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あやしい薬は適量で【セス視点】
8 ノクトのはったり
しおりを挟む「はぁ~~~~……可愛い。美形はやっぱり子どもの頃から美形なんだなぁ……」
「あんまりみないで……」
「ふふ、恥ずかしがってるセスも可愛いなぁ。大きいセスは、僕がどんなに『見ないで』って言っても絶対目を逸らさないのに」
「うう……お、おぼえてろよ……」
床に立ってモジモジしている俺の前にやって来てしゃがみ込み、満面の笑みを浮かべるノクトを涙目になって睨みつけてみる。……が、全然効果がない。ノクトが「うわぁ~~ムッとしてるセスも可愛いなぁ」と喜ぶだけだ。
たまりかねた俺は、びしっとノクトを指さしてこう指摘してやった。
「ノクトは、『はずかしい』っていいながらいつもよろこんでるだろっ!」
「えっ!? え、いや、まぁ……それは否定できないけど……」
「ほらみろっ! でもおれは、こんなくつじょくてきなすがたになってほんとうにはずかしいんだよっ!」
「う。そ、そうなんだ。ごめん……」
若干回りにくい舌で頑張ってそう言い放つ。
するとノクトは心底申し訳なさそうな顔になり、「ごめん。セスが可愛すぎて理性が曇ってしまったよ」と項垂れた。
「ごめんね、セス。許してくれる?」
「うん……」
「こっちにきて、セス」
スッと伸ばされたノクトの手を小さくモチモチした手で掴む。するとノクトはホッと安堵したような顔で微笑んだ。
「調子に乗りすぎちゃったね。元に戻ったら、目一杯お仕置きしてくれて構わないよ」
「おしおき……」
「って、ちびっこになんてことを言ってるんだ僕は……」
俺の見た目が小さいせいで混乱をきたしはじめたらしいノクトに、俺はそっと抱きつく。
すべらかな白い頬に唇を寄せると、ノクトはどことなく懐かしげに目を細め、俺の頭を撫でて微笑んだ。
「懐かしいなぁ。僕は、セスがこれくらいのときから世話を焼いていたからね」
「うん……」
「本当に立派になった。再会したとき、僕がどれほど誇らしかったか」
「へへ……」
同じ高さの目線で正面から褒められて、胸の奥がくすぐったい。
照れ笑いを隠したくてノクトの首に抱きつこうとしたとき、バーン! と派手な音とともにドアが開いた。
「ノクト、セス! 忘れてた! 行商人から解呪の薬を預かっていたことを忘れていたよ!」
部屋の中に飛び込んできたのは、若返りの妙薬の瓶と同じ形の赤い瓶を手にしたクリスだった。
ソファの近くで抱きしめあっている俺たちに向かってずいと瓶を突き出す。
「いや~肝を冷やしたよ。リステアード卿にどう言い訳をしようかと……」
いくら近衛魔術師でも、侯爵家の養い子である俺を子どもにしてしまうという事故を起こして肝を冷やしていたらしい。
だが、まずは俺に謝るべきだろう。苛立ちを込めて頬を膨らませ、クリスを睨む。するとクリスは俺の視線に気づいたらしく、珍しく素直に「ごめんね、セス」と謝ってきた。
「ん……まぁ、べつにいいけど」
「いやぁ、ホッとしたなぁ。そういうわけできみはいつでも元に戻れるわけだから、もっとこの愛らしい姿をノクトに愛でてもらっても……」
「いやだ! すぐにもとにもどせ!!」
「そうかい? 自然と元に戻るのかどうかとか、普通の五歳児並みにすぐ眠たくなっちゃうのかとか、味覚の変化とか、色々調べさせてもらいたいところだけど……」
「いやだっていってる! はやくそのくすりをおれにかけろよっ!」
「んー、仕方ないなぁ。わかったよ」
未練たらたらといった顔をしつつも、クリスはきゅぽんと瓶の蓋を開け、そのまま俺にぶっかけてこようとした。するとノクトが、慌てたようにひょいと俺を抱き上げた。
「クリス、ちょっと待った! 今、セスは子どもの服を着ているんだよ! このまま元に戻ったら大変なことになる!」
「え? ……ん、ちょっと待って。それはそれでかなり面白いね! レナードも呼んでこようか!」
「面白がらない! その薬はここに置いて、クリスは部屋を出ててくれ!」
「もー、わかった、わかったよ」
