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「人間じゃないよな、その名前……」
薄紫色の髪の青年 ——南波斗は眉を寄せて、ルメアに問いかけた。
「あぁ。人間じゃない」
——説明……めんどくさいな……
内心、深いため息を吐いて、ルメアは南波斗の目をしっかりと見据えた。
「俺は、魔族が一人、〈ドラゴン族〉の長、竜王だ」
「……っ、あの、伝説の竜王様だって?」
——地上では、俺たち竜王は『伝説』なのか
慕われ方が変わっていて、ルメアは、つい笑ってしまった。
「でも、なんでここに?」
ドラゴン族は、天空に住んでいる。
その事は、南波斗も理解しているようだった。
「女神に突き落とされたのだ。……全く意味が分からぬ」
ルメアはまた、ため息を零す。
「へ、へぇ…………」
南波斗の顔が少し引きつっている。
だがルメアは、話を続けた。
「そのまま天空から落下して、あの森に落ちたんだ」
簡単な説明だが、南波斗は何とか理解しているらしく、前のめりになって話を聞いていた。
「俺は地面に叩き付けられて、息ができなくなった」
「息が?」
「あぁ。だから気を失った。……情けない話だ」
こんな弱い姿は、『竜王』ではない。
何度だって言えることだ。
ルメアは言い聞かせるように、「弱い」「恥だ」と言い続けた。
「情けなくない。大丈夫、ルメアは強いから」
「なぜ言い切れる? 俺のことなど、大して知りもしないで……」
ルメアからすれば、出会って、顔を合わせて数分だ。
——なんなんだ、コイツ…………
南波斗と一緒にいると、調子が狂う。
何を考えているか、ルメアでさえ分からない。
「知ってるさ。断言できるぜ?」
——なぜだ……?
人間が分からない。
今まで関わってこなかったからだろうか。それがダメだったんだろうか。
もし、少しでも関わりを持っていたら、どうだっただろう。
四龍の中で、一人地上関係の仕事を担っていた奴がいた。
——そいつに聞けば良かったのか?
だがやはり。
「なぜ…………」
ポツリと呟いたルメアの声を聞き取ったのか、南波斗は自信満々に言い放つ。
「竜王様の事なら、何でも知ってるぜ?」
その言葉にルメアは目を見開く。
「……ふざけているのか…………」
絞り出した声は、少し震えていた。
——こんな奴に…………
「ふざけてねぇよ。俺は至って真面目だ」
ふんっ、と鼻で笑われる。
ルメアの額には、血管が浮き出てきていた。
「……………………だから……ッ」
ふるふると震え出すルメアに、南波斗は首を傾げる。
「どうした?」
「だか……ら………………ッ……!」
ルメアは拳を強く握りしめる。
ツーッ、と握った掌からは、赤い雫が流れてくる。
「おーい?」
——見くびられているのか、俺は……
あぁ……嫌だ…………。
人間は嫌だ。
話が通じない。
だから、だから……っ。
「人間は嫌いなんだよ……ッ!」
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
街で食料を買って、南波斗は急いで家に戻る。
もしかしたら、彼は目が覚めているかもしれない。
そう考えると、南波斗は心が弾んだ。
「どんな声なんだろう……」
出会った時は倒れていたし、彼が起きないまま、今……。
「……一週間は経った……かな」
一週間は南波斗のベッドで眠り続けている。このまま死んでしまうんじゃないか、毎日毎日考えてしまう。
「今日こそは、話してぇな……」
ちょうど、仕事もキリがついた所だ。
休暇と言っても過言ではないくらい、南波斗に仕事がこない。
——まぁいいけど……っ
グッと地面を踏み込んで、一気に距離を詰める。
二、三歩足を進めたら、あっという間に家に着いた。
「ただいまぁー…………?」
いつものようにこっそりドアを開けると、物音がして南波斗は黙り込む。
もしかして泥棒かも、と思ったが、どうやら違うようだった。
——お、起きたんだ!
先ほど予想した通り、彼は起きていた。
目が覚めたが、ここがどこなのかを詮索しているようだった。
その姿に、南波斗は声を抑えて笑う。
——かわいい…………っ!
「っ……あれ。目が覚めたんだ」
南波斗は、さり気なく彼に話しかける。
すると彼は、驚いたように南波斗を見つめて固まった。
いくら話しかけても、彼はすぐに答えてくれない。
「身体は平気か?」
「…………」
——だんまり、か……
だが、それでもいいと思っている南波斗もいる。
自分の手で彼を何かするのは、何だかゾクゾクする。
南波斗は手に持っていた食料を彼に渡す。
受け取ってくれないだろう、と思っていたが、予想とは大きく外れた。
「…………頂こう……」
——え、かわいいっ……!
