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昔話
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俺が十歳の頃、初めて家出をした時、数人の男たちに連れ去られた。
その後、気が付いたらよく分からない場所にいて、怖かったのを覚えている。
薄暗い照明で、余計怖かった。
声を出したら、誰か助けてくれるかも知れない、と思った瞬間、パッと照明が強くなった。
俺がいる場所だけの照明が強く光った。
よく分かっていない状態で、俺は変な男に十一億で購入された。
「は、離して…………っ!」
別の部屋に移動して、俺は今着ていた服とは違う服を着せられた。
首には、チョーカーらしき物を付けられ、手首には鎖が付けられた。
「なに、なんだよ!!?」
子供ながらに抵抗してみせた。
でも意味がなかった。
大の大人に、勝てるわけがなかった。
そして、つい先ほど俺を購入した男が入ってきて、俺の小さい身体を視線で舐めまわした。
「上物だ……よくやったな」
男は近くにいた男を褒める。すると、褒められた奴は嬉しそうに、一礼して部屋を出ていった。
「……さて。名前は……ルイ、か」
男は俺に名刺を渡してきた。
「……っ、は?」
俺はまだ子供だけど、この言葉くらいは、分かっているつもりだ。
男の名刺の端っこに書かれていた言葉。
『男にしか欲情しない』
なんだこれ。
頭、湧いてんのか?
クソだな。名刺にまで書くことじゃねぇだろ。
「さぁ。私の家に行こうではないか」
「は、離せっ!! 家に、帰るっ!!」
抵抗しても、意味ないことは分かっているのに。
💫💫💫
男の家に連れていかれた後は、この前話した通りだ。
説明する必要はないね。
「暁人? 大丈夫?」
「え、あ……うん。大丈夫……」
「……無理するなよ」
「無理してないし?!」
隣で、思い詰めた表情で俺の話を聞く暁人に声をかけると、彼は取り繕うように俺に笑いかけた。
絶対無理してるくせに。
声、裏返っていたし…………。
「…………その、男の名前……って?」
それだけを、どうしても聞きたいのか、暁人は俺の目をじっと見てくる。
暁人に見つめられると、俺、弱くなるからやめて欲しい……。
でも、かわいいんだよなあ……。
「……鈴原甚九郎」
💫💫💫
——ルイの昔話は、あの時も聞いたことがあった。
でも、あの時も、男の名前は、聞かなかった気がする。
知れて良かった、って気持ちと、申し訳ないって気持ちが暁人の中で混ざり合う。
「……この話は終わりにしようか」
暁人が思い詰めた顔をしていたのがバレたのか、ルイが手を叩いた。
「っ……僕が…………」
自分に出来ることはないだろうか。
そう考えると、本当に弱い暁人には何も出来ないかもしれない。
でもそんな暁人にだけ出来ることがある可能性だってある。
「ん?」
ルイが優しく暁人に問いかける。
その目つきは、とても優しいものだった。
「僕が、ルイの傍にいるから!」
思いつきだったかも知れない。
「…………?」
ルイは、よく分かっていないらしく、キョトンとしていた。
それでも暁人は、ルイの掌を強く握って話し続ける。
「ずっと、ルイの傍にいるよ!」
だんだん暁人の言いたいことが分かってきたのか、ルイの顔が赤くなっていく。
「何にも出来ないけど……ルイの傍にいることは出来るから……っ」
「そ、そ…………れは……」
「過去は忘れて、僕と一緒に思い出を作っていこうよ……っ。ね?」
暁人が言い終わると同時に、ルイの顔は真っ赤に染まっていた。
「ルイ…………?」
「っ…………ありがとう、暁人……っ!」
今更だが、自分の言ったことが恥ずかしくなってきて、暁人も顔が赤くなる。
手で顔を隠そうと動いたら、ルイが暁人を強く抱きしめた。
「暁人を好きになって、よかった……」
さらっと照れることを言われて、暁人はまた赤くなる。
ルイと出会ってから、顔が赤くなるスピードが早くなっていく気がする。
「大好き……ありがとう」
「……僕、も…………好き、だよ……」
暁人もルイの背中に腕を回して、ぎゅうっ、と抱きしめる。
今日はいろいろあったけど、こうやって、ルイのことを知れて良かったと思っている自分がいる。
