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3 懇親会
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クレイトス元帥の補佐官になってから、アレクセイの生活はガラリと変わってしまった。
元帥のスケジュールを管理して、誰と面談するか、どの会議に出席するか。すべてアレクセイが判断することになった。もちろん、元帥でなければ決済できない事柄も数知れずある。書類をより分けて、自分ができるものは判断を下し、指示が必要なものだけをクレイトス元帥にまわす。
さらに。
クレイトス元帥から下される指示を、各部署に伝えるのもアレクセイの仕事なら、各部署からまわってきた報告をチェックし、重要事項を元帥に知らせるのもアレクセイの仕事であった。
目が回るほど、忙しい。
組織のトップに立つ人間とは、これほど忙しいものなのかと改めて思うほど、仕事は山積みである。
その上。忙しい合間を縫って、クレイトス元帥は精力的にパーティに出席した。
軍関係のパーティ、政府高官の集まるパーティ、企業財界人の催すパーティ。すべて、アレクセイを権力者たちに紹介し、印象づけるためである。
クレイトス元帥は、着々とアレクセイを後継者に押すための地固めを始めたのだ。
アレクセイはそのほとんどに補佐官として付き合わされ、どのパーティでも注目を集めたのである。
スラリとした美しい姿態。貴族的な顔立ち。立っているだけで絵になる男である。
押しつけがましさはなく、人の心をとらえる軽妙な会話。さらに、宇宙軍の最高位であるクレイトス元帥のお墨付きとなれば、誰もが競うようにアレクセイを取り囲むのも不思議ではない。
独身であることが知れ渡ると…、妙齢の娘を持つ高官やご婦人方が放っておくはずがなかった。出るパーティ、出るパーティで、まさに蜜にアリが群がるように、人に囲まれることになった。
「ザハロフ少将。今日の夕刻、隣の惑星で政府・財界人の懇親会がある。キミも参加するように」
朝一番に、クレイトス元帥のスケジュールを確認していると、突然、言い渡された。
「しかし、今日はずっと前から入っていた宇宙軍各部署のトップが集まる会議があります。懇親会などより、そちらの方が重要なのでは…」
「いや、懇親会とは言っても集まるメンバーのレベルが違う。こんな機会がないと会えない要人ばかりなのだ。みな忙しいので、直前まで日程が決まらなかった。この会をはずすわけにはいかない。
……なあ、アーシャ。キミにもわかってきているだろうが、ものごとは、表の会議や折衝だけで決まる訳じゃない。懇親会での何気ない会話の方が、よほど決定力を持っている」
クレイトス元帥にそう言われると、アレクセイには言い返すことができない。
「わかりました。スケジュールを変更します」
「ああ。それから、今日のパーティは近衛部隊が警備を受け持つように手配してくれ。キミは正装用の軍服を着てくるんだ。いいな」
「はい」
アレクセイは会場で密かにため息をついた。
警備は厳重だし、どれほどの要人が集まるのだろうと思っていた。渡された出席者名簿にも、なるほどと思える要人が多数出席する予定であった。
が、カモフラージュを兼ねているためか、広大な屋敷を借り切ってのパーティには、政府の高官や企業のトップ、惑星統治者だけではなく、華やかに着飾った娘たち、スーツ姿の企業幹部たち。そして、政府の官僚。若いものから年配のものまで、雑多な人々が集まっているではないか。
会場の一角にはステージが設けられ、音楽まで演奏されている。
言われたとおり、正装用の軍服を着てきたアレクセイは目立って仕方がない。賞賛の目を向けられ、あちらこちらで呼び止められ、話に引き込まれる。
これが、宇宙の趨勢を決める重要な場なのか?
