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佐伯の襲撃から一時間程経ち、いつの間にか眠ってしまっていた史果はベッドからゆっくりと起き上がった。キッチンの方から音が聞こえ、視線を何気に向けると基希の後ろ姿がキッチンの奥で何かしているのが見受けられた。
声を掛けようとするも、史果は昨日の会社でのことが蘇り躊躇ってしまった。
「おっ、起きたか。部屋入るなりいきなり倒れて・・・と思ったら寝出したから吃驚したぞ」
此方に気付いた基希は手に卵粥が入ったお椀をトレーに載せ、史果がいるベッド近くのローテーブルに置いた。
「それよりお前、呑み過ぎっ!!なんなんだよあの缶の量っ!!体調不良で休むって言ってたのにただの呑み過ぎかよ」
急に説教され“誰のせいでっ!!!”と喉元まで出かかった言葉を無理くり呑み込み基希から視線を逸らした。
「何しに来たんですか?今まだ仕事中ですよ、こんなとこでサボってていいんですか?」
「あ、ん、まあそうなんだけど・・・その、昨日のことなんだけどさ・・・・・・ごめんっ!!」
いきなり目の前で頭を下げる基希に唖然とし、史果は驚きのあまり絶句してしまった。
「なんか苛ついて、つい当たった・・・ってか、そもそも丘野にあんな笑顔すっから・・・俺には見せねーのに」
「んっ?すみません、最後の方聞き取り難かったんですが・・・」
段々ボソボソと話す基希の声が聞き取り難く、聞き返すも応えてはくれず、史果が困惑する表情を向けた。
「とにかくっ!昨日言ったことは忘れていい、本心じゃねーから!とりあえずこの話はこれで終わりっ」
勝手に終わらされ、基希のせいで今の状態になって会社までズル休みまでしてしまった現状に史果は納得できず詰め寄ろうとするも逆に基希は史果の目の前に顔を近づけた。
「ってかさ、さっきなんで佐伯いたの?まさか・・・連絡取ってるとかじゃねーよな?」
今度は何故か威圧的な態度で迫られ、気づけば史果がいるベッドへと上がって来ていた。
「ちょっと、近いですよっ!佐伯さんの件は私の方が知りたいくらいですよ。そもそも、アパートに招いたこともないのにうちの住所知ってたし。それよりもベッドから降りてくださいっ」
史果は押しやるように基希の左肩を手で押すも全くビクともせず力負けしていた。
「もう頼れるのがお前くらいしかいなかったから調べたんだな・・・そうなるとあいつのことだからまた来るかもしれないな」
顎に左手を置き、独り言のようにぶつぶつ何やら呟いていると思ったら「よしっ!やっぱこうした方がいいな!」何か納得いく答えが導き出されたのか急に明るい表情になった基希はすんなりベッドから降りた。
「その粥食って今日は大人しく寝とけよっ!夜また来るから。あと誰か来てもドア開けるなよ」
「へっ?あ、夜って、ちょっ、藤さんっ」
史果の話はお構いなしに自分が言いたい事だけさっさと告げ基希は、足早に部屋を後にした。
「何なの、一体・・・」
基希の行動がいまいち理解できない史果は眉間に皺を寄せ困惑した頭のままベッドに突っ伏した。
☆☆☆
ピンポーン・・・。
夕方、史果は言われた通り部屋で寛いでいると、部屋のチャイムが鳴り思わず身体を強張らせた。
史果は恐る恐るインターフォンのモニター画面を覗くと見慣れた制服の引っ越し業者と思われる姿が映し出されており史果は警戒しながらドアを開けた。
「お待たせしましたー、○○引越センターです。じゃあ、早速運び出すんでお邪魔しましすね」
「へっ?え、あの、ちょっ、何かの間違いじゃ」
「え?“瀬尾史果”さんですよね?連絡入ってますよ?」
「そんなはずは・・・引っ越す予定なんてしてな「大丈夫なんで、気にせず作業しちゃってくださーい」
史果は慌てて連絡した覚えがないことを業者に伝え説明していると誰かが部屋に史果の話を遮り割って部屋へと入って来た。
「藤さん?!何なんですかこれは!!勝手にこんなこと」
「あ?あのなー、佐伯に家、突きとめられてんだぞ!いつまた今日みたいなこと起こらないとも限らない。ならさっさと違うとこ引っ越すのがいいだろ?」
「それは、そうかもしれませんが・・・大体、どこに住むんですか。急に言われても私、何も調べてないですし」
「それは大丈夫。あっ、すみませーん。ベッドとこのタンスとその衣装ケースくらいであとはまたこっちで処分するんでとりあえずそれだけお願いします」
基希は史果を諭しながら引っ越し業者に手際よく伝えると彼らは手慣れた様子でさっきまで横になっていたベッドを運び出した。
「とりあえず家具はそんなにないみたいだし、家電類も特に必要ねーからこんなもんだな。また休みの日にでも細々したものは俺の車に乗せて運べばいいし使わない家電類は売りに行ってもいいしな」
あっという間に場所を取っていた家具や寝具がなくなった部屋はこんなに広かったんだ・・・と思われるほど跡形もなくなってしまった。
(ウィークリーマンション?・・・違うか、そこなら家具一式揃ってるし。じゃあ私の荷物たちはどこへ運ばれてしまったんだ?)
