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ぶらり適当旅

何かが見てる

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「え、めっちゃ光ってる」
「え、当たり前じゃん」
 奈良の大仏といえば黒っぽいような地味な配色のイメージしかなかったのだが目の前にある大仏は光輝いており、もちろん後光もはっきりと視認できる。
「というかここまでなんだ」
 前世の日本では大仏に触れてるほど近づくことができたのにたいして、こちらの日本では遠くからしか眺めることができないようだ、それでも迫力があり、まるで至近距離で見られているような感覚がある。

「そういえばココと京都は何の関係が?」
「えっとこれは言ってしまえば壁なんだよ」
「壁?」
「呪いを受け止めて消すための壁?」
「へーうん?」
 気のせいだろうか、大仏から視線を感じてこれ以上詮索するなと言われたような気がした、サヨも感じたようでこれ以上話す気はないようだ。
「あー、変なところにアクセスしてたっぽい、もうこれ以上はやめとくよ」
「そうだね観光して帰ろう、すぐそこに春日大社あるしそこに行こう」
「いいね行こう」
 東大寺を出ると周囲の観光地が地図で表示されている案内板がありそれによるとかなり近くにあるように見える、しかし歩いてみると曲がりくねった砂利道で20分ほど歩いてようやく鳥居の前に到着した。

「えっとまずは……」
 鳥居の前に立って中央を避けて一礼してから鳥居をくぐっていく、そのまま中央を避けつつ進んでいくとすぐ左方向に手水舎があるのでそこで手と口を漱ぐ。
 それから本殿へ向かう、京都よりかは少ないが観光客がいるのでそれらを縫うように進んでいく大きな門を一礼してからくぐって行くとまずは大きな木が視界に入ってくる、そこには大きなナニカがいるようだが嫌な感じはなくむしろ神々しい何かを感じる。
 ただ感じるだけで姿が見えないのでとりあえずお賽銭を投げにいく。
 お賽銭を入れるところは2ヶ所あるようで片方はすぐ近くにありもう片方は本殿の目の前にありそこに行くには入場料が必要なようだ。
 もちろんお金を支払って本殿の目の前まで行く、お賽銭を入れてから二拝二拍手一拝して願い事をする。

 参拝が終わったので反転して奈良駅に向かう。
「それにしても熱い……」
 奈良駅から常々思っていたのだが空には雲が無く太陽の日差しが強く当たってやけどしそうだ。
 帰りにお土産屋で木刀とついでに帽子を2つ購入する、中二病心を刺激するキーホルダーやご当地グッズを買いそうになるが「何に使うんだ」と言い聞かせて購入を我慢する。
 その代わりに近くの売店でソフトクリームを2つ買い食べながら駅に向かう。

「さて次はどこに行こうかな」
 次に行くところを時刻表を眺めようとすると端末にメールがあり次の仕事が決まったのでなるべく早く帰ってきてほしい旨の連絡がきた。
「どうしたの?」
「もう旅は終わりっぽい」
「そっか、楽しかったね」
「帰宅するまで旅は続くんだなぁ」
 なるべく早く帰ってこいとのことなのでこの世界の電車で大回りして帰ることにした。
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