アレクセイは大いに疑問を感じたのだが、クレイトス元帥はパーティ会場を動き回り、すっと姿を消し、しばらくするとまた会場に現れるというようなことを繰り返している。
「先ほどから、どこに行っておられるのですか?」
まとわりつく視線に閉口しながら、アレクセイがクレイトスに文句を言う。
「ここへ集まった要人たちは、みな、懇親会のあり方を心得ている。普段、会って話すことができない相手とも話せる機会だ。話したいと思う相手がいれば、他のものに邪魔されない別室が用意されている。酒を一杯飲む間に決まる話も多いのだよ」
そんなものなのか。
「キミに紹介したい男が何人かいる。が、先にわたしの方の用事を済ませてしまいたい。懸案事項が一気に片づくチャンスだからな。少し、時間を潰していてくれ。……キミならまさか、壁の花にもなるまい?」
そう言ってクレイトス元帥は、パーティ会場を我が物顔で泳いでいく。
アレクセイは小さくため息をついてバーへと足を向けた。壁の花ならいいが、興味もない相手と延々と無駄話をするのは疲れるだけだ。
話したい相手がいるわけでもなく、クレイトス元帥のようにまとめたい話があるわけでもない。飲まないではやっていられない気分であった。
眉をひそめて険しい顔をしているアレクセイは、着ている礼服と相まって、気軽に声をかけられない雰囲気である。それでも、女性たちの視線や賞賛の声は止まらない。
「ねえ、あの軍服をきれいに着こなしておられる…、あれが、ザハロフ少将ですって」
「まあ、あの方が噂の…? 知的なお顔」
「スラリとしていらっしゃるのね」
「独身ですってよ」
男たちの方も、黙ってはいない。
「あいつ、できる男だそうだな」
「ああ、この前も、宇宙軍のもめ事をひとりで解決したそうだ」
「ふむ、クレイトス元帥が自分の後継者に、と考えているのはほんとうか?」
「まだ、若い。それは無理だろう」
「いや、確かな筋から聞いたぞ…」
ひそひそ話が聞こえてくる。
いい加減いやになってきた頃…。入り口付近がざわざわしているのに気が付いた。
「あら、ステキ! いま入って来られた方をご存じ?」
「いえ。あの金色の髪、シャープな頬のライン。バツグンのスタイル。どこかで見かけていたら忘れるわけがないわ」
「サングラスの下に隠された瞳はどんな色かしら」
「誰か知っている人がいないか聞いてみましょう」
「男装の麗人って感じだな」
「ほう~、決まってるじゃないか。俳優だろう?」
ざわめきと、波のように広がるささやき声に、アレクセイは有名人がお忍びで現れたのだろうかと思った。
人垣からちらりとのぞく姿は、黒のタキシードを軽やかにまとっていた。
淡いピンクのドレスシャツに蝶ネクタイ、カマーバンド。タキシードの肩に流れるのは、軽くウェーブがかかった蜂蜜色の髪。ただ人混みを縫って歩いているだけなのに、まるでウォークボードを歩くモデルのように人目を惹きつけ、優雅だった。
濃い色のサングラスで目を隠しているが、その独特の雰囲気は、着飾った男女の中にいても飛びきり目立っている。
「……ま、まさか…!」
アレクセイは凍り付いた。
もう二度と会うことはないだろうと思っていた男がそこにいた。
コスモ・サンダーの総督だとバレてはまずいだろうが、飛ぶ鳥を落とす勢いのコスモ・メタル社社長、阿刀野レイだと、どうして誰も気づかないのだろうか。
アレクセイはふと、そんなことを考えて、次にハッと我に返る。自分はもう、レイモンドに合わせる顔はないのである。
気づかれる前に立ち去らなくては…。
だが、まだ距離がある。もう少しだけ眺めていたい。
あの濃い色のサングラスの下に、エメラルド・グリーンの瞳が輝いていることをアレクセイは知っている。細身のタキシードの下にしなやかな筋肉がついた身体が隠れていることをアレクセイは知っている。
遠くからでさえ、その人の生命力が感じられた。
それにしても、頬のラインが少しシャープになった? コスモ・サンダーとコスモ・メタル社の両方を取り仕切るのは、あの人でも大変なのだろう。
