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第二十八話 町の案内人
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キリナの町。
駆けだし冒険者から、上級冒険者までが多く滞在していて、
ギルドでは、依頼や情報などが盛んに集まっている。
町ゆく人は冒険者ばかりであるが、実のところ住民の多くは、貴族である。
ここは王都からそれほど遠くない町なので、
王様からの参集が命じられるまで、ここで暮らしているというわけだ。
偉そうに、人を連れて町を歩いたりなどすれば、
強面の冒険者たちから、無言のまま、怒気を放った視線が集まる。
目に見えない攻撃をされるため、散財すらできないほど、
貴族がかなり制限されているが、王都の次に、安全な町なのだ。
それも、冒険者たちのおかげである。
そんな町に、長く繋がった馬車が到着をする。
中から、さっそくと言ったように、少年が軽くジャンプをして降りた。
続いて、受け止めるようなポーズをした少年に、飛びつき、抱き着く少女。
少女の身長はそれほど高くなく、
胸を除けば少しやせ型であるため、軽そうではある。
少年の体格も、中々しっかりとしている。
案に相違して、勢いがあったため、少年の「ぐふっ」と言った声が聞こえた。
楽しそうに(?)、キリナの町に足を踏み入れた二人は、
もちろん、キルスとマリエルだ。
次に降りてきた男一人の乗客は、チラッと二人を見て、
そっと舌打ちをして去っていく。
「おい、俺らは旅行しに来たわけじゃないぞ」
キルスの服の袖を掴むマリの手を離して、キルスは「おい」と言った顔をする。
アハハ、と微笑むマリの顔は、
「旅行でもいいじゃないですかー」とでも言っているようだった。
二人は、早い所にギルドへ足を運んだ。
大きな荷物を背負ったままではあるが、キリナの町は広いため、
宿屋は、適切な場所にしなければならない。
もっとも、黒龍剣を持つ者が居なくなっていれば、話にもならないのだ。
ミコラの町とは違って、冒険者たちの意欲が高い事は、
受付に並んでいる列の量で、安易に感じ取れる。
二人も、その列に並んだ。
辺りを見渡すかぎり、剣士が三割といった具合である。
冒険者がこれほどの量、集まる場を見たことがなかった彼にとっては、
参考の資料となった。
「よぉ、どこから来たんだい?」
二人の次に、最後尾なった三十代くらいの気さくそうな男性。
キルスとマリは、ほぼ同時に振り返った。
「あぁ、ミコラの町から馬車で......」
何用かな、といったように、キルスは不審げに見ながら、
一応、正直に言葉を返す。
マリは、キルスの袖を片手でギュッと掴んだ。
男性は、「警戒されてるなー」と言ったように、微苦笑する。
「別に怪しい者じゃないよ。私は、ソーリン・ケップ・シュガー、と言って、
この町の案内人みたいなものだから」
二人の緊張を解こうと、男性は自分の素性を明かす。
身構えていたマリは、口を開いた。
「人探しって、できますか?」
三十二歳の男性ながら、愛くるしい十四歳の少女の上目遣いに少し恥じらった。
だが、少女の真剣な眼差しを見て、一笑する。
「ちょっと、あっちで話そっか」
サムズアップを横にして、親の先端を酒場へ向けた。
キルスがチラッと見たところ、酒を飲んでいる者は一切おらず、
冒険者たちの話し合いとしての利用されていた。
「それで、人探しって、言ってたよね?」
席に着くと、早速、シュガーは、話題に入った。
二人は、一度目を合わせて、キルスが頷く。
「これといった特徴は掴めていないんですけど、黒龍剣という剣を持っています」
それが、キルスの知っている唯一のヒント。
シュガーは、「黒龍剣......」と言って、眉をひそめて小首をかしげる。
「黒い剣を持った奴なら、暫定的に何人かは居るぞ。他に、情報はないか?」
二人は、前のめりに、なり始める。キルスは、自分の記憶を探った。
「うーん......。あぁ、剣の装飾にルビーみたいなものが、はめこまれてましたね」
シュガーは、「ほう......」と、納得の声を漏らす。心当たりがありそうな様子だ。
「一年前くらいに、引っ越してきた子が、そうかな」
肘をついて、得意げに、シュガーは話す。
一年前という時の言葉に、二人は、目を大きく開くという反応を示した。
「私も、名前までは知らないんだけど、たしか、キリナマイ森林に行ったはずだ。
受付に言ったら、地図をもらえると思うよ」
まだ、確実ではないにしろ、二人は、喜びの目を合わせあう。
シュガーは、薄笑いをして、席を立った。
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます......」
二人は、呼びとめるように、お礼を言った。
それに反応して、シュガーは、名前どおりの甘い顔で振り向き、横顔を見せる。
「まぁ、仕返しは、ほどほどにな」
そう言って、シュガーは、その場を離れる。
「私たち、復讐が目的だって言いましたっけ?」
一拍置いて、マリが「あれ?」と、怪訝な表情で呟く。
