はあっ? いちいち僕を巻き込むんじゃねぇっ!

栞遠

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かわいいなぁ、本当に(永良目線)

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 文化祭なんて、面倒で仕方がなかった。オレがたまたまサボった時に、係が決められていたらしい。

 本当、ふざけないでほしいな。

 同じクラスの胤森たねもりが、親切に教えてくれた。
 「は? 文化祭実行委員!?」
 「おう。頑張れよ、宏輝こうき

 名乗り遅れたな。


 オレのフルネームは、永良ながら宏輝こうき

 んで、オレの側にいる赤い髪の男は、胤森たねもり八雲やくも

 中学の頃からの友人だ。


 「いつから、準備始まるんだ?」
 「今日の放課後からだよ。実行委員たちは」
 「今日……だと…………っ!?」
 大袈裟おおげさにリアクションを取ると、胤森に頭を叩かれた。
 「いってぇなっ!!」
 「うるさいぞ、宏輝……」
 よくよく考えれば、今の時間はホームルームの開始時間前だ。
 ほとんどのクラスメイトは、席に着いている。
 「ほら、座れ。宏輝」
 「押すな、押すなって……!」
 胤森とは席が前後だ。だから、直前まで背中をぐいぐい押された。

 席に着いたのと同時に、担任が教室に入ってくる。
 コイツの話長いから嫌いなんだよ。

 話を聞く気がないオレは、頬杖をついて目を閉じた。


 「……き。宏輝!」
 「んぁ……?」
 ガタガタッ、と机が悲鳴を上げる。うっすらと目を開けたら、視界には胤森の顔がドアップで映し出されていた。
 「な、んだよ」
 「ホームルーム終わった」
 時計を見ると、確かにその時間は過ぎていて、もう放課後だった。
 「そして、呼んでる」
 「は? 誰が?」
 胤森がドアを指差す。オレは仕方なく指を指している場所に、視線を移した。


 「っ!?」


 「お前がずっと狙ってる子」

 こそっと胤森が、オレに耳打ちしてくる。
 「うるせぇっ……!」
 「嬉しいくせに」
 「黙ってろ!」
 なんだあれ。
 オレなんか待ってるのか?

 どうして? オレとは関わりないはずなのに。
 でも、待ってるあの子……かわいいんだけど。

 「なんか、文化祭実行委員が一緒なんだって」

 「お前、先にそれ言えよ!!」

 マジ……で?
 同じとか。

 うおお……っ、文化祭実行委員、ヤル気出てきたんだけど。
 あの子と一緒……。


 ——ヤベぇ、ニヤける。


 「早く行ってやれよ、宏輝」
 「うるせぇな……」
 バシッと背中を叩かれ、オレは前によろめく。
 そのままの足取りで、オレはドアの横で待っているあの子の側に向かう。

 「…………お待たせ」

 「……………………待ってないから」

 ん? なに、オレ嫌われてる?
 あからさまにオレの目、見てないし……。

 「何、してんの?」

 自然と足が止まっていたオレの手を引っ張る彼。
 「早くしてよ。時間なくなるだろ?」
 「あ、ごめんねー……」
 「考え事? 珍しいね」
 「失礼な。オレはいつも何かと考えてるよ」
 そう。
 今この瞬間も、考えてる。
 「そうは見えないけどね」
 クツクツと喉を鳴らして笑う姿に、オレの心臓はドクンっと跳ねた。


 ——欲しい…………。


 心の底から、この欲望が湧き出てくる。

 「——紅柳って言うんだ。よろしく」

 突然話しかけられて、オレは肩を揺らす。
 じ、自己紹介……か?

 「あ、あぁ。よろしく……」
 えっと。

 紅柳……だな。
 絶対忘れねぇ。何があっても覚えておこう。
 「オレは、永良宏輝って言うんだ。よろしくねー、紅柳くん」
 「よろしく」


 短い会話だったけど、オレにとってはとても貴重な会話だった。
 ボイスレコーダーに残して置きたかった。

 噂だけど、紅柳くんは誰とも付き合ったことがないと聞いた。
 ……紅柳くんの『初めて』は、オレが貰いたい。

 ——全部。


 💫💫💫


 「ねぇ、紅柳くん」
 「…………っ、なに?」
 「彼女いる?」

 昼休みに旧校舎を歩いていると、偶然紅柳くんを見つけた。
 よく見ると、携帯の画面をじぃーっと見つめている。
 オレは我慢出来ずに、紅柳くんに話しかけた。

 すると、だ。

 あからさまに警戒されて、距離を取られた。
 表情が笑顔のまま固まってしまった。

 「いないっ!!」

 彼女、という単語が出ると、激しくその言葉を否定する紅柳くん。
 「本当に?」
 「いるわけないだろ!?」
 あー……。

 怒ってる姿も、かわいいなぁ。
 「そっかー。またね」

 「は!?」

 いやぁ。

 彼女がいても、どのみちその子潰すし。
 オレの邪魔をする奴は、許さない。


 せっかく紅柳くんと話せたんだ。

 このチャンスを、無駄にはしたくない。


 「待ってて、紅柳くん……」


 ——オレが迎えに行くから……
 







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