わたくし、前世では世界を救った♂勇者様なのですが?

自転車和尚

文字の大きさ
320 / 430

(幕間) 絵画 〇二

 ——グリッター伯爵邸の前で黒い狼にしか見えないガルムが戸惑ったように彷徨い歩くと、困ったように何度か頭を振ってから口を開いた。

「……ここにいるはずなのですがね……気配が途切れている……」
 何度か地面の匂いを嗅ぎながら幻獣ガルム族のユルは、奇妙な魔力を発しているグリッター伯爵邸へと視線を向ける。
 彼が契約するシャルロッタ・インテリペリ……インテリペリ辺境伯家が誇る辺境の翡翠姫アルキオネは前世が勇者だと名乗る奇妙な少女ではあるが、その実力と強さは底がしれないものであり彼自身もその強大さを感じ取り契約を結んでいる。
 まだ一年足らずの短い時間ではありながら、幾度となくその強さを思い知らされる結果となり年若いガルムであるユルは感心することばかりである。

「弱ったな……明らかにグリッター伯爵が怪しいが、気配が感じ取れない……」
 当たり前の話だが彼女がその気になれば一〇〇人の暴漢に襲われたところで、傷ひとつなく返り討ちにしてのけるだろう。
 強者故の傲慢なのか、それともそもそも危機感が欠如しているのか、死に対する恐怖が存在しないのかは分からないが、とにかく貴族令嬢として考えると恐ろしいくらいに無防備だ。
 なんでも侍女頭であるマーサが言うにはもう少し小さい頃にも何度か誘拐未遂なども起きていたらしい……運よくすぐに逃げ出すなどして無事だったらしいのだが、ユルからするとそれはおそらくだがシャルロッタ自身がどうにかしてしまっていたのだろう。
 運が良い、という話になっているがユルからすればそんな幸運は何度も続くわけがないのでいつかおかしいと思う人間が出てもおかしくないことのようにも思える。

「考えられることとしては、異空間に取り込まれている……か」
 気配が急に途絶すると言うのは本来考えにくい、魔力の高いものであればその残穢はどうしても隠しきれなくなるし、そもそも魔力を隠すなどという発想はなかなか思いつかなくなる。
 人間が権力を誇示するために着飾るように、魔力が高い生物ほどその優位性を誇示しようとして魔力を強く放出する傾向がある。
 シャルロッタのようにまるで魔力を持たない人間かのような偽装を行うものなどふつうは存在しないのだ。
 それ故に彼女を侮るものも多い……単なる美しいだけの令嬢と勘違いするものも多く、その対応に苦慮することもこの一年で増えている。

「……仕方ない、飛び込むしかないな……」
 ユルは思い切ってグリッター伯爵邸の壁を一足飛びに飛び越える……影から影へとその巨体を滑り込ませるように進むと、ほとんど人気のない館の中へとすんなりと侵入していく。
 カーテンの影から軽く顔を出して周りを確認するが、伯爵家と言われると違和感を覚えるレベルで人の気配が少ない。
 ユルはあまり知らなかったが、グリッター伯爵はその奇行や芸術への情熱などから気味悪がられ、使用人はほとんど雇っていないのだ。
 廊下は少し埃っぽく清掃はあまり行き届いていないのだろう……軽く咳き込んだユルはずるり、とその体を影の中から出すと匂いを嗅ぎながらゆっくりと進む。

「シャルの体臭……これは香水か、相変わらず奇妙な匂いを……」
 王都で流行っているのだと侍女頭のマーサが取り寄せていた春の花を連想させる香水の匂いが廊下にほんのりと漂っている。
 嗅覚に影響が出ると言ってあまり香水や化粧を好まないシャルロッタだが、薄くしつこくない程度には振っていたらしい。
 最近ではマーサや侍女たちが着せ替え人形のように彼女を飾り立てることもあり、本人も満更ではないのか黙ってされるがままになっていることが良くある。
 だが今回に関して言えば香水の匂いを辿れば彼女の元へと辿り着ける……ユルはシャルロッタの気まぐれに感謝しつつも匂いの方向へと歩みを進めてく。
 香水の匂いを辿っていくが、廊下にかけられた絵画にふと気がつくとユルは一枚の絵に目を取られる……そこには椅子に座らされた一人の少女と、その横で微笑むグリッター伯爵の姿が描かれている。
 銀色の美しい髪にエメラルドグリーンの瞳……彼の目から見てもその絵に描かれた少女はシャルロッタ・インテリペリそのものだ。

