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薄暗い部屋の一部を間接照明の光だけが淡く照らし、部屋を怪しげな色合いで醸し出していた。
「んっ、あァ♡ひゃんっ・・・や、んンッ」
基希の寝室に引きずり込まれた史果は、両手を後ろに縛られ目隠しをされていた。ベッドの上に転がした史果の隣に座った基樹は呆れ声で見据える。
「ったく、変な声出すなよ」
「だ、だって擽った・・・、ひぁっンッ!!はぎャ、いヒヒッ」
視覚を閉ざされた史果は基希が触れる指先が自分の身体の何処にあるのかわからず触れられる瞬間、神経が一気に集中し、より刺激が敏感に伝わってきた。
「お、お仕置って、コチョコチョすることだったんですか?!」
「お前、結構擽ったがりだろ?しかも目隠しされてたら余計敏感に反応するだろうからおもしれーだろうなって。ってか、もしかしていつものお仕置期待した?ご希望ならそっちに切り替えてもいいけどな♪」
表情は見えずとも基希の意地悪な嗤いは手に取るようにわかり、史果は痛いところをつかれた気分で恥ずかしさと悔しさが込み上げる。
「そっ、そんなこと思ってま、ひゅッ!」
基希の指先が史果の身体のラインに沿って滑らせてゆく。擽ったさとはまた違った感覚に襲われ出した史果は、慌ててこの状況から逃れようと言葉を模索する。
「ま、待って下さいっ!私も、ひッ・・・ん、聞きたいことあるんですっ!」
「なんだよ」
基希は一旦手を止め、史果の目隠しを外した。いつの間にかルームライトが付けられていたせいで、急に明るい光が飛び込み視界を歪ませた。
「ど、どうして、在籍している会社に戻らないんですか?事件も解決したみたしだしこの会社に留まる理由はないんですよね」
「それは・・・。なんだかんだ言ってもこの会社に情が湧いたっていうかー。本社での俺の仕事はどちらかと言うと事務的な業務が多かったんだ。でもこの仕事は、職種関係なしに出会える人が多かったり、リアルタイムな情報収集が出来て凄く楽しいし勉強になるんだ。それに・・・」
「それに?」
急に言葉を詰まらせた基希に、不思議そうに聞き返した史果は彼の気まずそうな表情をじっと見据えた。
「ほ、ほら!姉さんの仕事も手伝えて貸しも作れるし。まあ俺としては元々取締って言う様な器じゃねーしここでやる仕事の方があってんだよっ」
「ふぎゃッ」
何故か基希に鼻先を摘ままれた史果は、両手が塞がっているため顔を左右に横へ振り抵抗すると笑いながら放し、同時に史果の身体から離れた。
「手、外してやるから後ろ向け。兎に角だっ!今後俺に関して、歩生もしくは別の奴が接触してきたら隠さず俺に言え。変にややこしくなって拗れるのは面倒なんだよ」
基希は、不愛想な声色で後ろ手に縛られていた史果の拘束を解放した。
「あ、そうそう。“藤”性は元々母方の祖母の旧姓を使ってたんだ。本名だと色々詮索があると面倒だから。俺の本当の苗字は鹿島、鹿島基希。って言っても、会社では藤を使うし鹿島姓はあまり使う用途はないけどな」
基希の話を聞きながら暴れたせいで薄っすら赤くなった両手首を無意識に擦っていると、それに気づいた基希が史果の左手首を持ち、もう片方の手で赤くなった跡をそっと撫でた。
「悪かった。そんな強く縛ったつもりはなかったんだけど・・・ごめん」
気落ちする基希にどう声を掛けていいかわからず、咄嗟に史果は基希の頭をポンポンと軽く叩いた。
「な、何するんだよっ!ったく、ガキじゃねーんだよ」
「あ、す、すみません・・・イタっ!!」
乱暴な口調なのに基希の頬と耳は紅く染まりそれに気づいた史果は、彼にはバレないように笑みを溢していた。そんな史果に翻弄される自分が納得いかなかったのか鎖骨周辺の皮膚に鈍く熱い痛みを落とされた。
