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4.「……えっ?」
しおりを挟む「あぁ、なるほど。それじゃあ、今ミリウスは留守なんだね?」
「……はい」
最初に気にするところはそこなのかと突っ込みたくなったが、グッと堪える。
だが、その質問は当然だろう。
シリルがこのようなところにまで足を運んだのは、彼がミリウスの友人だからだ。
ときおり訪ねてきては、部屋に閉じこもって何かしら話し合いをしている。
今日もミリウスに会いにやってきたはずだった。
だが、ミリウスがいないどころか、魔法が飛んできて直撃した。
シリルにとっては災難でしかないだろう。
「ミリウス様は、あと七日ほどで戻ってこられるかと……」
「残念だけど、出直すかな」
「すみません。事前に殿下にお知らせしていれば、こんなことにならなかったのですが……」
「そう言えば、ミリウスにそんな話をされたかもしれないな。薄っすらと記憶にある」
うーん、と仰ぎながら考え込むシリルに、ユニは思わず苦笑いをしてしまう。
シリルとはミリウスとの縁で挨拶する程度の仲だが、まさかこんな感じの人だとは思わなかった。
どこかふわふわしていると言うか、掴みどころがないと言うか。
あの生真面目で自他に厳しいミリウスと友人であることが、少し信じられない。
「何かお急ぎの用がありましたら、私の方で伝書を飛ばしますよ?」
魔法でメッセージはすぐに飛ばせる。
使役魔法は苦手だが、これならば朝飯前だ。
「いや、大丈夫。急ぎではないから。でも、ひとつ聞いてもいいかな?」
「はい! 何でも!」
ユニは張り切って返事をすると、何故かシリルは首元のクラバットを自ら解き始めた。
「……えっ?」
突飛な行動に驚き、ユニは声を上げる。
何故、首元を緩めるのか。
目を白黒させた。
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