はあっ? いちいち僕を巻き込むんじゃねぇっ!

栞遠

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文化祭

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今日は文化祭当日で、暁人は学校に来てから慌ただしく動いていた。
暁人本人、文化祭実行委員だからクラス全員に頼られる。

頼られることは別に、苦、ではないから暁人は平気。

でも。

「ちょっ、紅柳くん……、パワフルすぎない?」

隣のクラスで、暁人を無理やり襲った永良がちょっかいを出す。
でもそんなことに構っているひまは、暁人たちにはない。

もうすぐで、保護者や他校の生徒が流れ込んでくる。

お客を迎える準備で、文化祭実行委員は全員駆り出されていた。

「文句言わないっ! ほら、動いて!」

永良を見ずに、暁人は彼を叱りつける。
すると、ブツブツ言いながらも荷物を運んでくれた。


『まもなく、文化祭が始まります。生徒の皆さんは、移動してください』


校内アナウンスが流れて、暁人は顔を上げる。
——ホントに、来てくれるのかな……?

ルイが来てくれることは、嬉しい。
でも、逆に他の生徒に言い寄られていたら……と考えると、怖くて仕方なくなってくる。
「もうお別れかなぁ?」
「……当たり前だろ…………」
ずっと隣にいる永良を、暁人は横目で睨みつける。

「じゃあなっ」

クルッと暁人は身体を反転させて、永良と別れる。
「後でねー」

背後から永良が暁人に言葉をかける。

その言葉に、ふと違和感を感じたが暁人は無視して歩くスピードを早めた。



自分の教室に戻ると、もうすでにホスト感丸出しの店になっていた。
「おかえり、暁人くん!」
パタパタと暁人に駆け寄ったのは、一ノ瀬たった。
手には、多分、暁人のホスト服。
「さ。着替えるよ」
「え、早くない?」
「だって、もう始まっちゃうよ?」
一ノ瀬と話しながら、暁人は奥の休憩室に連れていかれる。

パパッと服を着せられて、暁人は一瞬でホストに変わる。
一ノ瀬と共に戻ると、女子たちに「キャー」と言われた。
「みんな?」
「ちょっ、シャッターチャンス!!」
「は?」
とある女子が言った言葉に、暁人が大きく反応する。

「撮らないで、お願いだから!!」

暁人は一ノ瀬の背中に隠れて、女子たちのカメラから逃げようとする。
「コラコラ、ダメだろ?」
一ノ瀬が暁人の様子に気付いて、興奮している女子を止めに入る。
「えー?」

「暁人くんは、写真苦手だからさ……。お願い、な?」

一ノ瀬は眉を下げてお願いをする。
すると、一ノ瀬のおかげで女子たちはカメラを仕舞って、退散していった。

「大丈夫だよ、暁人くん」
「ほ、本当だろうな?」
「嘘つかないって」

暁人は恐る恐る一ノ瀬の背中から出てくる。
「さぁ。頑張ろうね、みんな」

一ノ瀬の呼び掛けに、クラス全員が反応して、「おーーっ!」と言った。


💫💫💫


文化祭が始まって約二時間ほどが経過した。
未だに、ルイは来てくれない。

今暁人は、休憩に入っているから、ルイにメッセージを送る。
既読は着くけど、返事が返ってこない。

それが、怖く感じた。

ルイに何か起こっているんじゃないかって考えてしまう。

——ルイ……っ!

暁人は携帯を強く握りしめて、目を閉じる。

その時。


「暁人ー。永良って奴が呼んでる」

シャーッと、カーテンを開けて暁人を呼んだのは、同じクラスの奴だった。
「えっ!? あ、う、うん!」

携帯をポケットに入れて、暁人は教室を出ていった。


外で待っていたのは、やはり永良だった。
——なんの、用なんだ?

特に約束もしていない。
というか、コイツと約束なんて絶対にしたくない。
「ねぇねぇ。ちょっとオレに付き合ってよ」

「嫌なんだけど……」
素直な気持ちを伝えるが、永良は聞いていないのか暁人の腕を掴んで引っ張った。
「ちょっと!!」
「いいから、いいから」
どこに行くのだろうか。

行き先が分からないが、早く逃げた方がいいのかもしれない。

——いやだ……嫌だ…………っ

耳を舐められた時のことを思い出す。
ゾワァアっ、とした悪寒が暁人の背筋に走る。

「っ…………離して!」

「ごめん、ちょっと無理かな?」


「いやもう、マジで死ねよ! お前!!」


永良はどんどん人がいない場所に暁人を連れていく。

この場所は、もう使われていない空き教室が多くある場所だ。
「ここにきて、何するんだよ!」



「イイコト?」



永良は、意味深げに笑いを浮かべる。

「イイコトって……!?」

状況がわかっていない暁人は、キョロキョロしながら足を進める。

「よいしょ……っと」

その間、永良は閉まっているはずの教室を楽々と開けて、中に暁人を押し込んだ。

「……え?」


カチャン、と内側から鍵を閉められて、もう外には出られなくなる。
「なに、してんだよ……っ、永良」


「だから、イイコトしよ」


永良の笑みに、暁人は怖さを覚えた。

——助けて……っ、ルイ…………っ!





どんなに願っても、暁人への返信は返ったこない。




「一緒に、気持ちよくなろうね…………?」




その言葉に何をされるのか分かった暁人は、真っ青になった。


——たす、けて…………っ









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