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同期に告白された残業の夜(4)
しおりを挟む「樫原は?何か俺が留意しておくことはあるか?要望は?」
外崎はあくまでイーブンにこの関係を進めたいのか、私にも聞いてきた。
一方的な押しつけをしないのが外崎という男だけれども、彼女とかにもそういうタイプなのかな?
比べるのも申し訳ないけど、元カレとは違って包容力がある男なのかもしれない。
そうなると今の今まで甘えるということをしてこなかった私は困った。
彼氏には注意とか是正という意味で『してほしいこと』はあったけど、こういう感じでの『してほしいこと』ってなかなか思いつかない。
でもなぁ……このままこっちばかりが動揺させられっぱなしというのも癪なんだよなぁ。
そういうところが可愛くないと分かっていながらも、私は考えた。
「お前も何か性癖があるんだったら言え。俺もそれに応える」
「性癖、ねぇ」
性癖と言うほどでもないけど、ひとつそうだったらいいなって思うことがある。
「筋肉……私、筋肉好きだから、できれば触ったりとかしたいなぁって。シックスパックは欲しいところだわ」
「任せろ。それはもうリサーチ済みだし鍛え済みだ」
そう言って外崎がシャツを捲りあげて見せてくれたお腹。
そこには立派なシックスパックがあって、しっかり腹斜筋までもが鍛えられている。
「なにも文句はありません。大層立派な筋肉です。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
何故私が外崎にはもちろん、元カレにも言っていなかった密やかな楽しみを知っているのか謎だし聞くのは怖いけれど、そこは深堀せずに行こうと思う。
でも……外崎を彼氏に、かぁ。
考えたことなかったけど、今日告白されたことで彼を見る目が変わってしまう。
少し嬉しそうに再度仕事を再開する外崎の横顔に、感じたことのないときめきが沸き上がってきた。
これはちょっと……まずい。
私、案外ちょろいのかもしれない。
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