異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

聖なる物の抜け殻

夢の跡地

「さて今回のお仕事の内容は後始末になります？」
「後始末ですか？」
　後始末と聞くとなんだか悪いことをしている気分になる。

「向こうの転生者がやらかした後始末です」
「その世界の転生者じゃ何にもできないんですか？」
「単純に相性の問題ですね、今回は転生者と合流する必要はないので倒してしまってください」
「何か倒すんですか？」
「転生者がやらかして生まれたモノを始末してしまえば今回の仕事は終わりです、今回はなるべく短い物を選んでみました」
「そうなんですねわかりました」
「それじゃあいってらっしゃい」
　もはや感想も言うまい……。


「ここは？」
　いつの間に瓦礫の中にいた、瓦礫以外には森しかない。
「ここは昔教会だった跡地ですよ」
　声がする方向に向くと金髪の女性がこちらを向いていた。
「貴方は、あ自分は仕事でここに飛ばされて来た者です」
「そうなんですね、私のここの教会で勤めていた者です」
「ご丁寧にどうも」
「いえいえ」

　こちらを向いて微笑んでいる女性の他に生き物が見当たらないし何故ここにいるのか疑問であるが自分達も人のことを言えない。



「……すいません、自分達は町に行きたいのですが、ここから近い場所はどの方向へ向かったらいいですか？」
「そうですね、ちょうど正面に向かってまっすぐ行けばとだり付けると思いますよ？」
　真正面は森になっており獣道すらもない。
「正面をですか？」
「はい」


「サヨ、ある？」
　もしかして森をまっすぐ抜けると近くにあるかもしれないのでサヨのレーダーを頼ってみる。
「うーん反応はないかな？」
　今のサヨの索敵範囲はどれほどかわからないが引っかからないので正面に向かうのはやめておこう、というかここからどこかへ向かう道が存在しない。
　この女性はどこから来たのだろうか……。

「失礼ですがお仕事というのは？」
　何しようか考えていると女性の方から話しかけてくれた。
「えっとここでやらかした人の後始末って感じです」
「それは大変ですね、それでこちらに？」
「いえ場所は上司が飛ばしてきたのでここに来たのは偶然ですよ」
「そうなんですね、ご愁傷様です」
　苦笑いしつつ対応しておく。
「うーん周辺には何もないよ、森しかない」
　サヨは先ほどまで周囲を調べていたようだが何も見つからなかったようだ、この世界には魔法がメインの世界なので電気系のレーダーをすり抜ける手段は無いと思われるのでこの周囲には人がいないことになる。