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10 甘いキス
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沈黙が気詰まりになってきた頃、扉が開いて、二人の男に前後をはさまれた形でレイが入ってきた。
淡いグリーンのハイネックセーターに蜂蜜色の髪がはらりとかかっている。
お気に入りのジーンズにいつものウエスタンブーツでまっすぐに立ったレイは、空気の淀んだコテージには似つかわしくないほど爽やかだった。
レイは部屋を見回して隅にころがっているリュウを見つけると、スタスタとそちらに歩いていった。
殴られて腫れあがった顔を見て、顔をしかめる。
「俺に用があるなら、直接言ってほしかったね。弟を痛めつけなくてもいいだろうに」
レイは腕を組んで男たちを振り返る。
その目が机の上へ足を上げていたハリーに止まる。レイは、しばらく値踏みでもするかのように相手をじっと眺めていた。
「へっ、弟? まったく似てないぜ」
誰かがぼそっとつぶやいた。レイはその声で我に返ったようで、ハリーに声をかける。
「それで。俺の話し相手は、そちらさん?」
ハリーはレイが部屋に入ってきた時から、目を離せないでいた。
肩までかかる軽くウェーブのかかった蜂蜜色の髪。キラキラしたエメラルド・グリーンの瞳。濡れた美しい口もと。声までがやわらかな響きを帯びているようだ。自分に比べると低いが、そこそこの身長である。
会ったことがあるか? そんな疑問がわいて記憶の中を探ってみるが、答えが見つからない。
「ああ、俺だ」
そう言って椅子から立ち上がり、レイの前へと歩み出る。美しい蜂蜜色の髪に吸い寄せられるように手が伸びた。
「俺に話があったんじゃないの?」
髪をもてあそぶハリーの手を払いのけるでもなくレイが甘い声で言う。
「話もいいが…」
誘うような態度に勇気を得たハリーがぐいっとレイのあごをつかんだ。
そして、いきなり、くちびるを合わせたのである。
「…ん」
飢えた男のむさぼるようなキス。
レイは目の端で暴れるリュウを見ながら、それでも動こうとはしなかった。
調子に乗ったハリーは、レイの腰に手をまわし、その顔を仰け反らせるようにしながら舌で縦横無尽にレイの口を犯すような、ディープキスを続けている。
周りの男たちは
「ほんと、キャプテンは手が早い。話が済んだらとか言っておきながら…」
「いやあ、朝から見せつけますね」
などとにやにやしているが、リュウは愕然とした。
最初は、レイが相手を叩きのめすんじゃないかと思って。それから、抵抗もせずに好き放題されていることに。
信じられない。うそだろっ!
「やめろっ。レイ!」
悲痛な声をあげる。怒りで震える身体を止めようもない。
「おっ、嫉妬か。ぼうやが怒り狂ってますぜ。キャプテンも恋人の前で罪なことを」
そんな外野の声に、ようやくハリーはレイから身体を離す。
にやりと笑いながら、
「おまえたち、礼を言うぞ。こんな上玉、探したってめったにお目にかかれない」
「俺は男に興味はないんだけどね」
思った以上に余裕のある声音でレイが返した。
「迷惑料だと思ってあきらめてもらおう」
改めてレイの二の腕を取ったハリーに、
「迷惑料にしたら払いすぎじゃないか?」
「おまえも満更じゃないだろっ。嫌がりもせずに楽しんでたじゃないか」
「話が、あったんだろう?」
「そんなもん後だ。こっちへきな。可愛がってやるぜ」
ハリーが隣の部屋へレイを連れ込もうとしている。
「レイ!」
大声で叫んだリュウをちらりと振り返ったレイは「楽しんでくるよ」と言うと、手下たちに見せつけるように片目をつぶってみせた。
ハリーは相好を崩して笑っている。さっきまでの不機嫌さなどすっかり吹っ飛んでしまったようだ。
「おい、おまえら。しばらく邪魔するな。そいつをしっかり見張っておけよ。気持ちのいいところで邪魔されちゃあ、かなわんぞ」
そして。レイの肩を抱くようにして隣の部屋へと入っていったのだ。
レイがどうして。楽しむなんて。あんな男に抱かれたいなんて、うそだろっ。あいつに渡すくらいなら、俺の方が、まだ…。
「レイッ!」
やめろ。やめてくれっ。
縛られた縄を引きちぎろうと力を入れるが、縄はびくともしない。手首が傷ついただけだ。あの男が俺のレイに触れるなんて、考えただけで虫酸が走る。
俺が悪かったのだ。レイが帰ろうと言った時に一緒に店を出ればよかったのだ。
俺がこんなところへ連れてこられたから、レイを巻き込んでしまった。
何よりも大切なレイが陵辱されようとしているのに、手も足も出せない。
いや、楽しむと言っていたから陵辱ではないにしても…。
あの男を殴り倒したかった。レイの両肩をつかんで揺さぶりたかった。やめてくれと懇願したかった。それなのに、こうして縛られている俺は何もできない。情けなくて涙が出てきた。
レイは絶対に、自分の意に添わないことはしない。
なのに、なぜ…。あんな男がレイの好みだなんて思えない。
顔を歪めてもがき続けるリュウを、男たちは面白そうに眺めていた。
