上 下
141 / 423
オンラインゲームだった世界

この世界の転生者たち

しおりを挟む
 草原を真っすぐ進んでいくと大きな街にたどりついた、2つ目の街は大きな城壁に囲われており、設定では草原から来るモンスターの対策のために高い壁に囲まれている。

「あれあるかな」
 あれとはこの世界の身分証明書を持っているか服のポケットを探る、こういった世界に転生すると自分のステータスが見れる魔法が使えたりするものだが……。
「ステータス……」
 自分はこの世界に転生した訳ではないのでそういった魔法が使えないので自分の強さがイマイチわからない。

「お?!」
 ズボンの後ろポケットに銀色の金属でできた板のようなものが入っていた、覚えがないのでコレが身分証明書の代わりになると信じて向かう。


「そこのお前、身分証明書はあるか?」
「これでいいですか?」
「ぬ、ギルドの者か通ってよし」
 金属の板を少し見せただけで通行が許可された、サヨに至っては自分に同行していたというだけで金属の板を見せることなく通りぬけできた。

「緩くね?」
「敵はモンスターだけなのかも」
 そういえばゲーム開始時に表示される背景ストーリーでは迫りくるモンスターの襲来から人々を守るとかで人間同士で戦うなどの説明は無かった、端末を取り出して改めて確認してみるとやはり敵はモンスターのみだった。
「だからあんなに適当だったのか……」

 そしてこの世界に来たらいつもやっている、この世界にきた転生者を探す作業が始まる、ぱっと見では判断が付かないので時間がかかる場合がある。
「なんだよ、ゲームだっら在庫が無限だったのに……」
 今回は簡単に発見できたようだ。


「あのどうしたんですか?」
「あ、とってきた魔香草全部と回復草を交換してくれないんだ」
 このゲームの序盤の金策として魔香草を回復草に交換して依頼で回復草を渡す方法があり、恐らくその方法をこちらでも行おうとしていたのだろう、彼のカバンには溢れるほど魔香草が入っていた。
「別に私は魔香草は少しあればいいんだよ、そんなに多くはいらないね」
「確かにそれは多いような……」
 ゲームでも魔香草は使い道がすくなく序盤の金策に使用する以外では特定の職業以外では使用しない、アイテムの説明もいい匂いがする草程度の説明しかない。
「くそ、なんで何も持ってこれてないんだよ」
 転生者は地面を強く蹴ってどこかへ行ってしまった。

「君もこの世界に飛ばされたのかな?」
 振り向くとさきほどとは別の人が話かけてきた。
「そうなりますね」
「この世界じゃ金策もなにもできないからね」
「あの……」
「どうしたのかな?」
「この世界にどれくらいの人が飛ばされてきたんですか?」
「あれ、レイドボスに挑戦した人が全員とばされたハズだけどしらない?」
「自分は気が付いたらそこの草原にいまして……」
「ふむ、ここ最近、数日の話になるんだがね、どうもいきなり現れたレイドボスと戦闘になるとこの世界に飛ばされるようなんだ」
「そうなんですね」
「うむ、しかし君も気が付いていると思うけどストレージに入れていた物が全て無くなっているんだ」
「そうですね」
「だからレイドボスに挑んだ時に装備していた武具と手にもっていたアイテムだけがこの世界に持ち込めたんだ」
しおりを挟む

処理中です...