目を閉じると、美しい指先がパネルの上を踊り、その手が操縦桿を握るシーンが目に浮かぶ。軽口をたたきながら操縦桿を操り、目にやさしい光をたたえた美しい横顔…。
アレクセイはなくしたものの大きさを思い、涙ぐみそうになった。
レイモンドのゆったりした歩みにつられるように人波が移動する。その人の前がスッと開けて、まるで花道を歩いているような感じだ。あれこそ自然に備わった威厳。
どうやら、バーを目指しているようだと判断する。
こんなところにいると気づかれてしまう。姿を見ることができただけで十分だ。
アレクセイはそろそろと後ずさり、人混みに紛れようとした。
元帥のスケジュールを管理して、誰と面談するか、どの会議に出席するか。すべてアレクセイが判断することになった。もちろん、元帥でなければ決済できない事柄も数知れずある。書類をより分けて、自分ができるものは判断を下し、指示が必要なものだけをクレイトス元帥にまわす。
さらに。
クレイトス元帥から下される指示を、各部署に伝えるのもアレクセイの仕事なら、各部署からまわってきた報告をチェックし、重要事項を元帥に知らせるのもアレクセイの仕事であった。
目が回るほど、忙しい。
組織のトップに立つ人間とは、これほど忙しいものなのかと改めて思うほど、仕事は山積みである。
その上。忙しい合間を縫って、クレイトス元帥は精力的にパーティに出席した。
軍関係のパーティ、政府高官の集まるパーティ、企業財界人の催すパーティ。すべて、アレクセイを権力者たちに紹介し、印象づけるためである。
クレイトス元帥は、着々とアレクセイを後継者に押すための地固めを始めたのだ。
アレクセイはそのほとんどに補佐官として付き合わされ、どのパーティでも注目を集めたのである。
スラリとした美しい姿態。貴族的な顔立ち。立っているだけで絵になる男である。
押しつけがましさはなく、人の心をとらえる軽妙な会話。さらに、宇宙軍の最高位であるクレイトス元帥のお墨付きとなれば、誰もが競うようにアレクセイを取り囲むのも不思議ではない。
独身であることが知れ渡ると…、妙齢の娘を持つ高官やご婦人方が放っておくはずがなかった。出るパーティ、出るパーティで、まさに蜜にアリが群がるように、人に囲まれることになった。
「ザハロフ少将。今日の夕刻、隣の惑星で政府・財界人の懇親会がある。キミも参加するように」
朝一番に、クレイトス元帥のスケジュールを確認していると、突然、言い渡された。
「しかし、今日はずっと前から入っていた宇宙軍各部署のトップが集まる会議があります。懇親会などより、そちらの方が重要なのでは…」
「いや、懇親会とは言っても集まるメンバーのレベルが違う。こんな機会がないと会えない要人ばかりなのだ。みな忙しいので、直前まで日程が決まらなかった。この会をはずすわけにはいかない。
……なあ、アーシャ。キミにもわかってきているだろうが、ものごとは、表の会議や折衝だけで決まる訳じゃない。懇親会での何気ない会話の方が、よほど決定力を持っている」
クレイトス元帥にそう言われると、アレクセイには言い返すことができない。
「わかりました。スケジュールを変更します」
「ああ。それから、今日のパーティは近衛部隊が警備を受け持つように手配してくれ。キミは正装用の軍服を着てくるんだ。いいな」
「はい」
アレクセイは会場で密かにため息をついた。
警備は厳重だし、どれほどの要人が集まるのだろうと思っていた。渡された出席者名簿にも、なるほどと思える要人が多数出席する予定であった。
が、カモフラージュを兼ねているためか、広大な屋敷を借り切ってのパーティには、政府の高官や企業のトップ、惑星統治者だけではなく、華やかに着飾った娘たち、スーツ姿の企業幹部たち。そして、政府の官僚。若いものから年配のものまで、雑多な人々が集まっているではないか。
会場の一角にはステージが設けられ、音楽まで演奏されている。
言われたとおり、正装用の軍服を着てきたアレクセイは目立って仕方がない。賞賛の目を向けられ、あちらこちらで呼び止められ、話に引き込まれる。
これが、宇宙の趨勢を決める重要な場なのか?