ノクトがピシリとそう言うと、クリスは心の底から名残惜しそうに瓶をテーブルに置いた。そしてチラチラこちらを振り返りつつ、牛歩で部屋を出て行った。
ようやく元に戻る算段がついて安堵している俺を、ノクトはすとんと床に下ろした。
「よし、もう一回じっくりセスの子ども時代を目に焼き付けておかなきゃ」
「もういいよ……はやくもとにもどしてよ」
「ふふ、わかった。着替えようね」
乾いた軍服を苦労して身にまとい、解呪薬を数滴頭に垂らしてもらい——……俺はようやく元の姿に戻ることができた。
見慣れた視点から自分の身体を見下ろしていると、むぎゅっと胸元にノクトがしがみついてきた。なぜかノクトは涙目だ。
「ノクト?」
「よかったぁ……。ああ、よかったよ……」
「どうしたんだ? 呪いの気配は薄まってるって言ってたじゃないか」
「あれはハッタリ。本当はどうなるかわかんなかったんだ」
「えっ、そうだったの?」
「セスがあんまりにも不安そうだったから、安心して欲しくてさ」
「そう……そうだったのか」
心底安堵したように脱力しているノクトを、しっかりと抱き返す。すると、ノクトの頬に一筋の涙が伝った。
さっきは拭ってもらった涙を今度は俺が拭う。ノクトは顔を上げてにっこり笑ったあと、思い出したようにほんのりと頬を染めた。
「さっきはからかってごめん。今夜はその……いっぱい、お仕置きしてもいいからね」
「しないよ、お仕置きなんて。……ありがとう」
「なにが?」
「ノクトも不安だったのに、俺を安心させるためにハッタリを言ってくれたんだろ? かなわないな、ノクトには」
「へへ」
白い頬を両手で包み込み、目を閉じて唇にキスを落とす。
何度か小さな唇を啄むうち、見ていなくてもその唇が笑みの形になるのがわかった。
「……早く帰ろう、セス。帰って、この続きをたくさんしてほしいな」
「ああ、わかった」
深く頷いて微笑むと、ノクトは白い歯を見せて華やかに笑う。
するとドアの向こうから「ノクト、セス、どう? 戻れたかい?」と、どこか不安げなクリスの声が聞こえてくる。
それを聞こえないふりをして、俺はもう一度ノクトに口づけを贈った。
おしまい♡
˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚
ここまでお読みいただきありがとうございました!
またネタが降ってきたら何か書きます。
その際はぜひ読みにきてくださいませ♡
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ます。ノクトとセスの幸せなやりとり、みられるかな?楽しみです♪
梅子さま
ご感想をお寄せいただきありがとうございます!
本編を読んでくださってありがとうございます✨
ひょっとして、シーモアさんにレビューをつけてくださってた梅子さんですか……?
(違っていたらごめんなさい💦)
いつも本当にありがとうございます😭
心が救われます……!!🙏✨
番外編、甘々な雰囲気で楽しく書きました🥰
梅子さんも楽しんでいただけたら幸いです✨
セス様、可愛すぎるよー😆💕
抱っこして撫で回したくなるのわかるわあ。元に戻してあげたいけどこの可愛さも堪能したい!ネオがいいキャラしてるわ!
yuーchiさま
ご感想をお寄せいただきありがとうございます!
ノクトと孤児院にいた頃はガリガリのチビちゃんだったから、今は本当に天使の如く可愛いと思うよ〜😊
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番外編、書籍ともども読んでくれて本当にありがとうね💕
餡玉先生、番外編ありがとうございます🙏
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ikuさま
ご感想をお寄せいただきありがとうございます!
群がりますよね〜😆
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こちらを先に読んでくださってありがとうございます!
ゆっくり本編を読んでいただいてから追ってくださっても大丈夫ですので☺️
書籍のお迎え本当にありがとうございます😭🙏✨