「やだ、こんなとこに!」
ふん、と意地悪な表情で見つめられるも史果の心内は騒めき、刻まれた刻印を指先で擦った。
――――――――――
今朝は、基希が直行で早朝に家を出て行ったため、史果は心にゆとりを持って企画書などに目を通し修正書類などを片付けていた。
ちょっかいを掛けられる相手もいないため仕事が捗り、気付けばお昼休憩の時間になっていた。
「んーー」
同じ姿勢でずっとパソコンのキーを打っていたため身体が固まりそれを解すように両腕と背筋を伸ばしていると同僚から内線で来客の知らせを聞き、史果は急いで一階のロビーまで下りた。
「おーい、こっち、こっち」
受付の方へと向かおうとした時、男性に声を掛けられ呼ぶ声に視線を動かすと、パリッとしたスーツ姿で手招きする歩生の姿が目に入った。
女性姿の時も周囲の視線を集めるほどの容姿だったが、男性の姿も姿で見惚れる女性たちの視線を釘付けにするほどだった。
「悪いな。今から休憩だろ?基希、今いないの知ってんだ。ちょっとだけ話せるか?」
史果の傍まで来た歩生は、昨日の女性の時とは違い無骨な口調で話しかけてきた。
「あー、んー・・・」
(勝手なことしてもし基希さんにバレたら擽りだけじゃ済まなさそうだしな・・・)
基希が不在中だが、今までを考えると彼を欺ける自信もなく史果はなかなか即答が出来なかった。
「でもさ、ここで話してたら余計基希にバレるんじゃね?とりあえずこっち来い」
「へっ?!あっ、ちょっと」
腕を引かれた史果はビルの外へと連れ出され、彼が乗って来た高級車の助手席に放り込まれた。
「あ、歩生さんっ!何処連れてく気ですか?!こんなことしたらまた基希さんに・・・」
「気にしない、気にしない」
(・・・そういえば歩生さんも基希さんの親戚なんだよね・・・この強引な性格は遺伝なのかしら)
史果は半ば観念したように大きな溜息を吐き、静かに窓の外を眺めた。
「んっ、あァ♡ひゃんっ・・・や、んンッ」
基希の寝室に引きずり込まれた史果は、両手を後ろに縛られ目隠しをされていた。ベッドの上に転がした史果の隣に座った基樹は呆れ声で見据える。
「ったく、変な声出すなよ」
「だ、だって擽った・・・、ひぁっンッ!!はぎャ、いヒヒッ」
視覚を閉ざされた史果は基希が触れる指先が自分の身体の何処にあるのかわからず触れられる瞬間、神経が一気に集中し、より刺激が敏感に伝わってきた。
「お、お仕置って、コチョコチョすることだったんですか?!」
「お前、結構擽ったがりだろ?しかも目隠しされてたら余計敏感に反応するだろうからおもしれーだろうなって。ってか、もしかしていつものお仕置期待した?ご希望ならそっちに切り替えてもいいけどな♪」
表情は見えずとも基希の意地悪な嗤いは手に取るようにわかり、史果は痛いところをつかれた気分で恥ずかしさと悔しさが込み上げる。
「そっ、そんなこと思ってま、ひゅッ!」
基希の指先が史果の身体のラインに沿って滑らせてゆく。擽ったさとはまた違った感覚に襲われ出した史果は、慌ててこの状況から逃れようと言葉を模索する。
「ま、待って下さいっ!私も、ひッ・・・ん、聞きたいことあるんですっ!」
「なんだよ」
基希は一旦手を止め、史果の目隠しを外した。いつの間にかルームライトが付けられていたせいで、急に明るい光が飛び込み視界を歪ませた。
「ど、どうして、在籍している会社に戻らないんですか?事件も解決したみたしだしこの会社に留まる理由はないんですよね」
「それは・・・。なんだかんだ言ってもこの会社に情が湧いたっていうかー。本社での俺の仕事はどちらかと言うと事務的な業務が多かったんだ。でもこの仕事は、職種関係なしに出会える人が多かったり、リアルタイムな情報収集が出来て凄く楽しいし勉強になるんだ。それに・・・」