人違いという言葉を出した際のマリの目を見た時から、
シュガーは、すでに読心していたことを、二人は知る由もなかった。
駆けだし冒険者から、上級冒険者までが多く滞在していて、
ギルドでは、依頼や情報などが盛んに集まっている。
町ゆく人は冒険者ばかりであるが、実のところ住民の多くは、貴族である。
ここは王都からそれほど遠くない町なので、
王様からの参集が命じられるまで、ここで暮らしているというわけだ。
偉そうに、人を連れて町を歩いたりなどすれば、
強面の冒険者たちから、無言のまま、怒気を放った視線が集まる。
目に見えない攻撃をされるため、散財すらできないほど、
貴族がかなり制限されているが、王都の次に、安全な町なのだ。
それも、冒険者たちのおかげである。
そんな町に、長く繋がった馬車が到着をする。
中から、さっそくと言ったように、少年が軽くジャンプをして降りた。
続いて、受け止めるようなポーズをした少年に、飛びつき、抱き着く少女。
少女の身長はそれほど高くなく、
胸を除けば少しやせ型であるため、軽そうではある。
少年の体格も、中々しっかりとしている。
案に相違して、勢いがあったため、少年の「ぐふっ」と言った声が聞こえた。
楽しそうに(?)、キリナの町に足を踏み入れた二人は、
もちろん、キルスとマリエルだ。
次に降りてきた男一人の乗客は、チラッと二人を見て、
そっと舌打ちをして去っていく。
「おい、俺らは旅行しに来たわけじゃないぞ」
キルスの服の袖を掴むマリの手を離して、キルスは「おい」と言った顔をする。
アハハ、と微笑むマリの顔は、
「旅行でもいいじゃないですかー」とでも言っているようだった。
二人は、早い所にギルドへ足を運んだ。
大きな荷物を背負ったままではあるが、キリナの町は広いため、
宿屋は、適切な場所にしなければならない。
もっとも、黒龍剣を持つ者が居なくなっていれば、話にもならないのだ。
ミコラの町とは違って、冒険者たちの意欲が高い事は、
受付に並んでいる列の量で、安易に感じ取れる。
二人も、その列に並んだ。
辺りを見渡すかぎり、剣士が三割といった具合である。
冒険者がこれほどの量、集まる場を見たことがなかった彼にとっては、
参考の資料となった。
「よぉ、どこから来たんだい?」
二人の次に、最後尾なった三十代くらいの気さくそうな男性。
キルスとマリは、ほぼ同時に振り返った。
「あぁ、ミコラの町から馬車で......」
何用かな、といったように、キルスは不審げに見ながら、
一応、正直に言葉を返す。
マリは、キルスの袖を片手でギュッと掴んだ。
男性は、「警戒されてるなー」と言ったように、微苦笑する。
「別に怪しい者じゃないよ。私は、ソーリン・ケップ・シュガー、と言って、
この町の案内人みたいなものだから」
二人の緊張を解こうと、男性は自分の素性を明かす。
身構えていたマリは、口を開いた。
「人探しって、できますか?」
三十二歳の男性ながら、愛くるしい十四歳の少女の上目遣いに少し恥じらった。
だが、少女の真剣な眼差しを見て、一笑する。
「ちょっと、あっちで話そっか」
サムズアップを横にして、親の先端を酒場へ向けた。
キルスがチラッと見たところ、酒を飲んでいる者は一切おらず、
冒険者たちの話し合いとしての利用されていた。
「それで、人探しって、言ってたよね?」
席に着くと、早速、シュガーは、話題に入った。
二人は、一度目を合わせて、キルスが頷く。
「これといった特徴は掴めていないんですけど、黒龍剣という剣を持っています」
それが、キルスの知っている唯一のヒント。
シュガーは、「黒龍剣......」と言って、眉をひそめて小首をかしげる。
「黒い剣を持った奴なら、暫定的に何人かは居るぞ。他に、情報はないか?」
二人は、前のめりに、なり始める。キルスは、自分の記憶を探った。
「うーん......。あぁ、剣の装飾にルビーみたいなものが、はめこまれてましたね」
シュガーは、「ほう......」と、納得の声を漏らす。心当たりがありそうな様子だ。
「一年前くらいに、引っ越してきた子が、そうかな」
肘をついて、得意げに、シュガーは話す。
一年前という時の言葉に、二人は、目を大きく開くという反応を示した。
「私も、名前までは知らないんだけど、たしか、キリナマイ森林に行ったはずだ。
受付に言ったら、地図をもらえると思うよ」
まだ、確実ではないにしろ、二人は、喜びの目を合わせあう。
シュガーは、薄笑いをして、席を立った。
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます......」
二人は、呼びとめるように、お礼を言った。
それに反応して、シュガーは、名前どおりの甘い顔で振り向き、横顔を見せる。
「まぁ、仕返しは、ほどほどにな」
そう言って、シュガーは、その場を離れる。
「私たち、復讐が目的だって言いましたっけ?」
一拍置いて、マリが「あれ?」と、怪訝な表情で呟く。
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