はあっ? いちいち僕を巻き込むんじゃねぇっ!

栞遠

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かわいい……っ(ルイ目線)

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  暁人の学校は、明日文化祭が行われる。  
  俺はもちろんその文化祭に参加するつもりだ。
  暁人の姿が見れる。こんなに嬉しいことは、人生でそうそうないね。

  日曜日になったから、俺は暁人にメッセージを送って、遊ぶことにした。
  その返事はすぐに返ってきて「いいよ」とのことだった。
  ——遊んでくれるんだ……っ!

  永良、とかいう男に暁人が触られた日からまたしばらく会っていない。
  今日遊べることが、これ以上ないくらい嬉しい。

  急いで支度をして、家を出る。

  いつも上着を着て外へ出るのだが、今日に限っては忘れてしまった。


  ——これが、運の尽きだった。



  待ち合わせ場所に設定した公園に向かうと、すでに暁人はいた。
  驚いた。時間より何分も早いのに。
  「お待たせ、暁人」
  「あ、おはようルイ。待ってないよー」
  いつ見てもかわいいなぁ、本当。
  今すぐ抱きしめて、めちゃくちゃに犯したい気持ちになるが、それを何とか封印する。
  一度深呼吸をして、暁人を見つめる。
  「な、なに?」
  不思議そうに俺を見つめ返してくる暁人。
  かわい過ぎて、俺がおかしくなりそうだ…………。
  「なんでもない。どこ行く?」
  切り替えよう。よし、俺なら出来る。
  「どこでもいいよ。ルイの行きたい所でいいよ」
  「俺も行きたい場所はないからなぁ……」
  ただ暁人に会いたかった。
  それだけなのだ。
  「じゃあ、それ見せて」
  「どれ?」
  暁人が思いついたように、俺を指さして見せて、と言う。
  「ほら、いつも持ってるやつ」
  「…………あ、これか?」
  ようやく暁人が言っている物が分かった。俺がいつも腰に付けている『銃』のことだ。
  「重いぞ?」
  「大丈夫。案外、僕、腕力と握力あるから」
  腕力と握力はあまり関係ないんだけどね……。

  でもそんなこと言うと、きっと暁人は落ち込んじゃうから絶対言わない。
  嫌われたくないしね。
  腰の銃専用のポーチから本体を取り出して、銃口を暁人に向けないように手渡す。
  俺からすれば、この銃は軽い方だと思うなぁ。
  「!?」
  あ、見てわかるわ……。
  きっと「重い……っ、重すぎる……っ!」とか思っているんだろうな。
  顔に出てるから、思わず俺は笑ってしまった。
  「なに、笑ってんだよ……っ!」
  「ご、ごめん……っ!    重いんだろ、ほら」
  本当に重そうだ。
  そう思って俺は、暁人に銃を返すように手を出す。

  でもその手を、暁人は拒否した。


  「ルイは、これで……僕を守ってね」


  不意打ちで来た、暁人の言葉。

  『守ってね?』
  守るに決まってるじゃん、そんなの。
  ……そうだ、暁人は武器を持っていないんだった。

  じゃあ、せめて。

  俺と一緒にいる時は、俺が命をかけて守って見せよう。
  「もちろん、守るよ。暁人のためだったら、何だってするぜ」
  「あ、ありがとう。じゃあ僕も、ルイを守るからね!」
  「ありがとう、暁人」
  暁人は照れたように笑って見せて、銃を俺に返した。
  「……にしても、重たいね。銃って」
  「もっと軽いと思ってた?」
  「うん」
  はぁ、とため息をついた暁人の頭を撫でてみると、彼は勢いよく頭を上げて俺を見た。
  嫌がって俺の手を払い除けるかと思った。

  「……っ!!?」

  暁人はそのまま、俺に頭を撫でられ続けていた。
  かわいい。

  いつにも増して、かわいい……っ!!

  マジでここで抱きたい。

  ——抱き潰したい。



  「ルイ、あのね……?」

  そんな、やましいことを考えていると、暁人がポツリと俺の名前を呼んだ。
  「ん?」
  「僕ね、あのね…………」
  恥ずかしいことでもあるんだろうか。


  もしかして、もう会いたくない、とか……?


  「僕……僕……………………っ」
  とても言いづらいのか、自分の服をぎゅっと掴んでいる。
  服がシワになってしまうことも、彼は気にしていない。
  「明日……ルイ、来てくれるじゃん、か」
  「そうだね」
  ……よかった。俺の想像した話の展開にならなくて、安心した。
  「あんまり…………えと、その…………」
  「なに?    言ってごらん」
  一向に話の内容が理解出来ない。
  暁人はどうしたいんだろう。
  「暁人?」
  「っ!」
  暁人は俺の胸ぐらを掴んで、グイっと引き寄せた。
  突然のことに、俺の頭はついて行けてない。

  そして、強烈な一撃が放たれる。


  「——っ!?」


  ——俺の唇に、ふにっ、と柔らかい何かが当たった。

  それが暁人の唇だと気付くのに、約一秒。

  いつもは俺がして、暁人が応えてくれる。
  「え……………………?」
  やっと声が出たと思ったら、一文字しか出てこなかった。

  「ルイ……は、かっこいい……から、きっと学校でも、モテる……」

  やっと本題に入ったと思ったら、暁人はよく分からないことを言い出した。

  そしてまた混乱する俺の頭。

  「だからね、だから……」

  一呼吸した暁人が、俺の胸ぐらを離して今度は俺の目を見つめた。
  バチッと視線が絡まりあって、目が離れない。


  「僕以外、あんまり……見ないで……ね」



  ——は?
  どうしてこう、かわいいことを言うんだろう。


   ——俺には、暁人しか目に入ってないのに。


  「見るわけないだろ?    暁人だけだよ」
  「ほんと?」

  「約束する。ほんとだよ」

  遊ばずに、このまま俺の家に連れ帰って、ベッドでイチャイチャしたい。

  マジで明日、腰が立たなくなるまで抱きたい。

  でもそんなことしたら、暁人は怒るだろう。
  「……僕、ルイのために頑張るから」
  「…………楽しみにしてるよ」
  あぁ。早く明日になってくれないかな。
  これほど我慢したのは、久しぶりだった。

  「ねぇ……暁人…………」
  「んっ……?    なに?」
  暁人の左耳で、低音で話すとビクッと震えた。
  かわいい……。
  こうやって反応してくれると、もっと感じて欲しいと思って、意地悪してしまう。
  「今から、俺ん家来ない?」

  その言葉の意味を悟ったのか、暁人の顔は一気に赤みを帯びていく。
  「で、も……明日、文化祭…………」
  「無理はさせないよ。ね?    お願い……」
  ちゅっ、と暁人の耳にキスをする。
  「ゃ……ぁ…………」
  ピクリ、と反応する暁人を抱きしめる。
  ——暁人って、耳、弱いんだよなぁ。
  今までも、何度も耳を弄ってきた。その度に、この子は過敏な反応を見せる。
  すぐに分かったよ。

  ——弱点は、左の耳だって。

  暁人がかわいくて、いつか俺が壊れるかもな。
  とても幸せな時間を過ごしていた。
  周りの目なんか気にしない。
  暁人と一緒にいられることが、嬉しいのに。
  



  ——それなのに…………。











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