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母を訪ねて……

ようやくの再会

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 若い男性についていくと町の中心にある大きな建物に到着した。
「確かに普通は通れないらしい所が通れたのだからここのトップ付近じゃないとどうにかできないかな」
 護衛の男が呟く、確かに町の仕組みを町の上部の人間だろう、若い男性が建物の中を進んで行くほどに体の動きが硬くなっているので、これから会う人物はこの町のトップなのだろうか、母を探して来たのになぜこうなった……。

「ご苦労様です、下がっても問題ありません」
「わかりました!」
 若い男性が逃げるように退出していった。
「まさかわざわざ会いに来てくれるとは思いませんでした、ここまで来てくれたのなら断る訳にはいきませんね、私も覚悟しましょう」
 このセリフからもしかして向こうにいるのは母親なのだろうか、しかし声は聞いたことがない声なので母親ではない別の人物なのでないかと思ってしまう。

 向かいにある壁が隆起してそれが女性の形になる、顔が形成される、その顔は見間違う事がない母親の顔だった。

「……少し見ない間にずいぶん変わったね」
 前世でゲームやら漫画やらフィクションに触れていた事と今世で魔法の世界になり獣人やエルフなどがいるので母親が人でなくなったとしても大きな驚きがない、ショックといえばショックなので変な言葉が出てしまった。
「お前はそういえばそうだったね、変に緊張した私がバカみたいじゃないか」
 先ほどまでの硬い表情ではなく、自分の言葉で昔から見慣れた顔になる。

「いやぁ、ここ最近仕送りの額がいきなり大きくなってたから心配になって優秀な護衛つけて探しにきたんだ」
「そうだったんだ、でも本当にあそこからはるばると本当に優秀な護衛なんだね」
「どうも……」
「それも母さんが送ってくれた仕送りのおかげだよ」
「そうかい、心配かけたね」
「さてこれからどうしようか?」
 母親に会う目的は達成したので、これからの事をどうするか悩んでしまう、故郷に母親と帰る事はできないだろうしかと言ってこの町に自分が住むのはなんか違う気がする。

「私はもうこの町を離れる事ができないしずっと母親といるのもどうかと思いますし……、仕送り続けるのでお願いあるんだけど、貴方の妹のお世話を任されてくれないかな?」
 いつの間にか家族が増えていたようだ、妹物とか特に触れてこなかったがなんだかそそる。
「任せてくれ」
「よかった、じゃあ出てきて」
 邪な気持ちを半分含んだ笑顔で答えると、母親が安心したようで壁の一部が開き、女性が申し訳なさそうな様子で出てきた。
「本当にお母様から離れて人間の世話になるの?」
 これから自分は売られるんだと言わんばかりに嫌そうに母親に言う、失礼な。
「お前はそろそろ親離れしなさい」
「えー」
「そんな訳でよろしくお願いします」
 母親が妹と思われる女性を掴み自分の元に投げてよこす、大人びて見えていたが身長は思ったより小さかった。
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