずにいた。
「・・・王子殿下はね、自分とは違う性別の子どもと遊ぶのは初めてだったんだ。初めは戸惑っているようだったけれど、ベルの持ち前の性格もあって、次第に心を許すようになっていったよ」
王城では王女としてベルーラと向き合い、この地へ戻れば王子として息をつく。その切り替えを強いられるその生活は、仕方のないこととはいえ、幼い彼に確かな重荷として積み重なっていった。
「王子殿下はね、王太子殿下たちが公務で不在の隙を見計らって、ベルを旧伯爵邸に呼んだんだ。もちろん・・・王子殿下として」
ベルーラの到着を待っていたのはキリウと共に、彼と同じ年頃のもう一人の少年だった。
「幼いベルがどこまで理解できたかは分からないけど、殿下は女の子として接してきたことを、正直に打ち明けたんだ。もちろん、そこに行き着くまでに“気持ち悪がられるかもしれない”、“もう会ってくれないかもしれない”・・・その覚悟を決めるまで、ひどく葛藤していたよ」
王子殿下は視線を落とし、今にも泣き出しそうな表情で言葉を続けられずにいた。ベルーラはそんな様子を不思議そうに少しだけ首を傾げると、ふと王子の震えるその手を見つめ、ぎゅっと握り返した。
“あなたが王子さまでもお姫さまでもわたしたちがお友だちなのには変わりないでしょ?”
「この件は侍従長を通じて、父君である王太子の耳にも入ることとなったんだ。まあ、軽率な行動をした王子には軽い処罰は与えられたが、慎重な協議の末、モーリス子爵家当主にも内情が明かされることになったんだ。その結果、ベルーラは王城だけでなく、この地へも招かれることになった」
キリウは一瞬空を見上げ、物憂げな表情を浮かべたのち、意を決したように再びベルーラへ視線を戻した。
「心がずいぶん軽くなったのか、それまで以上にベルとの仲が一気に縮まったようだった。ベルがここへ来るたびに、新しいドレスや装飾品をプレゼントしていたよ。まあ、ベルのご両親は困っていたけどね。あと、たまに同じようなドレスを着て、使用人を騙して遊んだりもしていたっけ」
自身の知らない頃の話を微笑ましく聞きながらもベルーラは、なぜかキリウの歯切れの悪い話しぶりに違和感を覚えていた。
「その日もいつもと同じ時間に、私はベルを迎えにモーリス邸へ向かったんだ。そしたら、ベルがすごく嬉しそうに、こっちへ走ってきてね」
キリウが驚いて見ていると、ベルーラは着ているドレスを見せびらかすように、裾をひらひらと揺らしていた。
「その時、少し遅れた誕生日プレゼントだって・・・王子殿下から贈られたことを嬉しそうに話していたよ」
それは、殿下が好む色合いで作られた特注のドレスだった。王家御用達の専属デザイナーによるデザインも、まさに素晴らしい一着に仕上がっていた。
「一刻も早く本人に見せたいと言われ、旧伯爵邸に向かったんだが、どうやら急な公務が入ったらしくて、王子殿下は王都にいて戻るのは午後になる話だった」
本来なら出直して別日に、という話になるところだが、その日ベルーラはどうしても直接お礼を言いたいと懇願し、しばらく待つことを許してもらえた。
「待っている間、ベルは王子に渡す花冠を作ろうと庭に出て、一生懸命編んでたよ。初めは私も手伝っていたが、だんだん飽きてきて傍を離れたんだ。・・・今思えば面白くなかったんだろうね。自分の婚約者が別の男のために何かしている姿を見ているのが」
キリウは、当時の心情を想い出したのか、不意に悲しげな表情で微笑んだ。
「その時、少し言い合いみたいになってね。まあ、庭園の端にある林道に入らなければ安全だったし、ベルもそこは怖がって行かなかったから、私が離れても大丈夫だと思ったんだ。でも・・・今でもその時の行動を後悔している。あの時、私がベルから離れなければ・・・」
この場所の詳しい状況を知るのは王家の一部だけで、王妃たちが滞在していることもほとんど知られていなかった。
危険といえば、駆除しきれなかったごくわずかな害獣くらい。だが、これまで遭遇したこともなく、命に関わる出来事は一度もなかった。そのため、王妃たちが不在で周辺の警護が普段より手薄になっていたとしても、この場にいた誰一人として身の危険を感じることはなかった。
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