アレクセイは大いに疑問を感じたのだが、クレイトス元帥はパーティ会場を動き回り、すっと姿を消し、しばらくするとまた会場に現れるというようなことを繰り返している。
「先ほどから、どこに行っておられるのですか?」
まとわりつく視線に閉口しながら、アレクセイがクレイトスに文句を言う。
「ここへ集まった要人たちは、みな、懇親会のあり方を心得ている。普段、会って話すことができない相手とも話せる機会だ。話したいと思う相手がいれば、他のものに邪魔されない別室が用意されている。酒を一杯飲む間に決まる話も多いのだよ」
そんなものなのか。
「キミに紹介したい男が何人かいる。が、先にわたしの方の用事を済ませてしまいたい。懸案事項が一気に片づくチャンスだからな。少し、時間を潰していてくれ。……キミならまさか、壁の花にもなるまい?」
そう言ってクレイトス元帥は、パーティ会場を我が物顔で泳いでいく。
アレクセイは小さくため息をついてバーへと足を向けた。壁の花ならいいが、興味もない相手と延々と無駄話をするのは疲れるだけだ。
話したい相手がいるわけでもなく、クレイトス元帥のようにまとめたい話があるわけでもない。飲まないではやっていられない気分であった。
眉をひそめて険しい顔をしているアレクセイは、着ている礼服と相まって、気軽に声をかけられない雰囲気である。それでも、女性たちの視線や賞賛の声は止まらない。
「ねえ、あの軍服をきれいに着こなしておられる…、あれが、ザハロフ少将ですって」
「まあ、あの方が噂の…? 知的なお顔」
「スラリとしていらっしゃるのね」
「独身ですってよ」
男たちの方も、黙ってはいない。
「あいつ、できる男だそうだな」
「ああ、この前も、宇宙軍のもめ事をひとりで解決したそうだ」
「ふむ、クレイトス元帥が自分の後継者に、と考えているのはほんとうか?」
「まだ、若い。それは無理だろう」
「いや、確かな筋から聞いたぞ…」
ひそひそ話が聞こえてくる。
いい加減いやになってきた頃…。入り口付近がざわざわしているのに気が付いた。
「あら、ステキ! いま入って来られた方をご存じ?」
「いえ。あの金色の髪、シャープな頬のライン。バツグンのスタイル。どこかで見かけていたら忘れるわけがないわ」
「サングラスの下に隠された瞳はどんな色かしら」
「誰か知っている人がいないか聞いてみましょう」
「男装の麗人って感じだな」
「ほう~、決まってるじゃないか。俳優だろう?」
ざわめきと、波のように広がるささやき声に、アレクセイは有名人がお忍びで現れたのだろうかと思った。
人垣からちらりとのぞく姿は、黒のタキシードを軽やかにまとっていた。
淡いピンクのドレスシャツに蝶ネクタイ、カマーバンド。タキシードの肩に流れるのは、軽くウェーブがかかった蜂蜜色の髪。ただ人混みを縫って歩いているだけなのに、まるでウォークボードを歩くモデルのように人目を惹きつけ、優雅だった。
濃い色のサングラスで目を隠しているが、その独特の雰囲気は、着飾った男女の中にいても飛びきり目立っている。
「……ま、まさか…!」
アレクセイは凍り付いた。
もう二度と会うことはないだろうと思っていた男がそこにいた。
コスモ・サンダーの総督だとバレてはまずいだろうが、飛ぶ鳥を落とす勢いのコスモ・メタル社社長、阿刀野レイだと、どうして誰も気づかないのだろうか。
アレクセイはふと、そんなことを考えて、次にハッと我に返る。自分はもう、レイモンドに合わせる顔はないのである。
気づかれる前に立ち去らなくては…。
だが、まだ距離がある。もう少しだけ眺めていたい。
あの濃い色のサングラスの下に、エメラルド・グリーンの瞳が輝いていることをアレクセイは知っている。細身のタキシードの下にしなやかな筋肉がついた身体が隠れていることをアレクセイは知っている。
遠くからでさえ、その人の生命力が感じられた。
それにしても、頬のラインが少しシャープになった? コスモ・サンダーとコスモ・メタル社の両方を取り仕切るのは、あの人でも大変なのだろう。
目を閉じると、美しい指先がパネルの上を踊り、その手が操縦桿を握るシーンが目に浮かぶ。軽口をたたきながら操縦桿を操り、目にやさしい光をたたえた美しい横顔…。
アレクセイはなくしたものの大きさを思い、涙ぐみそうになった。
レイモンドのゆったりした歩みにつられるように人波が移動する。その人の前がスッと開けて、まるで花道を歩いているような感じだ。あれこそ自然に備わった威厳。
どうやら、バーを目指しているようだと判断する。
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