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第九幕 ー新たなる息吹ー
序 夏の夜
しおりを挟む夏の夜が、すごく好きだ。
月夜に舞う蛍や、優しくひんやりとした風や、静かに流れる小川の音。そんな風景を、とても美しいと感じることができた。
昼間の暑さを忘れさせるような、そんな涼やかな夏の夜、初めて見た花火。
涙がでるほどに、美しいと思った。
そして、そんな気持ちを自分に教えてくれたその人のことが、大好きだった。
少年は、一人で小川のほとりを歩いていた。
夏虫の声が、静寂の中に響き渡り、蛙の声と合唱になる。
空を見上げると、月のない夜空に、たくさんの星がきらめいていた。すう、と流れ星をひとつ見つける。
ふと足元をみると、草むらに白い花が咲いているのが目に入った。
少年はしゃがみ込んでその花に手を伸ばす。
夜顔が咲いているのだ。あちこちに、ちらほらと白い花をつけ、それは地上の星のようにも見えた。
一輪の夜顔を摘み取って、匂いをかいだ。懐かしい匂いがした。
ごらん、これが夜顔だよ……と、教えてもらったあの頃のことを思い出す。
その花を耳の上に引っ掛けると、少年は目当ての薬草を見つけて、手早く腰にくくりつけた籠に入れていく。
籠が満たされると、少年は小川のほとりから斜面を駆け上り、暗い夜道を身軽に走った。
その顔は白く、目は夜闇よりも黒い黒色、そして漆黒の短い髪。
あの都での戦いから十年。
夜顔は十七になった。
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いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
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