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しおりを挟む南波斗とルメアが家に戻ったら、いつの間にか日が落ちていた。
「……なんか、疲れた……」
ドサッとベッドに倒れ込んだルメアは、枕をぎゅうっと抱き締める。
「ごめんな、振り回したね」
申し訳なさそうに、南波斗が眉を下ろす。
それを見て、ルメアは首を横に振った。
「……まぁ、南波斗と出かけられて俺は嬉しかったけどね」
ボソッと呟くと、南波斗が「嬉しい」と言った。
ビックリして、ルメアは上半身だけを持ち上げ、南波斗を凝視した。
「……ん? なに?」
クスッと笑いながら、南波斗はルメアに熱い視線を送り続ける。
「……お前の聴覚は、どうなってるんだ……」
どうしてルメアの声を聞き逃すことがないのか。
ただ耳がいい、だけじゃない気がルメアにはしている。
「……………………秘密」
「お前! 今の、間、はなんだ!! ズバッと言えよ!」
キーッと、警戒心むき出しの犬がご主人様に牙を向けるような姿だった。
南波斗は両手を上げて「ごめんね」とわざとらしく言う。
その影響で、ルメアの心にまた火が付いた。
「竜王の俺に、隠し事は無用! ——俺は、お前の、こぃ……………………」
と、そこまで口に出して、ハッとルメアは息を飲む。
——……待て、待て待て!!??
急に口を噤んだルメアに違和感を感じた南波斗は、彼に近付く。
その間ルメアは、口元を掌で抑えて、自分が何を言おうとしたのかを考えていた。
意識せずに、サラッと口から出かかった言葉。
——……『恋人』……?
肝心の南波斗本人は、ルメアの言いかかった事を理解していないみたいだった。
「……っ?」
ルメア自身も、どうして迷いもなく口に出すことが出来たのか、分かっていない。
けれど、例え、言ったとして南波斗は嫌がらないだろう。
むしろ喜んで、ルメアを抱きしめるはずだ。
「ルメア? ねぇ、続きは?」
と、今まで南波斗の存在を、半ば忘れかけていたルメアは、名前を呼ばれて頭を上げた。
「へ?」
そして南波斗の台詞を頭の中で再生する。
——「ねぇ、続きは?」……??
ん? と思いルメアは首を捻る。
「こい、の続きは?」
ぐはっ、とルメアはいきなり吐血——しそうになる。
——バレて……ッ!?
南波斗の表情は、終始にこやかだ。
きっとルメアが言いかけた事も、分かっているのだろう。
ぐぅ、とルメアが唸ると、南波斗は楽しそうに笑った。
「聞きたいな、ルメアの口から」
ルメアに寄せる期待度が、百パーセントなのは誰が見ても分かる。
ああ、言いたくない。
恥ずかしい。
胸の中で、ルメアの葛藤が行われている。
——言いたい……けど、死ぬほど恥ずかしい……
南波斗の反応が気になる。
——万が一、嫌がったら、どうしよう……
そうだ。
そうなったら、俺はきっと……。
どうしても暗い方向に思考が傾いてしまうから、考えるのは、もう止めた。
意を決して、再度ルメアは告げる。
「…………お、俺は、お前……の、こ、恋人……だか……ら……」
南波斗の目を見ることが出来ない。
恥ずかしくて、死にそうだ。
最後まで言うと、南波斗は、ルメアを抱きしめた。
「すっげぇ嬉しい……っ! ありがと、ルメア!」
ぎゅーっ、と強く抱き締められ、ルメアはポカンとする。
「よしっ! もう耐えられない!」
——うん。何が、「よしっ!」なんだ?
何となく、嫌な予感がする。
「抱きたい! ってか、抱くっ!!」
「やっぱりそうかよ、発情期かよッ!!!」
予想は的中。
俺はこの後、めちゃくちゃに抱かれた。
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