異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

変身ヒーローの世界

結末は知っている

　翌日は適当な距離を保ちつつ、転生者を尾行してみた。

　普段は日雇いの建築系のアルバイトをしているようで変身ヒーローになったおかげか身体能力が上がっており、現場では重宝されていた。
　仕事自体は午前中に終わるようで、午後からは何かをするでもなく適当に町の中を歩いていた、しばらく歩いておりとどこから人々の悲鳴が聞こえてきてその方角に向かうと怪人が人を襲っていた、怪人は本気で人を殺そうとしているため野次馬やカメラを向けている人は遠くにしかいない。

　転生者は物陰に隠れてから変身して怪人の元に向かう、昨日のと比較して小物感があり、攻撃を受けるとっかりとのけぞっておりダメージを受けている様子だ、また転生者側の方はしっかりと攻撃を受け流して対処していた。
　そしてしばらく戦闘した後に、怪人が弱ってきた所に一度距離を取ってから飛び蹴りを入れて怪人を倒した、派手な爆発があり2人とも煙が晴れる頃にはいなくなっていた。
　それから程なくして警察や救急車のサイレンが向かって着て、周囲にブルーシートを展開して見えないようにしてから現場の処理を開始した、子供向けの番組などでは表現されないが怪人の被害にあった人の遺体や怪人の残骸などが生々しく残っている。

　転生者は近くの路地で変身を解除してぐったりとしていた、かなり消耗していたようだ。
「だめだ、体力が足りない」
「大丈夫ですか？」
「また君たちか、今回は上手く逃げられたけど全力疾走したせいでしばらく動けそうにないや」
　軽く笑って誤魔化す。
「というかあの怪人？はなんですか？」
「あぁ見てたのか？」
「そうですね、あんなテレビでやっているような物が現実にあってびっくりですよ」
　もっともこっちはウェブ小説でやっている事だが……。
「僕もまさか本当にこんな事になるなんて思っていなかったよ、ま言ってみるもんさ」
「そうなんですか」
「あぁそうだね、できればこの事は秘密にしていて欲しいなって」
「大丈夫ですよ、そもそも言った所でだれも信用してくれないですって」
「それもそうだね」
「ところであの怪人？達の正体ってなんですか？」
「あれは……、ごめん正直わからないんだ、すまない」
　明らかにしっている風で言おうとしていたがギリギリで飲み込み白を切った。
「いえいえ、じゃあ怪人が出たらすぐに動けるようにしないとですね」
「そうだね」

　それから一緒に民宿に戻り、今度の事を協力すると約束を取り付けて、その日は何もなく終了した。