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聖なる物の抜け殻

希望の跡地

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「所で貴女はどうしてココに?」
「そうですね、私の居場所はココしかなかったもので、行く当ても無いのでココにいるんですよ」
「そうなんですね」
「はい」



「……あの普段は何をしてるんですか?」
「基本的にずっとココにいますよ」
「そうなんですか?!」
「はい」
 目の前の女性は綺麗なみなりをしており、何もないココにずっといるとは思えないのが、そういった物を綺麗にする魔法がこの世界にもあるのだろうか?

 この世界の人と人以外の区別がつかないというのもある、似ている所もあるがやはり世界によって魔力の質が違うのでまずは人と人以外をしっかり把握する必要がある。
 つまり目の前の女性が人じゃない可能性がある、というかこの状況では人じゃない可能が高い。

「あなたは人、じゃないよね」
 悪くなっている雰囲気が気に入らないのかサヨがストレートに聞いてしまった。
「……そうですよよくわかりましたね」
「そりゃあこんな所に居れば、まぁ」
「そうですね」
 ずっと微笑んでいて閉じられていた目がゆっくりと開かれる、目の中には眼球がなく真っ黒になっていた。
「……っ!」
 慌てて立ち上がって距離を取るべきだろうがなぜが動く事ができなかった、サヨはできており銃を出してすぐに戦闘できるようになっている。

「コレを見ても耐えられるんですね」
「ま、まぁそういうのは個性ですし……」
 戸惑っていると懐に入れていた端末が鳴る。
「ちょっと失礼」
「どうぞ?」
 慌てて端末を取り出すとメールが届いており、この世界に来ることになった人物の名前と特徴が記載されていた、その記載されている内の1人と目の前の女性の特徴が一致している、どうやら今回の目的はこの女性に関係ありそうだ。

「もしかしてユーフィリアさんですか?」
「違うわ、そうだったと言ったほうが正しいかな」
「そうなんですか?」
 そうだったという事は既に死んた後なのだろうか、眼球がないのもアンデット系なら合点がいく。

「貴方は何も知らないのですね」
「まぁ、来たばかりですので……」
 自分が適当にしているおかげかユーフィリアだった者からは敵意は感じない、むしろこっちを心配しているようなそぶりさえある。
「じゃあ昔話でもしてあげましょうか?」
「じゃあお願いします」
 立ち上がって臨戦態勢をとっているサヨを座らせて聞く姿勢をとる。
「それじゃあまずは……」
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