「おまえ、あの美人よりあきらめが悪いな。安心しな。キャプテンは俺たちには手厳しいが、美しいオンナにはやさしいぜ」
淡いグリーンのハイネックセーターに蜂蜜色の髪がはらりとかかっている。
お気に入りのジーンズにいつものウエスタンブーツでまっすぐに立ったレイは、空気の淀んだコテージには似つかわしくないほど爽やかだった。
レイは部屋を見回して隅にころがっているリュウを見つけると、スタスタとそちらに歩いていった。
殴られて腫れあがった顔を見て、顔をしかめる。
「俺に用があるなら、直接言ってほしかったね。弟を痛めつけなくてもいいだろうに」
レイは腕を組んで男たちを振り返る。
その目が机の上へ足を上げていたハリーに止まる。レイは、しばらく値踏みでもするかのように相手をじっと眺めていた。
「へっ、弟? まったく似てないぜ」
誰かがぼそっとつぶやいた。レイはその声で我に返ったようで、ハリーに声をかける。
「それで。俺の話し相手は、そちらさん?」
ハリーはレイが部屋に入ってきた時から、目を離せないでいた。
肩までかかる軽くウェーブのかかった蜂蜜色の髪。キラキラしたエメラルド・グリーンの瞳。濡れた美しい口もと。声までがやわらかな響きを帯びているようだ。自分に比べると低いが、そこそこの身長である。
会ったことがあるか? そんな疑問がわいて記憶の中を探ってみるが、答えが見つからない。
「ああ、俺だ」
そう言って椅子から立ち上がり、レイの前へと歩み出る。美しい蜂蜜色の髪に吸い寄せられるように手が伸びた。
「俺に話があったんじゃないの?」
髪をもてあそぶハリーの手を払いのけるでもなくレイが甘い声で言う。
「話もいいが…」
誘うような態度に勇気を得たハリーがぐいっとレイのあごをつかんだ。
そして、いきなり、くちびるを合わせたのである。
「…ん」
飢えた男のむさぼるようなキス。
レイは目の端で暴れるリュウを見ながら、それでも動こうとはしなかった。
調子に乗ったハリーは、レイの腰に手をまわし、その顔を仰け反らせるようにしながら舌で縦横無尽にレイの口を犯すような、ディープキスを続けている。
周りの男たちは
「ほんと、キャプテンは手が早い。話が済んだらとか言っておきながら…」
「いやあ、朝から見せつけますね」
などとにやにやしているが、リュウは愕然とした。
最初は、レイが相手を叩きのめすんじゃないかと思って。それから、抵抗もせずに好き放題されていることに。
信じられない。うそだろっ!
「やめろっ。レイ!」
悲痛な声をあげる。怒りで震える身体を止めようもない。
「おっ、嫉妬か。ぼうやが怒り狂ってますぜ。キャプテンも恋人の前で罪なことを」
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にやりと笑いながら、
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「俺は男に興味はないんだけどね」
思った以上に余裕のある声音でレイが返した。
「迷惑料だと思ってあきらめてもらおう」
改めてレイの二の腕を取ったハリーに、
「迷惑料にしたら払いすぎじゃないか?」
「おまえも満更じゃないだろっ。嫌がりもせずに楽しんでたじゃないか」
「話が、あったんだろう?」
「そんなもん後だ。こっちへきな。可愛がってやるぜ」
ハリーが隣の部屋へレイを連れ込もうとしている。
「レイ!」
大声で叫んだリュウをちらりと振り返ったレイは「楽しんでくるよ」と言うと、手下たちに見せつけるように片目をつぶってみせた。
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「おい、おまえら。しばらく邪魔するな。そいつをしっかり見張っておけよ。気持ちのいいところで邪魔されちゃあ、かなわんぞ」
そして。レイの肩を抱くようにして隣の部屋へと入っていったのだ。
レイがどうして。楽しむなんて。あんな男に抱かれたいなんて、うそだろっ。あいつに渡すくらいなら、俺の方が、まだ…。
「レイッ!」
やめろ。やめてくれっ。
縛られた縄を引きちぎろうと力を入れるが、縄はびくともしない。手首が傷ついただけだ。あの男が俺のレイに触れるなんて、考えただけで虫酸が走る。
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俺がこんなところへ連れてこられたから、レイを巻き込んでしまった。
何よりも大切なレイが陵辱されようとしているのに、手も足も出せない。
いや、楽しむと言っていたから陵辱ではないにしても…。
あの男を殴り倒したかった。レイの両肩をつかんで揺さぶりたかった。やめてくれと懇願したかった。それなのに、こうして縛られている俺は何もできない。情けなくて涙が出てきた。
レイは絶対に、自分の意に添わないことはしない。
なのに、なぜ…。あんな男がレイの好みだなんて思えない。
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