「どう言うことだ? これは伯爵が用意しているのか?」
 その絵の前でユルは首を傾げる……絵画はまるで現実を映し取ったかのような美しい絵柄だったが、満面の笑顔で幸せそうに微笑むグリッター伯爵と違って、シャルロッタの顔は苦痛に歪みまるで苦しんでいるかのような表情を浮かべている。
 香水の匂いはこの絵画から発せられているようにも感じ、ユルはその前でウロウロと歩きながら別の方向の匂いなどを確認していく……いや確かにこの絵画から彼女の香りがしている。
 じっと絵画を見つめていると、奇妙なことにその絵はまるで生きているかのようにその表面が動いているような気がする。

「……魔力を感じる……昔聞いたことがあるな」
 ユルがまだ幻獣界で古老たちの冒険譚に心を躍らせていたころの話だ。
 人々からその容姿を蔑まれ、世間から爪はじきにされた人間の魔法使いがいた。
 彼は絵の才能は持っていたが、肝心な魔力についてはそれほどでもなく、魅力的な絵画を描くことで生計を立てていたが、表舞台には顔を出せず代理の人間を使って美しい絵を売っていた。
 絵は高値で売れたたため彼の財産を目当てに数多くの令嬢から婚約の申し込みなどが入ったらしいが、顔を合わせるとなぜか縁談は破談になっていったという。
 ある日彼は自分の姿を見た令嬢たちから陰で笑われていることを知り絶望する……その暗く終わりのない絶望は悪魔デーモンを呼び、彼にこうささやいた。

『……君の絵は美しいね、どうだろう? 理想の世界を手に入れる魔法を知りたくないかい?』

 それは絵に魔力を吹き込み、その絵を異界とすることで巨大な空間を構築するというもの……魔法使いは悪魔デーモンと契約を結び魔法を手に入れた。
 魔法を使って理想の世界を作り上げた魔法使いは大喜びでその絵画の中へと入ると、自らが生み出す食事や酒……そして黄金に囲まれる生活を送っていた。
 愛する者すら絵に描けばそれを現実として認識できる絵画の生活は快適であり欲望を満たすには十分なものであった。
 だがある時魔法使いは気が付いてしまう……その中にいるときはつらくみじめな気持ちを忘れることができるが、一度外の世界へと戻ればいつもの生活が待っている。
 戻りたくない、と彼が心より望んだ時……目の前にあの時の悪魔が現れると彼に告げた。

『では永遠に絵の中へと入るといい……そこにいれば幸せな生活が保証される、それが君の選んだ答えだろう?』

 ある日を境に魔法使いの姿は消え、その邸宅には美しい一枚の絵が残されていた。
 そこにはすべてを手に入れた醜い容姿の魔法使いが幸せそうな表情で座っている様子が描かれている……イングウェイ王国ではなく大陸のほかの国にはこの物語が子供に聞かせる欲深さを戒めるおとぎ話として伝わっているのだという。
 この絵画はその魔法使いに連なる者もしくは何らかの形でそれに近い魔法を有したものの仕業なのだろうか?
 もしここにシャルロッタが閉じ込められているとするのであれば……ユルの尻尾にほのかな炎が宿ると彼は膨れ上がる魔力を絵画に向けて解き放った。
「……今助けますよ! シャルッ!」



