あなたのすべてが性癖なのです。

ちろりん

文字の大きさ
5 / 20

同期に魅せられたデートの日

しおりを挟む




 激動の十一月と十二月だった。
 仕事もプライベートも。

 這う這うの体で仕事を終わらせた二十一日。
 明日から三連休だが、とりあえずは明日寝る。美容と健康のために寝るに限る。
 外崎とのデートに備えるために。
 何だかんだ言って私、楽しみにしているんだろうな。

「めちゃくちゃ楽しみにしてるからな」

 外崎も外崎で帰り際、耳元で囁いてきた。念押しの一言だ。抜かりない。
 それにしっかりとときめく私も私だけど。


二十三日。
外崎は私の家までわざわざ車で迎えに来てくれた。

私の前に現れた彼は、いつも整髪剤で上げている髪の毛を下ろし、カジュアルな格好をしている。チャコールグレーのチェスターコートにキャメルのチノパン。似合うじゃないか。

「いいな。いつもより……綺麗だ」
「ありがと」

ぐわっと照れ臭さが沸き起こってくる。
 何となく外崎ならそう言ってくれそうだなって期待しながら私もかなり頑張ったからね。
 ボーナス入ったから奮発してお高めのワンピースとコートも買ったし、髪もいつもより念入りに巻いたから、その頑張りを褒められると正直嬉しい。

「俺のためだけにこんなにオシャレしてきてくれたんだな。嬉しいよ」

くっ……!キザ野郎め!
それでも胸にキュンキュンくるから本当に強者だ、外崎は。
どストレートな言葉は胸に響き、さっそく私に外崎を男としての意識を植え付けてきた。
私服や髪型の違いというのもあるのかもしれない。
とりあえず私は気分が盛り上がりすぎて何をどう話していいか分からなくなっているので、下手に口を開けなかった。
車の中でもいろいろと話しかけてくれる外崎に、言葉少ない返事しかできない。

何だろう……これ。
恋とか付き合い始めとかこんなに緊張するものだったっけ?

元カレとは六年間付き合っていたから、こんな初デートのドキドキ感は久しぶりだ。

 正直、外崎とのデートは楽しかった。
 一緒にクリスマスプレゼント買って疲れたらお茶して、二人で盛り上がって。

 途中でこれじゃあいつも同期として接していた頃と変わりないかもとも思ったけど、そんなことはなかった。
 まず圧倒的に外崎の甘さが違うのだ。
 彼は私を徹底的にお姫様扱いをして、際限なく甘やかす。

 クリスマスプレゼントを買いに行ったとき、ボーナスで自分の欲しいものはほとんど買ってしまったから特にプレゼントで欲しいものはないと答えたら、じゃあ身につけるものを贈らせてくれと言われた。

 『いつでも俺を意識していられるように』。
 そう外崎が言うものだから、かなり選ぶのに時間がかかった。
 それでも苛つくことなく最後まで私の相談に乗りながら一緒に選んでくれた彼は、ちょっとお高かったのにも関わらずプラチナのネックレスを買ってくれたのだ。
 大きなダイヤの周りを星を模るように配置された小さなダイヤ。
 毎日でもつけていたいくらいに可愛い。

 でも、さすがにお試しでここまで高いものはと遠慮しようかとも思ったが、今日のお礼も兼ねているのだと言う。ここでポイントを稼がせてくれと。
 万が一、この後二人の仲が恋人まで進展しなくても、今日というこの日を忘れてほしくないから贈るのだと。もし、それでも忘れたいというときには処分してくれても構わないから、今は受け取ってほしいのだと。

 そこまで言われたら私も女だ。
 胸をときめかせながら受け取るしかない。

 ちなみに私が贈ったプレゼントと言えば、事前に用意していた手袋だ。
 だからお互いに贈り合うプレゼントの値段が釣り合わなさ過ぎて、申し訳なかったのだ。

 でも、外崎は私がプレゼントを渡したら物凄い笑顔を見せてくれた。
 いや、あんたそんな顔で笑えたのって言うくらいの満面の笑み。いつもの生真面目な顔が崩れすぎ。

 …………何そんなとんでもない隠し玉持っているのよ。

 まだデートが始まって二、三時間足らずだというのに、魅せられてばっかりだ。
 私、こんなんで夜、持つんだろうか。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

処理中です...