初めて聞く彼の声に、南波斗の心臓は大きく飛び跳ねる。
彼の顔をじーっと見つめているが、南波斗の視線に気付いてるのか気付いてないのか——分からないが、コロコロ表情が変わって面白かった。
「美味いだろ?」
絶対に、不味いんだろうなぁ、と思っているのがすぐに分かる。
それでも南波斗は、そう彼に聞いた。
あぁ、かわいい……。
このまま、閉じ込めておきたい…………。
南波斗は一週間、溜まりに溜まった欲求を彼にぶつけたい。
そう頭の片隅で考えている。
——早く、早く……………………
あぁ、時間が止まればいいのに。
——早く、俺の物に……なればいい…………
薄紫色の髪の青年 ——南波斗は眉を寄せて、ルメアに問いかけた。
「あぁ。人間じゃない」
——説明……めんどくさいな……
内心、深いため息を吐いて、ルメアは南波斗の目をしっかりと見据えた。
「俺は、魔族が一人、〈ドラゴン族〉の長、竜王だ」
「……っ、あの、伝説の竜王様だって?」
——地上では、俺たち竜王は『伝説』なのか
慕われ方が変わっていて、ルメアは、つい笑ってしまった。
「でも、なんでここに?」
ドラゴン族は、天空に住んでいる。
その事は、南波斗も理解しているようだった。
「女神に突き落とされたのだ。……全く意味が分からぬ」
ルメアはまた、ため息を零す。
「へ、へぇ…………」
南波斗の顔が少し引きつっている。
だがルメアは、話を続けた。
「そのまま天空から落下して、あの森に落ちたんだ」
簡単な説明だが、南波斗は何とか理解しているらしく、前のめりになって話を聞いていた。
「俺は地面に叩き付けられて、息ができなくなった」
「息が?」
「あぁ。だから気を失った。……情けない話だ」
こんな弱い姿は、『竜王』ではない。
何度だって言えることだ。
ルメアは言い聞かせるように、「弱い」「恥だ」と言い続けた。
「情けなくない。大丈夫、ルメアは強いから」
「なぜ言い切れる? 俺のことなど、大して知りもしないで……」
ルメアからすれば、出会って、顔を合わせて数分だ。
——なんなんだ、コイツ…………
南波斗と一緒にいると、調子が狂う。
何を考えているか、ルメアでさえ分からない。
「知ってるさ。断言できるぜ?」
——なぜだ……?
人間が分からない。
今まで関わってこなかったからだろうか。それがダメだったんだろうか。
もし、少しでも関わりを持っていたら、どうだっただろう。
四龍の中で、一人地上関係の仕事を担っていた奴がいた。
——そいつに聞けば良かったのか?
だがやはり。
「なぜ…………」
ポツリと呟いたルメアの声を聞き取ったのか、南波斗は自信満々に言い放つ。
「竜王様の事なら、何でも知ってるぜ?」
その言葉にルメアは目を見開く。
「……ふざけているのか…………」
絞り出した声は、少し震えていた。
——こんな奴に…………
「ふざけてねぇよ。俺は至って真面目だ」
ふんっ、と鼻で笑われる。
ルメアの額には、血管が浮き出てきていた。
「……………………だから……ッ」
ふるふると震え出すルメアに、南波斗は首を傾げる。
「どうした?」
「だか……ら………………ッ……!」
ルメアは拳を強く握りしめる。
ツーッ、と握った掌からは、赤い雫が流れてくる。
「おーい?」
——見くびられているのか、俺は……
あぁ……嫌だ…………。
人間は嫌だ。
話が通じない。
だから、だから……っ。
「人間は嫌いなんだよ……ッ!」
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
街で食料を買って、南波斗は急いで家に戻る。
もしかしたら、彼は目が覚めているかもしれない。
そう考えると、南波斗は心が弾んだ。
「どんな声なんだろう……」
出会った時は倒れていたし、彼が起きないまま、今……。
「……一週間は経った……かな」
一週間は南波斗のベッドで眠り続けている。このまま死んでしまうんじゃないか、毎日毎日考えてしまう。
「今日こそは、話してぇな……」
ちょうど、仕事もキリがついた所だ。
休暇と言っても過言ではないくらい、南波斗に仕事がこない。
——まぁいいけど……っ
グッと地面を踏み込んで、一気に距離を詰める。
二、三歩足を進めたら、あっという間に家に着いた。
「ただいまぁー…………?」
いつものようにこっそりドアを開けると、物音がして南波斗は黙り込む。
もしかして泥棒かも、と思ったが、どうやら違うようだった。
——お、起きたんだ!
先ほど予想した通り、彼は起きていた。
目が覚めたが、ここがどこなのかを詮索しているようだった。
その姿に、南波斗は声を抑えて笑う。
——かわいい…………っ!
「っ……あれ。目が覚めたんだ」
南波斗は、さり気なく彼に話しかける。
すると彼は、驚いたように南波斗を見つめて固まった。
いくら話しかけても、彼はすぐに答えてくれない。
「身体は平気か?」
「…………」
——だんまり、か……
だが、それでもいいと思っている南波斗もいる。
自分の手で彼を何かするのは、何だかゾクゾクする。
南波斗は手に持っていた食料を彼に渡す。
受け取ってくれないだろう、と思っていたが、予想とは大きく外れた。
「…………頂こう……」
——え、かわいいっ……!
初めて聞く彼の声に、南波斗の心臓は大きく飛び跳ねる。
彼の顔をじーっと見つめているが、南波斗の視線に気付いてるのか気付いてないのか——分からないが、コロコロ表情が変わって面白かった。
「美味いだろ?」
絶対に、不味いんだろうなぁ、と思っているのがすぐに分かる。
それでも南波斗は、そう彼に聞いた。
あぁ、かわいい……。
このまま、閉じ込めておきたい…………。
南波斗は一週間、溜まりに溜まった欲求を彼にぶつけたい。
そう頭の片隅で考えている。
——早く、早く……………………
あぁ、時間が止まればいいのに。
——早く、俺の物に……なればいい…………
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