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属性縛り

先天以外の魔法

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こういった移動では交代で番をするのが常だがサヨがセーフモードで待機するば睡眠ほどの回復はできないが警戒しながら休むことができるので非常に助かる。
1日目が終わり木の近くで休み、2日も特に何かに遭遇することなく1日を終えた。
3日目は肉食の野生動物と遭遇したが難なく倒し解体してから食料にする、それ以外に特に目ぼしいものはなく、4日目ともなると方向がわからなくなってくるので太陽を見て方角を確かめるため進みが遅くなった。
5日目も特に変化なく進むと思っていたが木でできた壁に遭遇した、転生者がギルドで買ってきた地図に進行方向の周辺に村などがあるなどの記載はなかった。

「適当なものをつかまされたかここが隠された場所なのか…」
「後者だと僕は嬉しいですね、迂回すれば問題ないと思います」
転生者の弱気の発言が終わる前に全員の頭部に正確に鉄片が撃ち込まれる、速度が拳銃並みだったおかげでサヨのシールドが間に合い誰も傷つくことは無かった。
「なんで全部防げるのよ!」
いつの間にか現れた涙目の女性の心は傷ついたようだ。

「すいません、直ぐに離れますから」
「ここを見られたからにはあなたたちを無事で済ます訳にはいかないわ!」
「やばい話が通じない」
「問答無用!」
女性の周囲に魔法陣が出現し、そこから鉄片が複数飛来してくる、どうやら今回は狙いを付けずに数で押すようだ。
しかしサヨはビームで盾を作り、鉄片をすべて打ち消す…、ところでいつの間にそんな風にビームが使えるようになったんだ?
転生者兄弟は攻撃手段を持っていないので自分が火球を出して攻撃してみるが鉄片を操り、防がれてしまった。
「お前は普通の属性持ち、つまり敵!」
女性の視線が強くなり自分に対して一方的に向く。

「相手が炎なら…」
女性は身に着けている腕輪をいじると汗を出し顔をしかめた後再び魔法陣を出現させ、鉄砲水を発射してきた。
それを見たサヨはビームの盾を収納し物理盾を出し攻撃を防いだ。
「これでもダメなら…」
「そこまでだ!」
女性が再び腕輪をいじろうとした時、女性の後ろから大きな男性の声がした、その声を聴いた女性は一瞬固まり、怯え始めた。

「ここは一旦私が預かる、双方攻撃しないように」
壁の一部が開き武装した人間が3人こちらに向かってくる、表情は固く厳しいもののすぐに襲って来ることはなさそうだ。
「いや別に向こうが攻撃してこなければこっちは別に戦意は無いです…」
「それはどういうことかな?」
自分は別に戦闘の意志がないことを伝えると真ん中にいる男性が女性に威圧するように振り向く。
「ひゅい…」
「お前また勘違いで攻撃したのか、あれほど言ったよなまずは何をしに来たのかを確かめろと、しかも相手の方が格段に強いにも関わらず食いつこうとしたよな…」
「すゅ、すいません」
先ほどまでの雰囲気が一気に過去のものになる。

「なんだこれ?」
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