——暁人は目を閉じて、ルイに身体を預けた。
その後、気が付いたらよく分からない場所にいて、怖かったのを覚えている。
薄暗い照明で、余計怖かった。
声を出したら、誰か助けてくれるかも知れない、と思った瞬間、パッと照明が強くなった。
俺がいる場所だけの照明が強く光った。
よく分かっていない状態で、俺は変な男に十一億で購入された。
「は、離して…………っ!」
別の部屋に移動して、俺は今着ていた服とは違う服を着せられた。
首には、チョーカーらしき物を付けられ、手首には鎖が付けられた。
「なに、なんだよ!!?」
子供ながらに抵抗してみせた。
でも意味がなかった。
大の大人に、勝てるわけがなかった。
そして、つい先ほど俺を購入した男が入ってきて、俺の小さい身体を視線で舐めまわした。
「上物だ……よくやったな」
男は近くにいた男を褒める。すると、褒められた奴は嬉しそうに、一礼して部屋を出ていった。
「……さて。名前は……ルイ、か」
男は俺に名刺を渡してきた。
「……っ、は?」
俺はまだ子供だけど、この言葉くらいは、分かっているつもりだ。
男の名刺の端っこに書かれていた言葉。
『男にしか欲情しない』
なんだこれ。
頭、湧いてんのか?
クソだな。名刺にまで書くことじゃねぇだろ。
「さぁ。私の家に行こうではないか」
「は、離せっ!! 家に、帰るっ!!」
抵抗しても、意味ないことは分かっているのに。
💫💫💫
男の家に連れていかれた後は、この前話した通りだ。
説明する必要はないね。
「暁人? 大丈夫?」
「え、あ……うん。大丈夫……」
「……無理するなよ」
「無理してないし?!」
隣で、思い詰めた表情で俺の話を聞く暁人に声をかけると、彼は取り繕うように俺に笑いかけた。
絶対無理してるくせに。
声、裏返っていたし…………。
「…………その、男の名前……って?」
それだけを、どうしても聞きたいのか、暁人は俺の目をじっと見てくる。
暁人に見つめられると、俺、弱くなるからやめて欲しい……。
でも、かわいいんだよなあ……。
「……鈴原甚九郎」
💫💫💫
——ルイの昔話は、あの時も聞いたことがあった。
でも、あの時も、男の名前は、聞かなかった気がする。
知れて良かった、って気持ちと、申し訳ないって気持ちが暁人の中で混ざり合う。
「……この話は終わりにしようか」
暁人が思い詰めた顔をしていたのがバレたのか、ルイが手を叩いた。
「っ……僕が…………」
自分に出来ることはないだろうか。
そう考えると、本当に弱い暁人には何も出来ないかもしれない。
でもそんな暁人にだけ出来ることがある可能性だってある。
「ん?」
ルイが優しく暁人に問いかける。
その目つきは、とても優しいものだった。
「僕が、ルイの傍にいるから!」
思いつきだったかも知れない。
「…………?」
ルイは、よく分かっていないらしく、キョトンとしていた。
それでも暁人は、ルイの掌を強く握って話し続ける。
「ずっと、ルイの傍にいるよ!」
だんだん暁人の言いたいことが分かってきたのか、ルイの顔が赤くなっていく。
「何にも出来ないけど……ルイの傍にいることは出来るから……っ」
「そ、そ…………れは……」
「過去は忘れて、僕と一緒に思い出を作っていこうよ……っ。ね?」
暁人が言い終わると同時に、ルイの顔は真っ赤に染まっていた。
「ルイ…………?」
「っ…………ありがとう、暁人……っ!」
今更だが、自分の言ったことが恥ずかしくなってきて、暁人も顔が赤くなる。
手で顔を隠そうと動いたら、ルイが暁人を強く抱きしめた。
「暁人を好きになって、よかった……」
さらっと照れることを言われて、暁人はまた赤くなる。
ルイと出会ってから、顔が赤くなるスピードが早くなっていく気がする。
「大好き……ありがとう」
「……僕、も…………好き、だよ……」
暁人もルイの背中に腕を回して、ぎゅうっ、と抱きしめる。
今日はいろいろあったけど、こうやって、ルイのことを知れて良かったと思っている自分がいる。
——暁人は目を閉じて、ルイに身体を預けた。
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