「も、もう我慢の限界……お願い、ここから出して……もうだめなの……あうぅ」
 いきなりだがわたくしの心は折れかかっていた。
 それはなぜか? それは人間であれば普通のことだけど生理現象が臨界点を突破しそうになっていたからだ。
 イングウェイ王国は魔力を使った特殊な装置を使った手洗いが完備されている……庶民の自宅にはないらしいが、貴族の邸宅はきちんとした上下水道が備わっているため、非常に清潔な暮らしを送ることができる。
 んで、前々世日本人であるわたくしからしてもこのお手洗い事情というのは非常に好ましく……前世の世界では穴を掘って埋め立ててたことを考慮すると、とてつもない文化的躍進だったりする。
 さて、ここまででお分かりの通りわたくしの心は折れかかっているのだ……転生してから貴族令嬢として育てられ淑女としてのマナーや礼節、そしてふるまいを身に着けたわたくしがもしこの場で粗相などをしてしまった場合、それはある意味令嬢としての死を意味するのではないだろうか?
「……なにが限界なんだい? 僕への愛の告白と宣誓がまだ聞けていないよ?」

「お、お願い……ここから、ここから出してください……」
 ふるふると小刻みに震えながら懇願するわたくしの顔は蒼白で血の気が引きそうなくらいの状況なのだが、目の前にいるグリッター伯爵はほほ笑むばかりでまるで取り合おうとはしない。
 も、もうまずい……うねる大蛇のごとく荒れ狂う現象を抑え込もうと必死に抗うわたくしをみて何か不思議そうな顔をしている彼をよそに、わたくしは羞恥と屈辱感でいっぱいになっている。
 殿方の前でこんな……こんなことをしてしまったら辺境の翡翠姫アルキオネの美名が瓦解してしまうだろう。
 もう我慢できずに口を開こうとした次の瞬間、まるで何か硝子を割ったような音が周囲に響き渡る……わたくしとグリッター伯爵は同時に音の方向、その世界の上空へと視線を向ける。
「……シャルっ!」

「ユ、ユル?!」

「な、なんだあれは!」
 空間を引き裂き、結界魔法を構成する空間をぶち破って黒い狼に見える幻獣……わたくしの最大の味方であるユルが空間へと飛び込んできた。
 結界魔法は内部に対象を閉じ込めることに特化した魔法であり、外部からの衝撃にはかなり脆い……まあ普通の人間では絶対に破ることなどできないのだけど。
 その外殻ともいえる結界が破壊されたことで、天使の横顔エンジェルフェイスそのものが崩壊したのだろう……まるでそれまで現実のように思えたすべての構成物が色を失い崩れ落ちていく。
 それと同時に周囲の空間がここに閉じ込められる前のグリッター伯爵邸の部屋へと形を戻していくのがわかる。
 だが……わたくしの気が一瞬ユルと解放されたことで緩んだのか、それとももう限界だっただろうか?
 わたくしの下腹部に冷たいものが流れ出していく感覚と、小川のせせらぎのような水音があたりに響き……ユルとグリッター伯爵は同時にわたくしに視線を集中させた。
 次の瞬間わたくしは思わず絶叫とともに、拘束を引きちぎると隣に立っていたグリッター伯爵の横っ面を思い切り張り倒した。
「いやあああああああああっ! みないでえええええっ!」



 ——アーンゲイル・グリッター伯爵の所有する屋敷にて巨大な爆発が起きた。
 大火ではなかったが、館が完全に焼失し当主であるアーンゲイル伯は大けがを負った状態で発見された。
 伯爵は絵画を描きそれを売ることで生計を立てており、伯爵家は経済的にはかなり困窮していたとみられる。
 財産を失ったグリッター伯爵だったが、インテリぺリ辺境伯家が支援を表明し辺境伯領の一都市に招き入れた後、彼は辺境伯家の愛娘辺境の翡翠姫アルキオネことシャルロッタ・インテリペリの絵姿を作り上げた。
 その絵姿が飛ぶように売れたことから王都でも辺境の翡翠姫アルキオネの名は広まることになる。
感想 88

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【コミカライズ】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】  2026年4月24日より、ピッコマ、コミックポルカにて漫画が連載中!  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。