眉間に皺を寄せ考え込んでいると「ほら、俺らも行くぞ」基希に手を引かれ史果は急いで貴重品だけを手に取り引っ張られるように基希の車に乗せられた。
「藤さん、どこ行くんですか?私、何も聞いてないんですけど」
「お前、最近また“藤さん”呼びになってるぞ。罰としてまだ教えてやんねー」
意地悪そうな笑みを史果に向け車は目的の場所へと走らせて行った。
声を掛けようとするも、史果は昨日の会社でのことが蘇り躊躇ってしまった。
「おっ、起きたか。部屋入るなりいきなり倒れて・・・と思ったら寝出したから吃驚したぞ」
此方に気付いた基希は手に卵粥が入ったお椀をトレーに載せ、史果がいるベッド近くのローテーブルに置いた。
「それよりお前、呑み過ぎっ!!なんなんだよあの缶の量っ!!体調不良で休むって言ってたのにただの呑み過ぎかよ」
急に説教され“誰のせいでっ!!!”と喉元まで出かかった言葉を無理くり呑み込み基希から視線を逸らした。
「何しに来たんですか?今まだ仕事中ですよ、こんなとこでサボってていいんですか?」
「あ、ん、まあそうなんだけど・・・その、昨日のことなんだけどさ・・・・・・ごめんっ!!」
いきなり目の前で頭を下げる基希に唖然とし、史果は驚きのあまり絶句してしまった。
「なんか苛ついて、つい当たった・・・ってか、そもそも丘野にあんな笑顔すっから・・・俺には見せねーのに」
「んっ?すみません、最後の方聞き取り難かったんですが・・・」
段々ボソボソと話す基希の声が聞き取り難く、聞き返すも応えてはくれず、史果が困惑する表情を向けた。
「とにかくっ!昨日言ったことは忘れていい、本心じゃねーから!とりあえずこの話はこれで終わりっ」
勝手に終わらされ、基希のせいで今の状態になって会社までズル休みまでしてしまった現状に史果は納得できず詰め寄ろうとするも逆に基希は史果の目の前に顔を近づけた。
「ってかさ、さっきなんで佐伯いたの?まさか・・・連絡取ってるとかじゃねーよな?」
今度は何故か威圧的な態度で迫られ、気づけば史果がいるベッドへと上がって来ていた。
「ちょっと、近いですよっ!佐伯さんの件は私の方が知りたいくらいですよ。そもそも、アパートに招いたこともないのにうちの住所知ってたし。それよりもベッドから降りてくださいっ」
史果は押しやるように基希の左肩を手で押すも全くビクともせず力負けしていた。
「もう頼れるのがお前くらいしかいなかったから調べたんだな・・・そうなるとあいつのことだからまた来るかもしれないな」
顎に左手を置き、独り言のようにぶつぶつ何やら呟いていると思ったら「よしっ!やっぱこうした方がいいな!」何か納得いく答えが導き出されたのか急に明るい表情になった基希はすんなりベッドから降りた。
「その粥食って今日は大人しく寝とけよっ!夜また来るから。あと誰か来てもドア開けるなよ」
「へっ?あ、夜って、ちょっ、藤さんっ」
史果の話はお構いなしに自分が言いたい事だけさっさと告げ基希は、足早に部屋を後にした。
「何なの、一体・・・」
基希の行動がいまいち理解できない史果は眉間に皺を寄せ困惑した頭のままベッドに突っ伏した。
☆☆☆
ピンポーン・・・。
夕方、史果は言われた通り部屋で寛いでいると、部屋のチャイムが鳴り思わず身体を強張らせた。
史果は恐る恐るインターフォンのモニター画面を覗くと見慣れた制服の引っ越し業者と思われる姿が映し出されており史果は警戒しながらドアを開けた。
「お待たせしましたー、○○引越センターです。じゃあ、早速運び出すんでお邪魔しましすね」
「へっ?え、あの、ちょっ、何かの間違いじゃ」
「え?“瀬尾史果”さんですよね?連絡入ってますよ?」
「そんなはずは・・・引っ越す予定なんてしてな「大丈夫なんで、気にせず作業しちゃってくださーい」
史果は慌てて連絡した覚えがないことを業者に伝え説明していると誰かが部屋に史果の話を遮り割って部屋へと入って来た。
「藤さん?!何なんですかこれは!!勝手にこんなこと」
「あ?あのなー、佐伯に家、突きとめられてんだぞ!いつまた今日みたいなこと起こらないとも限らない。ならさっさと違うとこ引っ越すのがいいだろ?」
「それは、そうかもしれませんが・・・大体、どこに住むんですか。急に言われても私、何も調べてないですし」
「それは大丈夫。あっ、すみませーん。ベッドとこのタンスとその衣装ケースくらいであとはまたこっちで処分するんでとりあえずそれだけお願いします」
基希は史果を諭しながら引っ越し業者に手際よく伝えると彼らは手慣れた様子でさっきまで横になっていたベッドを運び出した。
「とりあえず家具はそんなにないみたいだし、家電類も特に必要ねーからこんなもんだな。また休みの日にでも細々したものは俺の車に乗せて運べばいいし使わない家電類は売りに行ってもいいしな」
あっという間に場所を取っていた家具や寝具がなくなった部屋はこんなに広かったんだ・・・と思われるほど跡形もなくなってしまった。
(ウィークリーマンション?・・・違うか、そこなら家具一式揃ってるし。じゃあ私の荷物たちはどこへ運ばれてしまったんだ?)
眉間に皺を寄せ考え込んでいると「ほら、俺らも行くぞ」基希に手を引かれ史果は急いで貴重品だけを手に取り引っ張られるように基希の車に乗せられた。
「藤さん、どこ行くんですか?私、何も聞いてないんですけど」
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