【完結】お供え喫茶で願いごと

餡玉(あんたま)

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友情?

12 美玲の本性

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「ちょっと明美!? いつまであたしのことブロックするつもり!? ひといじゃない!」

 バイト先に、突然美玲がやってきた。
 華やかな美玲は、ファーストフードのハンバーガーショップにいるとちょっと浮く。
 長い栗色の髪は綺麗に巻かれ、ツイードの可愛らしいセットアップでバッチリ決めて、さりげなさそうに肩から下げた高級バッグ。お昼時の混雑した時間帯に、行列を無視して明美のいるカウンターまで突撃してきた美玲を、制服姿の女子高生が不愉快そうに睨んでいる。

 ちょっぴり怯んだものの、明美は一旦小さく深呼吸をして——しっかり美玲を見据えてこう言った。

「他のお客様のご迷惑になりますので、後ろにお並びください」
「はぁ!? あんたがライン返さないから、わざわざこんなとこまで来てあげたんだよ!?」

 普段は、明美のイラスト欲しさに猫撫で声で甘えたように機嫌を取ってくる美玲だが、今日は本性を曝け出してしまっている。
 それもそのはずだ。
 明美は、これまでに美玲から受け取ったお金を全額返したあと、『今までありがとう』というメッセージを最後に、美玲のSNSの類はすべてブロックした。

 ブロックしてみて初めて気づいた。
 この数年、美玲とのつながりはほぼLINEのみだったということに。
 年上の金持ち彼氏とのデートやクラブ遊びで忙しい美玲とは、大学も違えば生活圏もまるで違う。絵が欲しいときだけ機嫌を取ってくる美玲のことを、どうして友達だと思えていたのか不思議だった。
 どうして、明美を利用するだけの相手との関係性に縋っていたのだろう……と、首を傾げたくなるほどに。

 明美は美玲を無視して、今まさにオーダーをしようとしていた女子高生に笑顔を向けた。

「大変申し訳ありませんでした。ご注文をどうぞ」
「ちょっと明美!! 無視してんじゃねーよ!!」

 美玲のキンキン声を聞きつけたらしい店長が、バックヤードから出てきてレジカウンターのそばにやってくる。明美は冷静な声で「すみません、こちらのお客様のご案内をお願いします」と店長に美玲を任せることにした。
 店長は大柄な中年男性だ。
 野太い声で「お客様、お並びのお客様のご迷惑となりますので、こちらにお並びください」と静かに注意され、美玲は綺麗な顔を醜く歪めて店長を睨みあげた。
 
「は? 別に客じゃないんだけど」
「当店でお食事をされないのであれば、お帰りください。他のお客様やスタッフの迷惑になりますので」
「……うっさいな、だからあたしは」
「これ以上騒がれるのでしたら、警察に相談いたしますが」
 
 警察、という言葉に怯んだのか、美玲は派手に舌打ちをしてギロリと明美を睨みつけてきた。 
 
「……あーもういい。もーどうでもいい。これまで散々付き合ってやったのにあたしを裏切るなんて信じらんない。もうあんたなんかどうでもいいわ」

 美玲はそう吐き捨てて、不機嫌も露わな荒々しい歩調で、ファーストフード店から出て行った。
 騒動を見守っていた一階フロアの客やレジに並んでいた客が気遣わしげに明美を見ていたが、店長の「大変お騒がせいたしました~!」という間延びした声で緊張感が消え、いつも通りの空気が戻ってくる。

「さっきはありがとうございました!」

 そしてバイトが終わり、明美は店長にがばりと頭を下げる。
 バックヤードでパソコンと格闘していた店長はへらっと笑い、軽く手を振る。
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感想 10

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