「それに?」
急に言葉を詰まらせた基希に、不思議そうに聞き返した史果は彼の気まずそうな表情をじっと見据えた。
「ほ、ほら!姉さんの仕事も手伝えて貸しも作れるし。まあ俺としては元々取締って言う様な器じゃねーしここでやる仕事の方があってんだよっ」
「ふぎゃッ」
何故か基希に鼻先を摘ままれた史果は、両手が塞がっているため顔を左右に横へ振り抵抗すると笑いながら放し、同時に史果の身体から離れた。
「手、外してやるから後ろ向け。兎に角だっ!今後俺に関して、歩生もしくは別の奴が接触してきたら隠さず俺に言え。変にややこしくなって拗れるのは面倒なんだよ」
基希は、不愛想な声色で後ろ手に縛られていた史果の拘束を解放した。
「あ、そうそう。“藤”性は元々母方の祖母の旧姓を使ってたんだ。本名だと色々詮索があると面倒だから。俺の本当の苗字は鹿島、鹿島基希。って言っても、会社では藤を使うし鹿島姓はあまり使う用途はないけどな」
基希の話を聞きながら暴れたせいで薄っすら赤くなった両手首を無意識に擦っていると、それに気づいた基希が史果の左手首を持ち、もう片方の手で赤くなった跡をそっと撫でた。
「悪かった。そんな強く縛ったつもりはなかったんだけど・・・ごめん」
気落ちする基希にどう声を掛けていいかわからず、咄嗟に史果は基希の頭をポンポンと軽く叩いた。
「な、何するんだよっ!ったく、ガキじゃねーんだよ」
「あ、す、すみません・・・イタっ!!」
乱暴な口調なのに基希の頬と耳は紅く染まりそれに気づいた史果は、彼にはバレないように笑みを溢していた。そんな史果に翻弄される自分が納得いかなかったのか鎖骨周辺の皮膚に鈍く熱い痛みを落とされた。
「やだ、こんなとこに!」
ふん、と意地悪な表情で見つめられるも史果の心内は騒めき、刻まれた刻印を指先で擦った。
――――――――――
今朝は、基希が直行で早朝に家を出て行ったため、史果は心にゆとりを持って企画書などに目を通し修正書類などを片付けていた。
ちょっかいを掛けられる相手もいないため仕事が捗り、気付けばお昼休憩の時間になっていた。
「んーー」
同じ姿勢でずっとパソコンのキーを打っていたため身体が固まりそれを解すように両腕と背筋を伸ばしていると同僚から内線で来客の知らせを聞き、史果は急いで一階のロビーまで下りた。
「おーい、こっち、こっち」
受付の方へと向かおうとした時、男性に声を掛けられ呼ぶ声に視線を動かすと、パリッとしたスーツ姿で手招きする歩生の姿が目に入った。
女性姿の時も周囲の視線を集めるほどの容姿だったが、男性の姿も姿で見惚れる女性たちの視線を釘付けにするほどだった。
「悪いな。今から休憩だろ?基希、今いないの知ってんだ。ちょっとだけ話せるか?」
史果の傍まで来た歩生は、昨日の女性の時とは違い無骨な口調で話しかけてきた。
「あー、んー・・・」
(勝手なことしてもし基希さんにバレたら擽りだけじゃ済まなさそうだしな・・・)
基希が不在中だが、今までを考えると彼を欺ける自信もなく史果はなかなか即答が出来なかった。
「でもさ、ここで話してたら余計基希にバレるんじゃね?とりあえずこっち来い」
「へっ?!あっ、ちょっと」
腕を引かれた史果はビルの外へと連れ出され、彼が乗って来た高級車の助手席に放り込まれた。
「あ、歩生さんっ!何処連れてく気ですか?!こんなことしたらまた基希さんに・・・」
「気にしない、気にしない」
(・・・そういえば歩生さんも基希さんの親戚なんだよね・・・この強引な性格は遺伝なのかしら)
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