五十の手習い

赤羽律紀

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炎天下での引っ越し

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 2002年、父が定年退職したのを機に社宅を出て近くの一軒家に引っ越した。
 新潟から移り住んで22年、30歳になるまでこの社宅で日々を過ごした。しかし、自分の部屋がなく何かと不便だったのは確かだ。
 そんな思い出がある社宅から一軒家に引っ越すのにはかなりのお金がかかる。そこで、我が家では費用を浮かして荷物を運び入れた。
 まずは社宅時代は食器棚がわりとして使っていた本棚を僕の部屋に入れた。本来の目的で使われることになって良かったと思う。
 父の定年は9月で、3ヶ月間の中には炎天下が続く日々があったためか引っ越し作業は暑さとの戦いとなった。特に土日は汗をかきまくるほどの仕事っぷりだった。
 こうして長くかかった引っ越し作業を一応終えて、僕たち家族は22年いた社宅を離れて新たな住処となる一軒家に移り住んだ。
「これで長くいた家からおさらばできる。俺の部屋が手に入ったぞ~」
 自分の部屋を手に入れたのが嬉しくてたまらなかった。
 ちなみに僕の部屋に鎮座する小さいテレビは父や僕や妹の寝る部屋にあったものである。部屋のテレビで朝ドラを字幕や解説付きで観ていることもある。最近は新しいベッドで寝ながらもアプリ内で文章を書いている。
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